山の写真集(高見石から天狗岳、にゅう -2-)
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  • -火山の痕跡を巡り歩いて-
  • 渋の湯-高見石-黒百合平-にゅう-稲子湯
  • 八ヶ岳
  • 長野県
  • 高見石(2270m),中山(2496m),東天狗(2640m),にゅう(2352m)
  • 2017年8月27日(日)~28日(月)
  • 6.2km/8.3km
  • 3時間45分/5時間20分
  • 801m(渋の湯-東天狗)
  • 黒百合平(テント泊)
  • 稲子湯
  • 中央線,バス,小海線
天気1
天気2

 

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2017年8月27日(日)
新宿駅 5:18
  中央線
高尾駅,甲府駅乗換
8:49 茅野駅 9:25
  バス
10:20   奥蓼科・渋の湯 10:30
11:40   賽の河原 11:52
12:35   高見石小屋
12:40   高見石 12:45
13:55   中山展望台 14:15
14:45 中山峠
14:50 黒百合平(テント泊)
2017年8月28日(月)
  黒百合平 5:25
5:30   中山峠
6:25 東天狗 6:40
7:30 中山峠
7:35   黒百合平 8:10
8:20   中山峠
8:30 にゅう分岐
9:15 にゅう 9:30
9:43 白駒池分岐
10:05 白樺尾根分岐
11:25 林道
11:42   みどり池入口
11:55 稲子湯 13:56
  バス
14:37 小海駅 14:59
  小海線
16:12 小淵沢駅 16:35
  あずさ26号
18:36 新宿駅

 

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朝、気温はそこそこ下がった。昨日より雲が多く、上の方は風が吹きすさんでいる。
中山峠経由で天狗岳山頂を目指す。戻ったらにゅうに立ち寄って稲子湯に下る。帰りのバスの時間を考えると、西天狗往復はやめたほうがいいだろう。


岩と木の根を乗り越えて、にゅう山頂に向かう

中山峠で朝日と対面

中山峠

東天狗(左)への登り

天狗岳へ

東天狗への登りは上部で展望が開ける

展望の尾根

御嶽山がよく見えた

御嶽山

東天狗山頂から、根石岳を全景に赤岳、阿弥陀岳などの南八ヶ岳を望む。最奥には南アルプス

南八ツと南アルプス

東天狗山頂から、西天狗岳越しに中央アルプスを望む

中央アルプス

東天狗山頂から、奥秩父の金峰山、甲武信岳方面を望む

奥秩父方面

東天狗から北西方向は広大な北八ツの森、雲のまとわりつく蓼科山、遠くに北アルプスを望む

北アルプスも

東天狗直下から、怪異な形の稲子岳を見下ろす。背後の小さな突起は「にゅう」か

稲子岳

オトギリソウ(黒百合平)

オトギリソウ

にゅう分岐から、シラビソの深い森に入る

再び北八ツの森へ

東側の切り開きから、下の方に林道のようなものが見えたが、地図には載っていない模様。背後は硫黄岳

下の方に林道


中山峠で右折し、朝日の眩しい中を登っていく。樹林帯を歩いたり岩上の更地に出たりを繰り返しながら高度を上げていく。
開けたところは風がすごい。帽子を飛ばされそうだなと感じ手で抑えようとした矢先、突風が帽子を持っていってしまった。あっと思い後ろを振り返るが、もう見当たらない。こんなところで被るものがなくなってしまったが先に進むしかない。

登るほどに周囲の眺めは大きくなる。東に奥秩父、西に北アルプスの槍、正面の二つの天狗岳はいつの間にかもう手が届く位置に。
枯れ気味のトウヤクリンドウを見ながら岩の間をすり抜け、黒百合平からのもう一本の道を合わせる。中央アルプス、御嶽山、蓼科山や浅間山も見えてきた。
傾斜がなくなり東天狗山頂に着くと、正面に南八ヶ岳と南アルプスが一望のもとに。北アルプスはさらに奥まで見え、鹿島槍、白馬岳がよくわかる。さらに妙高、火打、焼山も雲海から顔を出している。
天狗岳からは日本の名だたる名峰、中部山岳を形づくる山脈がほとんどすべて見えるといっても過言ではない。富士山を除いては。
風も弱まってきた山頂を独り占めだったが、やがて根石岳方向からそれぞれ登山者がやって来た。黒百合ヒュッテ泊まりの人たちもどんどん登ってくる。

西天狗に往復はせず、下ることにする。展望のいい擂鉢池経由のコースで下山したいのだが、さっき風で飛ばされた帽子が諦めきれず、来た道を下って探すことにした。
太陽と青空が覗き始め、暖かくなってくる。北八ツの広大な森に日が当たってきた。今日の天気予報は長野県・山梨県とも「曇り、ところにより昼頃から雨」の予報だが、意外といい天気で経過しそうである。
帽子を飛ばされた地点に来たら、ハイマツの先端にその帽子が引っかかっていた。さっきはまだ日が出たばかりで薄暗かったのでわからなかったのだろう。来た道を下って正解であった。

黒百合平に戻る。小屋泊り、テントの人、もうほとんど出払っていて、より一層静けさで満ちていた。晩夏の夏山の静寂は一種独特の寂しさを感じる。自分もテントを片付け出発する。
今日登るにゅうは2回目だが、もう10年以上前のことでこのサイトでも山行記を残しておらずあまりよく覚えていない。山の位置やその山名からして、八ヶ岳山塊の中でも異端児的な存在に映る。

中山峠の先の展望地で、ひとりの登山者とすれ違う。さらに5分ほど登っていると、背後のほうで大きな落石の音がした。たぶん中山峠のあたりである。峠はみどり池に至る登山道が下りていて、鎖が設置された急な岩場だったような記憶がある。さっきの人ではなければいいがと思う。
昨日通り過ぎたにゅう分岐でその方向に入る。高見石から黒百合平を結ぶ、標高2400m前後の稜線を外れる感じだ。シラビソ林の薄暗い登山道は緩やかな下りがかなり長く続く。峠から山に至る道なのに下っていくのは不思議な感じがする。
若い男女がやってきた。「さっき雷が落ちませんでしたか?」と不安そうに聞いてきたので落石の音だと説明する。

深い針葉樹の道は樹齢何十年、いや百年を超すであろう大木が立ち苔むしている。まるで太古の時代に迷い込んだようだ。奥秩父の原生林を歩いているときともまた印象が違う。
登山道が稜線の縁に出ると、右側の木の間から稲子岳西面の樹海のような森林帯が見下ろせる。稲子岳は八ヶ岳で唯一と言っていい未開の山であり、一般的な登山道もない。さらに進むと右手に切り開きがあり、そう離れていない下部に林道のようなものが見えた。山仕事の人の作業道のようにも見えるが、いったい何だろうか。
この中山・稲子岳・にゅうの3点で囲まれたすりばち状のエリアは地形の把握がしづらく、謎が多い。

その稲子岳からの稜線が近づいてくる。今歩いている線と合わさるところににゅうがある。登山道はまたしても、大きな岩が積み重なったアスレチックルートに化した。
久しぶりに見た標識は小海町が設置したもので「中山峠←→にゅう」とある。右手の岩尾根に上がり、数分でにゅうの山頂に着いた。

大岩の積み重なったにゅう山頂。目の前は稲子岳、その後に硫黄岳、天狗岳

にゅう山頂から

にゅう山頂からは高見石小屋と、高見石の石積みも見える

高見石も見える

白駒池と稲子湯の分岐

稲子湯へ

にゅうを示す標識

乳が語源らしい

白駒林道とシャクナゲ尾根の上部は苔むす樹林帯

苔むす登山道

大きな岩の間を縫うように登山道はつけられていた

岩をすり抜け

シャクナゲ尾根は文字通りシャクナゲが多い。トンネル状のところも

シャクナゲのトンネル

稲子湯へ下山

稲子湯へ下山

バスで小海駅に下る

小海駅


山頂と言っても岩でできた塔のようなものである。しかし展望はすばらしくほぼ360度。天狗岳、蓼科山はもちろん、奥秩父、浅間山、それにまだ槍ヶ岳も見える。
そしてにゅうからの展望の特徴と言えば、天狗岳から見えなかった富士山が見えることである。北八ヶ岳で富士山が見える山はここと、八柱山くらいだそうだ。

今回の山行は賽の河原から高見石、中山展望台、黒百合平の擂鉢池、そしてこのにゅうと、いずれも岩で構成された地形ばかりだった。これらはもちろん火山活動による堆積物や溶岩流の跡であろう。気がつきにくいが八ヶ岳もれっきとした火山である。
八ヶ岳で火山と言うと、イメージ的には南八ツにある硫黄岳の爆裂火口が思い浮かぶが、むしろ北八ヶ岳のほうにその痕跡が多く認められるようで、1万年前に噴火したとされる北横岳は、現在気象庁により火山(昔で言う活火山)の指定)がされている。
また、西暦800年代に天狗岳で噴火または崩壊があったとする説もある(歴史上の記録は残っていないない)。はっきりした火口跡は硫黄岳以外には見られないが、大岩を踏みしめながら登頂すると、この地が昔活発な火山活動が繰り返されてきたことをいやがおうにも気づかされる。火山の産物である温泉も八ヶ岳では本沢温泉、渋の湯、稲子湯とこのあたりに集中しているのもそれを裏付ける。

にゅうの岩塔を下りて、先ほどの入口まで戻る。ここの小海町の標識は、中山峠方面の表示はあるのに白駒池、稲子湯方面を示すものはない。
登山道はにゅうの西面を巻くように樹林帯を下っている。白駒池から登ってくる人が相変わらず多い。やがてその白駒池への道と分かれ、稲子湯への道に入る。シラビソ林の道は続き、もう一度左から白駒池からの道を合わせる。ここは十字路になっていて直進は白樺尾根、右折は白駒林道からシャクナゲ尾根となり、いずれも稲子湯に通じている。林道と言っても登山道である。
前回はここで白駒池のほうに下山した。今日は右へ行く。標識には「にゅう(乳)」と書かれている。不思議な山名とは思っていたが、おそらく岩が突き出た山頂を遠目から見ると乳のように見えるのでそう呼ばれたのだろう。しかし樹林越しに覗くにゅうの山頂部は岩は露出しておらず、前方の樹林で覆われて見えていた。

展望のない樹林帯をどんどん下っていくと沢状の谷間に下りる。さらに向こう側の尾根に乗り直したところからがシャクナゲ尾根だろう。この前後でまたしても登山道はフィールドアスレチックばりに岩の間をすり抜けていくようになる。こんなところによく登山道を敷いたものだと思う。
八ヶ岳と言うとどうしても南部の明るい岩尾根をイメージしてしまい、北八ツにしても樹林と池が織り成す高原地という印象があったのだが、今回の山行でその先入観がある程度崩れた。八ヶ岳はこの狭い山域の中で実に様々な植生と景観を登山者に示してくれる。

岩の道が終わると穏やかな尾根上となる。下の方からガガガガ・・・と重機の音が聞こえてきた。みどり池からの林道がそんな遠くにない位置にこの尾根道はある。しかし山は深く、今度はシャクナゲの森になった。このシャクナゲの密生度がすごく、トンネル状になっている状態が10分以上続いた。花期の6月に白駒池目当てで登るのもいいかもしれない。

不意に林道に下り立ち、少し進んだところで再び登山道に入る。このあたりで広葉樹林が多くなり、里に近い雰囲気となる。唐沢橋でみどり池からの林道と合流する。車が何台か停まっていた。にゅうからの長い下りもここで終了となる。
ショートカットの登山道を歩いて稲子湯に下る。手前の木道にはサワギキョウが花をつけていた。爽やかな青空と秋雲が頭上に広がっていた。

入浴後、バスで小海駅に下る。小海線は久しぶりに乗る。車内は混雑し、特に清里駅から先は立ち客も多く出た。それにも増して混んでいたのが小淵沢駅からの電車だった。平日であってもあまり関係ない。駅弁もいつの間にか高くなっていた。高原野菜カツ弁当が1400円とは何かの間違いではないだろうか。
久しぶりの電車・バスでの八ヶ岳山行では初秋を感じる爽やかな山を楽しめたが、麓の人の多さや懐具合の面ではやや爽やかさが欠けた。