~日本最高所の野天風呂を訪ねる~
2007年8月25日(土)~26日(日)
|
●日本の3000m峰を見渡す頂 夜半に比べ、朝はそう寒さは感じない。テントの結露もなし。 ヘッドランプをつけて出発する。天狗岳への登路は白砂新道をとる。八ヶ岳の登山道としては少しマイナーな存在のようだ。他の道にあるような、明るい文字のはっきりした指導標は立てられておらず、手書きの簡単なものばかりだ。 樹林帯の登りから小さな沢に2度出合う。まだ回りが明るくないので、対岸の登山道がよく見えず、2度目の沢ではそのまま沢沿いに進んでしまう。 おかしいと思い引き返す。今度は少し明るくなってきたので、沢を渡ったすぐのところに登山道の続きを見出す。
沢を離れ急登続きとなる。いったん尾根の突端のような場所に出るが、さらに急登。 やがて背後が明るくなり、日の出は鬱蒼としたコメツガの樹林帯の中で迎える。静寂の森の中に光の線が何本も立ち、その幻想的な眺めにふと足が止まる。 支尾根に上がり左に折れる。急登は続くが周囲はダケカンバの林に変わり、頭上がいっぺんに明るくなる。背後に広い大きな眺めがある。そして雲海が形成されているようだ。 森林限界を脱し草付の斜面へ。白砂新道の終点は、根石岳と天狗岳を結ぶ白砂の稜線だった。反対側にトウヤクリンドウの大群落があって感動もの。 以前通ったときはガスの中で気づかなかったが、遠く御嶽も見えるほど展望の素晴らしい開放的なところだ。山梨側は一面の雲海で埋め尽くされている。
天狗岳がもう目の前。頂上部の指導標がここからも見える。気持ちの良い風に吹かれながら岩がちの斜面を登る。トウヤクリンドウの他にはイブキジャコウソウ、ウメバチソウ。そしてヒメシャジンを八ヶ岳では初めて見る。 足場のわるいヤセ尾根にかけられた鉄製の橋を渡って、天狗岳(東天狗・2640m)の頂上に着く。前回の槍ヶ岳と同じく、この頂上にも7年ぶりの来訪だ。 南側に八ヶ岳の赤岳、阿弥陀岳、硫黄岳と南アルプスの稜線。右に目を転じていけばまず中央アルプスの高く長い壁。御嶽は隣りの西天狗(2646m)に隠れて見えないがさらに乗鞍岳、北アルプスの穂高・槍もはっきりと見える。 近くには稲子岳、にゅう付近の独特な平頂。北八ツの稜線の終点に蓼科山、雲海から頭を出している浅間山群、奥秩父山塊。 期待以上の広く大きな眺望だ。南ア北部・中央ア・北ア、御嶽、乗鞍岳と日本の3000m峰がいっぺんに見えてしまうところが天狗岳の眺望の素晴らしさだろう。3000m以上の山で見えないのは南ア南部と富士山、立山くらいである。 頂上にはどんどん人が登ってきて、あふれんばかりになってしまった。重い腰を上げて、根石岳方面へ短い稜線縦走に入る。 相変わらず展望満点の道を行き、根石岳(2603m)で再び小憩。ここからは御嶽がよく見える。根石山荘への下りでは、花のピークは過ぎたがコマクサがまだまだたくさん咲いている。今年の八ヶ岳は、全体的に花期が遅かったのかもしれない。 |