西鎌尾根から槍ヶ岳・2000.9.28~30 |
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●秋色の山肌を眺め双六小屋へ (新穂高温泉~鏡平~双六小屋) 新宿から深夜高速バスで上高地へ。異常に寒い。その後バスを乗り継ぎ、7時40分に新穂高温泉に到着した。 温泉地を過ぎ、しばらくは治山工事のトラックがひっきりなしに通る道を行く。吐く息も白い。8月に雲ノ平に行ったときに、下りにとった道である。 ワサビ平小屋には10名ほどの登山者がいる。時間が早いせいか、皆もの静かで、黙々と(?)休憩している。
林道歩きを終え秩父沢の河原歩きとなる。夏に残っていた雪渓はもう無かった。次第に高度を上げて行くと、穂高連峰が早くも目に飛び込んできた。この道は終始展望がいいからとても好きだ。 その頃には太陽も元気良くなり、秋の日差しが暑いくらいに感じてきていた。ナナカマドの実が驚くほど赤い。 涼風がだんだん気持ち良くなってくるほど、高度を上げてきた。大きな石に赤ペンキで「イタドリが原」と大きく書かれている。続いて、鏡平の方向を示すさらに大きな赤ペンキ文字。コースではシシウドが原というところに出るそうだが、この赤ペンキに従って行くと、シシウドが原の標識には出会えない(つまりどこがシシウドが原かわからない)。 周囲の木々の葉が、だんだんと黄色味を帯びてきた。見上げると大ノマ岳付近の斜面はもう、かなりいい色になって来ている。 高度を上げるにつれ、肌寒さが復活して来た。さらにガスが出てきた。さっきまでの好天からは信じられない。 鏡平に着く頃は、あたり一面乳白色。鏡池に投影する槍・穂高などは望むべくもない。 赤みを帯びたカエデのような葉はハクサンフウロだろうか。ダケカンバ、ナナカマドなどの紅・黄葉も見られるが、まだそれほど鮮やかな色ではない。ミヤマリンドウの花がひっそりと咲いていた。 鏡平小屋の前で昼食、インスタント雑煮を食べた。 ここからは急坂が続く。晴天の下を登りたかったが残念。 「弓折の稜線から鏡平の紅葉を見下ろす」の図は来年以降の持ち越しとなった。視界が15mではどうしようもない。
弓折岳分岐へ。ひと登りし目の前の稜線に立つと、飛騨側の展望が一気に開ける。 にわかに空が明るくなった。そう、飛騨側は晴れていたのだ。今までのガス一面がうそのようだ。久々の青空に足取りも軽くなる。 初めて見た西斜面は、草紅葉が進んでいた。緑濃いハイマツとのコントラストがきれいだ。 ふと、数十m下を見ると、自分の影が虹の輪の中にあるではないか。これがブロッケン現象?山頂でもない普通の稜線でも見れるらしい。
少し先の小ピークで、男性が佇んでいる。視線のほうを見ると、ガスの切れ間から槍ヶ岳の穂先、穂高の稜線が姿を現していて、びっくりさせられた。夏の光線の下と違ってなまめかしいほどにリアルである。 それに、8月に見たときは随分遠く感じたものだが、今回はすぐ目の前に聳えているようだ。 明日、あの穂先に立とうとしている自分が何だか不思議である。 雲上のテラスは双六キャンプ場前まで続く。槍は隠されてしまうが、双六岳のたおやかな山容が目を惹く。
双六小屋の宿泊者は20名ほど。ほかにテント持参者も数名いた。 北アルプスの小屋は2日後の土日から紅葉シーズンで再び混み始める。今日はまだ中だるみの期間で空いている。三俣山荘は、前の日の宿泊者は3名だったそうだ。 深夜高速バスでよく寝られなかったせいもあり、部屋に入るなりすぐに一眠り。夕食後も死んだように眠った。 |