2009年8月2日(日)~8月4日(火) |
まだ時間が早いので、テント場はガラガラだ。早いところ設営してしまって、双六岳に登りに行くとしよう。 ずいぶん雲も出てきた。双六岳への取り付きは、弓折鞍部への登りよりもきつい。三俣への道を分けて、さらに中道分岐を過ぎる、双六岳への本来の道は残雪の為、迂回路がつけられていた。 ふと足元を見ると緑色をしたハクサンイチゲを見た。ミドリニリンソウというのは話に聞いたことがあるが、ハクサンイチゲにもあるらしい。 急坂を登りきるとその先、平坦な道がずっと続いている。双六岳を特徴付けている広い尾根だ。山頂はまだかなり先にある。 槍のほうの稜線は大方雲で隠されてきた。周囲が雲で覆われてしまうのと、山頂に着くのとで時間の競争になってしまった。双六岳(2860m)頂上に到着。岐阜県側からガスも流れてきて、黒部五郎岳の姿は全く見られなかった。
ガスっているので、尾根縦走はやめて中道経由で下ることも考えた。方向は同じなのでとりあえず尾根を行く。 また雷鳥がいた。しかも2羽。おそらくつがいであろう。双六付近は雷鳥が特に多い。 中道分岐に着く頃には真っ白になってしまった。諦めて中道を下る。朝から目をみはる快晴の空も、やはりまだ寒気が抜けきっていないのだろう、雲の立つのが早い。悪天候が長く続いた後は得てしてこういうことがある。 この中道コースもハクサンイチゲ、コバイケイソウなどが多い。しばらく歩いて振り向くと、今度は一転、稜線が見えるほどにガスが引いている。やっぱり今日のうちに歩いておきたかったので、引き返して稜線に戻り三俣蓮華岳を目指す。 丸山(2854m)を経て、下って登る。少しガスが晴れてきた。長野県側の斜面は、いまだ多くの残雪をしたためている。しかし登山道には雪は残っていなかった。 三俣蓮華岳(2841m)に着くと、相変わらず飛騨側の山は見えないが、雲ノ平越しに薬師岳、水晶岳、祖父岳、鷲羽岳と北アルプスの名峰を一望できた。あのまま中道を下っていなくてよかった。水晶岳から読売新道。湯俣温泉に下るコース。どれも稜線2泊は必要なので、天気の安定した時に歩きたい場所だ。
下に見える巻き道に向かって、急坂を下る。下りついた場所は長野県のようで、大町市の標柱が立っていた。 三俣蓮華岳の三俣とは富山県、岐阜県、長野県の3県境に位置するという意味で捉えられることが多い。また、3つの川(黒部川、高原川、高瀬川)の分水嶺でもあり、山域的には立山連峰、後立山連峰、槍・穂高連峰の北アの代表的な3大屋根の合流点となっているという、重要な位置にある一峰である。 関東・甲信地方に続いて東海地方が今日梅雨明けした。北陸はまだなので、この山頂で北側を向いていると、右はすでに梅雨明け、左は今日梅雨明け、正面はまだ梅雨期間中の場所を見ていることになる。ガスの湧いてくる方向をよく観察すると、その差がよく表れているのが面白い。 もう少し時間があったら三俣山荘まで下り、展望喫茶でケーキを食べていきたいところだが、双六への帰りが5時ごろになってしまう。しかももう8時間歩いているので、このまま巻き道を辿ってテント場へ戻ることにした。 巻き道コースも至るところに大規模なお花畑がある。残雪も多く(登山道にはない)、すばらしい景観を呈している。 雪解け水でのどを潤しながらのんびり下る。小池新道から双六~三俣のコースは水場が多いので、天候にもよるがだいたいペットボトル1本半くらいの水を持っていれば十分である。 巻き道コースはかなり高度を下げるようで、ハイマツから低潅木帯に変わる部分もある。登山道そのものもガレている箇所がある。地形図を見ると、最低鞍部からの登り返しの標高差は100mもないのだが、実際はもっとあるように思う。 そして後半はタフな登り返しが、それもかなり長く続く。やがて双六岳の緩やかな山体を間近に見るようになるが、その先がさらにきつい。再びハイマツ帯となり、ようやく行きで見ていた合流点に行き着く。 双六小屋がはるか下に見えてきた。後半から軽い荷物になったとはいえ、今日は9時間以上歩いた。稜上1泊だとやっぱり忙しくなってしまう。 双六小屋に着き、生ビールとラーメンを注文する。日が翳るとTシャツとオープンシャツの2枚だけでは寒い。フリースを着込んで生ビールを飲む。 梅雨明けしたばかりなので、双六小屋もまだ大混雑というわけではない。明日あたりからどんどん登って来るだろう。 テント場はそれでもなかなかの盛況ぶりだった。腹痛も起こさず、今年は無難に双六の一夜が過ごせそうだ。靴下を重ね履きして、7時過ぎに就寝する。 |