山の写真集 > 八ヶ岳 > 冬の天狗岳
-日本の名峰360度のパノラマ-
タイトル
渋ノ湯-黒百合平-東天狗-西天狗
山域八ヶ岳
地域長野県
標高東天狗(2640m)、西天狗(2646m)
山行日2011年2月19日(土)~20日(日)天気1天気2
沿面距離1日目:3km、2日目:6.2km
歩行時間1日目:2時間10分、2日目:4時間
標高差807m(渋ノ湯~西天狗)
宿泊黒百合ヒュッテ
温泉渋御殿湯
交通中央線あずさ、諏訪バスHome



2011年2月19日(土)

新宿駅7:30
 あずさ3号
9:51茅野駅10:25
 諏訪バス
11:35渋ノ湯12:20
13:20八方台分岐13:30
14:50黒百合平
 黒百合ヒュッテ泊

2011年2月20日(日)

黒百合平7:00
7:05中山峠
8:10東天狗8:20
8:40西天狗8:55
10:15黒百合平11:05
11:45八方台分岐
12:10渋ノ湯14:55
 渋御殿湯入浴立寄り
 諏訪バス
15:45茅野駅15:50
 あずさ24号
18:06新宿駅


関連リンク
[記録] 冬の天狗岳と渋ノ湯
黒百合ヒュッテ
渋御殿湯


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朝、外の気温は氷点下標高2400mの八ヶ岳にしては異様に暖かい。Tシャツの上に1枚ジャンパーを着れば、サンダル履きで外に出ても全く寒さは感じない。
ごく簡単な朝食をとり、多くの登山者とともに天狗岳を目指すことにする。

中山峠に上がり、樹林帯を経て稜線伝いに歩く頃は、かなりの強風が吹きすさんでいた。体感温度も急に下がったようだ。目出帽を被って風に備えたが、厳しい天気は朝のうちだけで、太陽が高度を上げるにつれ風もおさまる。
天狗の奥庭に出ると、背後に北アルプスや中央アルプスの大きな眺めが広がった。


西天狗頂上を目指す
▽壁紙サイズ 1024×7681806×1200

前方に大きなザックを背負ったテント泊のパーティーと、ツアー会社の天狗岳往復グループが、長い列を作って急斜面を登っている。一昨年は月曜日だったせいもあり、登降する人は数えるほどしかいなく、心細い面もあったが、今日は大いに賑やかだ。
白銀のスロープを登ると、浅間山や蓼科山など北関東、信越の山々がどんどんせり上がってくる。アイゼンが気持ちよく雪面を噛み、目の上に立ちはだかる2つの個性あるピークに、一直線に近づいていく。

岩場をぬって登る
左側は絶壁
槍・穂高
白無垢の西天狗
登山者の列

岩場を右側から縫うように斜上し、東天狗の頂上に達する。赤岳、阿弥陀岳や硫黄岳の姿が目の前に飛び込む。南アルプスや中央アルプスも。
余裕があれば夏沢峠まで行って本沢~稲子湯コースを考えていたが、東天狗から下る道はヤセ尾根で、トレースの薄さを見てすぐに諦めた。大きなザックのグループはその稜線を下っていった。硫黄岳から赤岳へ向かうのだろうか。
狭い頂上は人であふれ、ゆっくり眺めを楽しむ状況ではい。少し下って西天狗へ、吊り尾根状の道を行く。遠く、金峰山の五丈石が尖がっているのが見える。

目の前の西天狗は、一昨年見たときよりもずっと白い。こういう白無垢の山に登るのは初めてなのでわくわくする。青空に仕切られた白い雪面を、列をなして登っていく登山者の姿も、何だかエベレスト登頂隊のように見える。
自分たちもその列の後ろにつく。東天狗から20分、天空の稜線を歩き、待望の西天狗の頂に立つ。

北アルプスは乗鞍岳から北端の白馬岳まで一直線だ。さらに火打、妙高、その先は日本海だろう。今日の眺望はそれだけではない。浅間山を前景に信越、上越さらに奥日光の山まで一望だ。全方位がいい天気で、ぐるっと360度、山が見えるのも珍しい。

西天狗頂上
南八ヶ岳、南アルプス
蓼科山、北アルプス
上信越の山も
ゴツゴツした東天狗

西天狗の頂上も人がいっぱい。東天狗のほうを見ると、今は誰もいない。今日は人の流れる方向へ歩いているのでどこも混雑している。

少し雲が出て来た。東天狗を経由して下山とする。3名でロープでつながって歩いているグループがいた。前後の若い人はガイドで、真ん中の少し年配の人がお願いしているのかもしれない。
その人たちは東天狗の頂上部には戻らないで、左手の巻き道を進んでいった。そちらに行こうか迷ったが、結局来た道を戻ることにする。

前回は難儀した雪山の下り。さすがに登りのように力任せに歩くわけにはいかないが、今回は少し精神的に余裕がある。前爪のアイゼンにかなり慣れてきた気がする。山道具になじむことも安全登山をするための一要素と言えるだろう。一昨年のように転倒することも無く、天狗の奥庭から無事に下れた。

ただひとつ困りものは、サングラスが曇って雪面が見えにくくなることだ。いつもそうなるわけではなく、特定の気象条件や標高、そして自分の体温などの微妙なバランスで起こる現象のようだ。標高の低い樹林帯のような場所で突然曇ることがある。自分が曇るときは決まって同行者も同じようなので、何かそうなる理由があるのだろう。

多くの人が行き交う黒百合ヒュッテ前でコーヒーを飲み、渋ノ湯へ下る。樹林帯にもぐる前に乗鞍岳方面の眺望を見納めする。
昨日より空気は冷えている。しかし高度を落とすにつれ日差しも復活し、また「暖かい冬の八ヶ岳」に戻っていた。

次のバスまで2時間あるので、食事、温泉とゆっくりする。渋ノ湯の建物の裏側斜面に、カモシカ親子を見る。寒かった今年の冬も、そろそろ出口が見えてきた。