~ブナに包まれた会津の名山~ しづくらさん(1234m) 2004年10月23日(土)曇り 栄光舘7:15-7:25会津宮下駅-[三島町営バス]-7:45間方7:50-8:40登山口8:45-[大沢コース→二子岩コース]-9:50最後の水場9:55-10:15三本松-10:35ブナ平-10:45志津倉山11:35-大辺峠分岐-[細ヒドコース]-12:50登山口-13:30間方14:10-[三島町営バス]-14:35会津宮下駅(桐の里倶楽部で入浴)16:00-[只見線]-17:30会津若松駅(グリーンホテル会津泊) 歩行時間:4時間40分 |
朝起きると、何とか青空が覗いている。しかし山の方角はまだ雲が多い。5時ごろ起きたとき、このへんでもまだ降っていた。おそらく山は今もまだ止んでいないだろう。 志津倉山へ登る人もう一人の人とともに、朝食は6時40分に早めてもらい、会津宮下駅を7時25分に発車する町営バスに間に合うようにした。
志津倉山は一般には、マイカーやタクシーでのアプローチが登山ガイドなどで紹介されているが、平日と土曜日なら町営バスが使える(ただし本数少ない)。終点の間方から登山口まで舗装道を3kmほど歩くことになるが、電車・バス派ならこのくらいの距離は許容範囲で全く問題ない。 バスは山間の地にどんどん分け入っていく。時々現れる集落のたたずまいは山村の雰囲気がいっぱいで、とても好ましく感じる。 路面はまだ濡れておりつい今しがたまで雨が降っていたようだ。空の雲も厚い。 終点の間方(まがた)集落まで800円。終点といっても停留所の標識のようなものはない。帰りにここに戻って来たとき、気づかず通り過ぎやしないかと心配する。 雨上がりの車道を歩き入間方集落に入る。昔ながらの民家が点在し農作業をする人も見受けられる。「桐の里」三島町は木工品のほかに編み細工や陶芸など、伝統的工芸品の町として知られており、ここ入間方にも工房がある。 周囲の山々を見上げると、もうかなり紅葉が進んでいる。 進む先に志津倉山の雨乞岩が見え出す。しかしそこからが意外と長く、バス停から50分ほどでようやく駐車場のある志津倉山登山口に着く。車の数を見ると登山者はかなり入っているようだ。 「志津倉の鐘」を鳴らし、沢沿いの登山道に入って行く。何度か渡渉するが、台風23号の影響か水量は多い。道はタフで思った以上に歩きでのある山のようである。 雨乞岩が目の前に大きく現れる。上辺が稜線直下まで達しているほどの巨大な一枚岩で圧巻だ。 そこから沢沿いになおも行くと分岐となり、プレートの矢印は右折して沢の反対側に渡るよう導いている。そちらへ行くと、岩場のある二子岩コースとなるがその方向へ進んだ。なお大沢コースは分岐を直進するようだったが、特に指導標がないので初めて歩く人は二子岩コースに入ってしまいやすい。 岩がちの急坂を登り切ると、雨乞岩がすぐ近くに眺められるような場所に出る。少し無理すれば岩の縁に乗れるかもしれないが、そのまま下へ滑り落ちてしまうだろう。
その後も急登の連続となる。猫啼岩の眺められるガレ場の縁に出るとじき下降路となり、小沢を渡った後大沢コースと合流する。ここが「最後の水場」となる。 シャクナゲ坂の急登となる。急登ばかりで骨が折れるがなかなか変化の多い道で面白い。ただ、雨の直後なので落ち葉がしめっていて滑りやすく、普段は何と言うことのない道でも通過には危険が伴う。 紅葉時期の山歩きは出来れば雨後を避けたいが、こういう遠路の山行は天気が選べないのでしょうがない。 鎖場やロープのかかるヤセ尾根に乗り上げ、背後にだんだん展望が開けてくる。「三本松」の表示を見るとやがて鞍部となり、やっと一息つく。松が何本か立っている。 このへんからブナが一段と多くなる。みごとに紅葉していて楽しい道がしばらく続く。 平坦な道を歩いていくとやがてブナ平という場所に出る。左は志津倉山本峰だが踏み跡は薄い。右折し頂上への道に入る。腰から下は笹、周囲は見事なブナの林。10分ほどで志津倉山頂上となる。
曇ってはいるが眺めは広い。しかしこのへんの山域は同定することが出来ず、北西面に御神楽岳がわかるくらい。天気がよければ飯豊も見られるとのことだ。 頂上で憩う人も多く、やはり紅葉の時期は特に人気の山である。 しかし日が射していないのでやはり寒い。厚着をしてまずはコーヒーを作り、お昼休憩とする。 豊かなブナ林はここ頂上まで続いていて、ブナの木があふれている、といった形容が当てはまる。志津倉山は本当にブナに包まれた山なのだというのがよくわかる。 下りは細ヒドコースを取るが、この道も頂上からずっと素晴らしいブナの森だ。 右折して尾根を下り始めると、ここもなかなかの急坂。濡れ落ち葉で足場が悪くなっているところもあり要注意だ。
やがて、高度を下げ周囲に緑が増え始めた頃、再び沢に出会う。じきに朝通った大沢コースと合流して登山口に戻る。 志津倉山は大沢コースと細ヒドコース、どちらから登ってもタフで骨の折れる山である。登山ガイドでは登山口からなら3時間程度の短い行程で紹介されているが、実際はもう少しかかると思われる。 自分には登山口から間方バス停まで歩いて戻る行程が残っている。集落に入って振り返るとやっと青空、志津倉山の稜線のブナ林にも日の光が当たり始めている。 行動中は曇っていて残念だったがブナの精に十分触れることが出来た。 バスで会津宮下駅に戻り、只見川沿いの「桐の里倶楽部」で入浴する。今日は臨時列車「SL只見号」が運行される日。川向こうからボーッと汽笛の音が聞こえてくる。 只見川は台風23号による大雨のためいまだ茶色い水。昨日も不思議に思ったのだが、水面を見ると水が日本海側から山側に流れている。多分表面だけなのかもしれないが奇妙な現象である。増水の影響なのだろうか。 只見線で会津若松に戻る。この便の前にSL只見号が走っていた関係で、撮影を終えたカメラマンが多く乗っている。そのうち学校帰りの学生も乗り込んできて、旅情豊かなローカル線もけっこうな混雑となる。 会津若松駅前の食堂で夕食とする。と、突然に激しい揺れが襲ってきた。新潟中越を震源とする地震だった。 |