~秀麗富嶽、新年の静かな峠路~
タイトル
くらたけやま(990m)、たかはたやま(981m)
2003.1.2.(木) 快晴

8:28中央本線上野原駅-[バス]-9:15浜沢9:20-10:10立野峠10:15-10:45倉岳山11:05-11:30穴路峠-12:00高畑山12:45-13:45合流点-14:15小篠(車道)-15:15鳥沢駅 歩行時間:4時間45分

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高尾方面から新宿駅に入線して来た中央線は、みんな天井に雪を被っていた。西の方は、未明に降った雪が平地でも積もっていそうである。
果たして、新宿駅を出発して三鷹、国分寺・・・と西進するにつれ、見える街並みはどんどん白くなっていった。

立川駅を過ぎると奥多摩、高尾の山並みが見え出す。高い山はみんな白色、近くに見える樹林も雪化粧していて東京付近の景色とは思えない。2003年の登り初めは白銀の中からのスタートとなった。
浜沢集落
浜沢集落

上野原駅で下りて無生野(むしょうの)行きのバスに乗る。今日登る倉岳山・高畑山いずれも、中央線の駅から登って駅へ下りれる至便な山で知られているが、敢えて反対側の秋山村から登ってみることにした。
日も十分に上がった中での南面の登りなので、凍結箇所もあまりないだろうという予測も有った。

自分だけ乗せたバスは谷あいを縫うように走る。新年を迎えた秋山村も一面の雪景色がまばゆい。
終点から4つ前の浜沢で下車。バス停前には立野峠方面を指し示す導標と、矢平山(やだいらさん)の説明看板がある。
立野峠への登り
立野峠への登り

バス停前の小さな橋を渡り集落の車道を緩く上がる。積雪は1,2cmほどだ。
薬師堂を右に見てなおも上がって行くと、突然犬に吠えられる。よく見たら先は民家に通じていて行き止まりである。
30mほど引き返すと左に細道が分かれていて、立野峠を示す指導標が立っている。この細道はわかりにくいが、見過ごすと、すぐに犬に吠えられることになるので誰でもこの段階で気づくであろう。

すぐに登山道となり沢沿いに登高していく。やがて高巻きの道となり沢を離れ、水の流れが聞こえなくなると、自分の雪を踏みしめる足音だけがあたりを支配する。
植林の登りは間もなく終わり、雑木林に入るとあたりがパーッと明るくなる。この付近は、秋山村側は雑木林がけっこう多い。

日が当たり出すと、雪の斜面はベタベタし出すようになる。2,3cmのシャーベット状の雪のすぐ下には落ち葉が厚く積もっていて、日当たりのよい場所を10歩も歩くと、靴の裏に雪と落ち葉で出来た大判のせんべいが貼り付いてしまう。とても重くて厄介な代物だ。
ストックではがす作業をそれこそ10歩ごとに行う。
アイゼンの裏についた雪ダンゴをはがすのはよくあるが、こういう薄い雪だと靴裏にさえもついてしまうようだ。
倉岳山頂から大菩薩山塊
倉岳山頂から大菩薩山塊
倉岳山頂
倉岳山頂

立野峠に着く。反対側はヒノキの植林で、梁川駅からの道が上がってきている。
少し休憩し、倉岳山への登りにかかる。稜線の積雪は2,3cm程度で、今登ってきた道と同様、その下は落ち葉だ。おそらく昨日までは雪がなかったのだろう。

いくつか小ピークを越えると、樹間から富士山が望めてくる。意外なほど大きい眺めだ。最後は急登となり、アカマツの生える倉岳山頂に着く。

木々は間をおいて伸びており、意外と眺めが効く。富士山、道志・丹沢山塊、反対側に奥多摩や奥秩父、大菩薩山塊の白い山並みが素晴らしい。
山頂の雰囲気も悪くなく、対面に見える百蔵山とちょっと似ている。
眼下に大月市の街並みや中央高速も見える。今日は3が日の1日であるせいか、下界もどことなくのんびりしているように見える。

高畑山への縦走路に入る。平坦な道を少しだけ行き、左に直角に折れる。南西に面した滑りやすい急坂(下り)だ。
所々木の枝につかまりながら下る。百蔵山→扇山の縦走の時もそうだったが、尾根続きというよりも一度大きく下って登り返すパターンである。それでも、しばらくは自然林に囲まれ、所々で富士山も見える気持ちのいい場所だ。

やがて穴路峠。「峠道文化の森」という案内板が立っている。かつてはこの峠も、さっきの立野峠も大月市と秋山村を結ぶ重要な交易路であったようだ。今はこの山地をぐるっと囲むように林道が建設され始めている。今朝のバスからは、真新しいトンネルの入口も見えていた。
こうした峠道は今では、もっぱら登山者だけが使う道でしかなくなっている。

高畑山へはやはり、急登が待っていた。露岩を交えた登りで、日が照り始めてもうかなり時間が経っているせいか、至るところで地面が露出している。行き交う登山者もかなり増えてきた。
高畑山頂から富士山
高畑山頂から富士山

登り付いた高畑山頂でお昼休憩にする。南面に富士山、南アルプスも少し見える。
ただ、今まで南斜面を占めていた雑木林はこのへんでは植林に変わっていて、それがいくぶん富士山方面の展望を邪魔している。山頂は適度な広さがあるが、腰を下ろすと富士山の見える場所は限られてくる。
山の雰囲気からすれば、倉岳山のほうが好みだ。先に高畑山に登って富士山を拝み、その後倉岳山でお昼にしたほうがいいかもしれない。

北斜面を下山路とする。ヒノキの植林帯に付けられた道はところどころ凍結しており、何度か滑ったので諦めてアイゼンを付ける。
昔、「高畑仙人」と呼ばれた世捨て人の住んでいたと言われる鞍部を通る。以前はヤカンなどがぶら下がっていたそうだが気づかなかった。

その後幾分登り返しがあり、扇山を正面に見る雑木林の道となる。穴路峠からの道を合わせてなおも下り、沢筋となりあっけなく登山道入口となる小篠貯水池に着く。高畑山山頂から1時間30分ほどだった。
小篠集落のイトヒバと石碑
小篠集落のイトヒバと石碑

その後小篠集落の車道を歩き鳥沢駅へ向かう予定だったが、道を間違えて車道をどんどん西へ進んでしまった。30分ほどのロスであるが、山を下りた後なので、あまり気にせず付近の農村風景を見ながら歩いた。
道を間違えたおかげで、大月市指定の天然記念物「イトヒバ」の木を見れた。庚申塔や念仏塔の石碑と背後に百蔵山が望める、なかなか絵になる場所である。
正規のルートに戻り、幾分遠回りをしながらも鳥沢駅に着く。駅周辺では地元の消防団が年始の放水をして回っていた。

中央線沿線の山、特にこのへんの高畑山~九鬼山の周辺はまったくの未踏で、興味を引く縦走路も多いので、今年何度か登ってみたいと思う。


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