●展望の経塚山を越え夏油温泉へ
(金明水~経塚山~お坪の庭~夏油川~夏油温泉)
タカネグンナイフウロと牛形山
|
翌朝、残念ながら青空は無い。だが高曇りで展望は望めそうだ。
5時過ぎに発つ。樹林帯の道が続く。このへんの樹木はみな、背が低く一方向に傾いている。これは雪の重みのなせる技なのだろう。
アップダウンが激しい上に道の表面はでこぼこが多い。そんな道に終始、下草がかぶっているので何度もだまされひっくり返る。東京周辺の山で、手入れされた道ばかり歩いていると、こういう自然に近い状態の道に難儀する。
しばらく行くと視界が開け、経塚山との鞍部に着く。草原状の台地にタカネグンナイフウロが一面に咲いている。
経塚山へは、急だが気持ちのよい、視界の開けた登りになる。高みに上るにつれ、背後に焼石岳の全貌が姿を現してくる。左側には牛形山、右側に遠くかすんでいるのは栗駒山。やっと展望を楽しめるようになった。
キバナノコマノツメ
|
タカネグンナイフウロ
|
ハクサンチドリ
|
キスミレ
|
サンカヨウ
|
経塚山の頂上に着く。風が強い。イワベンケイ、ミヤマキンポウゲが咲く。昨日果たせなかった分、360度の展望を存分に楽しむ。
経塚山の稜線とハクサンチドリ
|
経塚山からしばらくは、終始展望のいい中、山腹を巻くようにして下って行く。タニウツギやハクサンチドリが多い。ここで焼石連峰の姿にさよならする。
気持ちのよいブナ林を抜け、高度を下げる。もういいかげん無いだろうと思っていた雪渓にまた出くわす。かなりの急斜面で長い。ついに軽アイゼンを取り出す。ストック、スパッツ、ツェルトなど今回持ってきた装備はフルに使った。
シャクナゲ(葉だけ)、ムラサキヤシオツツジを見ながらさらに高度を下げる。水場のあるあたりはまだ新緑の装い。ジグザグな急斜面を降り切り夏油川の川辺で一休みする。
ここから夏油温泉まで、林道を歩く。最初は緩やかだが長い登りでこたえる。ようやく下り気味になる頃、はるか下方に温泉の赤い屋根が見えた。
夏油温泉
|
気持ちのよい青空の道となった。夏油(げとう)温泉に着く。
ここは本当の温泉地、湯治場といっていいだろう。せまい敷地に自炊場が建ち並ぶ様は、何十年もタイムスリップしたような錯覚に陥る。
熱い湯につかりながら、東北の山を横断した満足感に浸った。
|