山の写真集 > 中央線沿線 > 鳥屋山、矢平山
  • -黄葉のプロムナード-
  • 浜沢-立野峠-鳥屋山-矢平山-寺下峠-梁川駅
  • 中央線沿線
  • 山梨県
  • 鳥屋山(808m), 舟山(818m), 矢平山(860m)
  • 2016年11月20日(日)
  • 11.3km
  • 5時間15分
  • 349m(浜沢-矢平山)
  • -
  • -
  • 京王線, バス, 中央線
天気1

 

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2016年11月20日(日)
新宿駅 6:47
  京王線
北野駅乗換
7:37 高尾駅 7:47
  中央線
8:09 上野原駅 8:30
  バス
9:20   浜沢
10:25 立野峠 10:30
11:17 鳥屋山
11:55 舟山 12:15
12:27 寺下峠 12:30
13:05 矢平山 13:15
13:47 寺下峠
14:45   登山口
15:15 梁川駅 15:33
  中央線
16:10 高尾駅 16:17
  京王線
北野駅乗換
17:11 新宿駅

 

今年の紅葉山行も終盤戦に入り、南関東・甲信の低山に目が向く。
日差しを求めて南に面した明るそうな斜面を登路として歩ける山を探しているうちに、今回のルート選定に至った。裏道志の無生野側から中央線沿線の山に登って、中央線の駅に下る。無生野側からの登路は幾つか歩き残したものもあるが、それらはみな植林が多そう。10年以上前、降雪後に登った浜沢からの道が自然林も多くてよさそうだ。
尾根に上がった後は倉岳山に登るのもいいが、反対の稜線を歩いて矢平(やていら)山まで行き、まだ歩いていない寺下峠からの道で下山する。


矢平山に向かう紅葉の登山道

朝霧立ち込める中央線上野原駅付近

朝霧の中央線

浜沢バス停から出発する

浜沢を出発

薬師堂の境内にある「浜沢の大ケヤキ」は幹回りが8メートルある

浜沢の大ケヤキ

立野峠への登りでの紅葉

登路は紅葉

黄葉のトンネルになっているところも

黄葉のトンネル

標高が低いところだが、ブナと思われる立派な樹木も

ブナか

立野峠。北側は植林帯

立野峠

ダンコウバイの黄葉

ダンコウバイ

コナラの黄葉

コナラ

細野山下からの秋山村の展望地。植林が育ちこの10年でかなり眺めが狭くなった→2012年 2007年

10年前との比較

数は少ないが、イロハカエデかと思われる赤い紅葉も見られる

赤系の紅葉も


上野原駅発のバスは8時半なので朝はゆっくりめでよい。朝の京王線は、紅葉が見頃となった高尾山に向かう人で混み合っていた。高尾駅で中央線に乗り換える。相模湖から藤野にかけては濃い霧が発生していた。
朝日眩しい中、無生野行きバスで浜沢に向かう。バスの中で声をかけられた。はなねこさんだった。何年か前のスミレオフで別グループどうしで登っていて偶然お会いして以来だった。聞くと倉岳山に登る予定でとのこと。浜沢から立野峠までいっしょなので、せっかくだから自分のおすすめで半ば強引に?矢平山コースに変更してもらう。

バスの乗客は登山者がほとんどで、ベテラン風の人や中高年グループばかり。この路線バスであまり若い人を見た記憶がない。浜沢バス停では二人のほか、二十六夜山に向かう4、5名のグループも下車した。民家の間を通り、薬師堂の大ケヤキを見ていく。立派な大木で、周囲の木々はもうかなり色づいていた。山中の紅葉はどうだろうか。
すぐに登山道の分岐に入り、沢沿いの植林地となる。一ヶ所わかりにくいところがあったが、大方は歩きやすくはっきりした道だ。広葉樹の森に入ると、周囲はやや緑も残っているものの、大方が黄葉のトンネルとなっており、明るい日差しの中を気持ちよく登れる。
ブナに似た木は横に細い灌木が茂っているからイヌブナだろうか。他にカエデやダンコウバイ、コナラ、ホオノキなど、低山らしい黄葉の山である。

意外と早く立野峠に着く。これは「たちの」と読むらしい。峠の反対側の北斜面は植林帯だ。ここから東へ、尾根歩きとなる。黄葉に混ざって赤系の紅葉も所々で見られるが数は少ない。
植林の中の細野山から道志側の斜面に回り込んだところが本日一番の展望地となるはず、、、だったが檜の幼植林が伸び、かなり眺めが悪くなってしまっていた。前回ここを歩いたのは4年前だが、その時はまだかなりの範囲で道志山塊や秋山村がよく見えていた。やはり伐採されてできた「にわか展望地」はすぐに景観が変わってしまって、当てにできない。

緩やかな起伏のある稜線を行く。赤系もあるがやはり低山は黄葉がメイン。卵型でギザギザの葉はほとんどがコナラであろう。
はなねこさんによると、ミズナラとコナラの違いは葉柄(葉と枝との接続部分)があるかないかでわかるとのことだ。ミズナラは葉柄がなく、枝から直接葉が出ているように見える。今日の尾根道を埋め尽くす落ち葉には2センチほどの葉柄がある。

彩り豊かな尾根道

紅葉の尾根道

カエデの黄葉に光が差し込む

光差す

矢平山へは岩場を急登する

岩場の急登

リンドウ(矢平山下)

リンドウ

矢平山山頂

矢平山山頂

寺下峠からの下山路では、形よい矢平山がよく見える

端正な山容

落ち葉の深く積もった下山路

落ち葉溜まり

下り立った梁川側登山口は、斧窪御前山(中央)や百蔵山(右奥)が望める好展望地

梁川側登山口

梁川駅の駅舎は2016年、地元の産物である竹をモチーフとしたデザインに建て替えられた→旧駅舎

竹材利用の新駅舎


葉柄は、葉が日光に当たるよう自らを動きやすくする役割があるそうだ。ミズナラと比べて低山に多く分布するコナラは他の樹林と生を共にし密集することが多いから、日照不足を補おうとしてそのように形を変えていったのだろうか。
コナラとミズナラは、今までは標高や樹皮の色をもとに「おそらく」レベルの見分け方しか出来なかったが、これからはちゃんと観察することにしよう。

大した登りのないまま鳥屋山に着いたが、時間が早いので休憩せず先へ進む。檜林の中で尾根が二分するところは標識やテープは見当たらず、右手の751m点に行くほうに引き込まれやすい。ここまでたくさん指導標を見せてきたのに、肝心なところにはない気がする。
それにしてもこの尾根は、前回歩いた5月でも鳥屋山を始めところどころて展望が得られたと思うのだが、今日はなかなか足を止めるような眺めに出会えない。もっぱら紅葉がきれいな場所で立ち止まるのみだ。さっきの細野山の展望地のように、全体的に樹林が伸びてきて眺めを悪くしているのかもしれない。

舟山で昼食休憩する。南面が植林のため少し肌寒い。いつしか空は青空の面積が小さくなっていた。
寺下峠へ下り、今日の下山路を確認する。ここから矢平山への行程が本日のメインとなる。緩やかに登って降り、右手に見える丸ツヅク山を目指す。左手に見える大きな三角錐が矢平山である。標高こそ860m程度の小粒な山だが形もよく、全体がオレンジから茶色の衣を纏っている。
矢平山、高柄山、鶴島御前山など、中央線沿線の山塊はここから東側に低いながらも個性的な山が連なっている。

丸ツヅク山はピークを巻き、吊尾根状のルートを辿ると矢平山への直登が始まる。この近辺では珍しい岩場の急斜面だ。鎖やロープが必要なレベルではないのだが、今までが今までなので少し気合いが入る。
少し平坦になったところで大きなリンドウが咲いていた。はなねこさんに聞くと、なんとかリンドウではなく、ただの「リンドウ」とのこと。確かにフデリンドウやオヤマリンドウとは形が違い花も完全に開いている。
さらに急坂を登っていくと背後が開け、緩やかになった尾根道を数分で矢平山山頂に到着する。本日の最高点はここになる。矢平山も背後に植林を抱えているが、小広く落ち着ける山頂である。
小休憩の後来た道を引き返す。岩場の下りは一歩一歩着実に行く。

寺下峠からは、梁川駅への道を下山する。この稜線から中央線の駅に下る一般道の中では唯一歩いていなかった。
山腹を緩やかに下っていくと、矢平山の全貌がよく見える場所に出る。やはり形のいい秀峰だ。その後道は自然林の山腹をジグザグに下るようになるが、一帯が黄葉のトンネルで素晴らしい景観だ。今日は登りと下りでいい黄葉が見られた。さらに下ると足元の悪い急坂となり、補助ロープに導かれながら難所を避けて下るが、これがなかなかきつい。急斜面の山腹をトラバースするパターンはこの後も幾度となくあった。
沢沿いの道を終えるとだんだんと里道の雰囲気となり、やがて車道わきの登山口に下り立った。まだ山自体は下り切ってないところにあり、中央線や高速の走る谷間が見下ろせる。
梁川地区の住宅街を緩く下っていく。近所のおばあさんに、駅までどれくらい?と聞いたところ、「もうすぐですよ、この先の信号を渡って、あなたたちの足ならあと10分くらい」ぜんぜんすぐじゃなかった。山の近くに住む人は距離感覚が都市部の住人と違う。
中央線沿いの国道に出て信号を渡り、柿のなる民家を見ながら10分、梁川駅に着く。無人の小さな駅舎は地元名産の竹をあしらった、コンパクトなデザインにリニューアルされていた。

今日は前半の単調な稜線歩きから変化のある登降へ、そして晩秋の黄葉が随所で楽しめた山行だった。展望の開ける場所が思ったほど、と言うか全く無かったのが残念で、その点倉岳山を最初は予定していたはなねこさんには申し訳なかった。
でも終始山などの話をしながら、楽しく歩けた1日となった。