2015年5月23日(土) 前夜発 |
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五反田IC |
19:10 |
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首都高 東北自動車道矢板北PA泊 |
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西那須野塩原IC |
4:45 |
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国道400,121,352号 |
6:35 |
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滝沢登山口 |
6:40 |
6:55 |
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山ノ神 |
◇ |
8:00 |
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湯ノ倉山分岐 |
◇ |
8:15 |
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主尾根 |
8:25 |
8:55 |
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大嵐山 |
9:45 |
10:20 |
湯ノ倉山分岐 |
◇ |
10:47 |
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湯ノ倉山 |
11:05 |
12:00 |
山ノ神 |
◇ |
12:15 |
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滝沢登山口 |
◇ |
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国道352,121,400号 湯ノ花温泉共同浴場(路端の湯,石湯,天神湯)立寄り
道の駅番屋立寄り 道の駅たじま立寄り |
17:05 |
西那須野塩原IC |
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東北自動車道 首都高 |
18:50 |
五反田IC |
◇ |
会津・湯ノ花温泉の背後にある大嵐山(おおあれやま)は、あまり一般には知られていないが、地元では毎年5月に山開きも行われている身近な山である。
数年前に田代山に登った時は存在さえ知らなかった。その後会津の山をいろいろ調べていくうちに、なかなか面白そうな山ということがわかってきた。
今年の山開きが行われる前日の土曜に出かけた。
大嵐山への登路にて、残雪眩しい三岩岳と会津駒ヶ岳を望む |
西那須野塩原ICから、いつもの国道400号~352号のルートでいく。道は空いていて、塩原渓谷や温泉街、そして会津の広々とした田園風景など景色もよく、運転が楽しい道である。道路に設置されている寒暖計は何と3度を指していた。山間はさすがに寒暖差が大きい。
湯ノ花温泉に近づくと、地元の小学校の校庭がものすごく広くて、校舎も立派なのに驚く。温泉街入口にある商店の横の道に入る。舗装された林道を10分足らずで、林道終点の滝沢登山口に着いた。車は5台ほど置けるだろう。まだ誰もいない。
杉林の道で始まるが、山ノ神で湯ノ倉山との分岐を見たあとは沢沿いに緩く登高する。甘いいい香りがするのは、カツラの木だろうか。
沢沿いの道はタチツボスミレ、ラショウモンカズラ、そして断然ニリンソウが多い。三輪の花をつけているのも多く見かけるが、サンリンソウなのだろうか。葉の出方を見ると、どうやらニリンソウでよさそうだ。
まだ朝早く、花が十分開ききってない。下山頃には美しい花園になっているのを期待する。
踏み跡は一応付いていて迷うようなところはないが、一般の人気の山に比べればかなり薄い。山開きの前日でこのような状態なら、残雪の時期はかなり大変かもしれない。
沢が枯れ沢状になってもなお谷筋を行く。このあたりは残雪が溶けて間もないのかもしれない。正面にカツラの大木が、まるでこの山の番人のようにデンと居座っていた。
長い沢筋の踏み跡を脱し、左手の尾根に取り付く。ブナの二次林となり、新緑の清々しさが体感されたが、かなりの急登である。湯ノ倉山からの道と合流した後もさらに厳しい傾斜でたっぷり汗を絞られた。
不意にあたりが開け、主稜線に出た。東側の足元は切れ落ち、眺めが良い。いくつものピークを連ねた山稜が遠望されるが、七ヶ岳であろう。ここには新緑のブナに混じってアスナロの大木も見られ、荒海山と同じ山域であることがうかがえる。
これ以降も急登が続くが、眺めがある上、アズマシャクナゲなどの花が見られ楽しい登高となる。2箇所ほど残雪を踏む。イワウチワが咲いていたが、雪の溶けたところはすでに花は終わっている。オオカメノキ、タムシバなどの木の花はここでもよく咲いていた。
ところどころ樹林の切れ間から三岩岳と会津駒ヶ岳の雪山が見えた。一番高く、堂々としているのは三岩岳で、会津駒はむしろ三岩岳の峰続きのようにも見え、控えめな存在である。その左には尾瀬の燧ヶ岳も頭を出していた。
大嵐山山頂は東西に細長く、いろんな場所で腰を下ろせるので長時間眺めを楽しめそうだ。登ってきた方向には三岩~会津駒の雪山があるのだが、ここだけ樹林で目隠しされている。他はいずれの方角も大展望。細長い山頂を端から端まで歩いて見える山を確認する。
高原山、荒海山、二岐山、七ヶ岳、三岩岳、会津駒、燧ヶ岳、田代山・帝釈山と会津や北関東の山が軒並み視界にあった。近いところでは八総の佐倉山や秘峰の枯木山も。南会津の山は下山後に立ち寄りたい温泉がたくさんある(どっちがついでかわからない)。この近くの山は事前によく調べておいて、季節のいいときに登れるようにしておきたい。けれど枯木山は自分には無理だろう。
山頂にはムラサキヤシオやツバメオモト、ショウジョウバカマも咲いていた。幾重にも重なる山並みにぐるりと囲まれ、展望に飽きることなく久々に長い時間滞頂した山だった。
下山は途中まで来た道を戻り、湯ノ倉山に至る尾根道を行く。ようやく2人の登山者に出会う。稜線で会津駒の眺めを見納め、樹林帯に戻る。登りで急登だった尾根は下りも急坂である。分岐で湯ノ倉山方面に進む。山腹を少しトラバースしたあとは、穏やかな新緑の尾根道になった。今までの道がずっとタフだったので、ようやくホッとできる登山道に出会った。
ミズナラやカエデの多いグリーンカーテンの細尾根である。
やがて湯ノ倉山への登り返しに入るが、それほどきつさは感じず、タムシバの咲く湯ノ倉山山頂に着いた。展望はいまひとつだが大嵐山の三角形がよく見え、南側も一部切り開かれている。湯ノ花温泉への下山路以外にも、しらかば公園に下るコースも分岐していた。
湯ノ倉山からの下りは、今日の行程中一番の急傾斜だった。沢沿いの道もなかなかの難路だったが、こちらを登りにしなくてよかったと思う。我慢して下るうち、急坂もだんだん穏やかになってきた。やがて、登路と同じようにニリンソウの群落が当たりを覆いはじめる。今の時間ならみな花開いているので、壮観な眺めである。
やはり花を3輪つけているものが多いのだが、葉はニリンソウである。ニリンソウは茎から直接葉が出ていて、かたやサンリンソウの場合は葉柄があるので茎から直接葉が出ていない。ここに生育しているのはみな葉柄がないものばかりだった。
そうしているうち、何と花が4輪出ているものを見つけた。正確には3輪プラス花を落とした茎だけのものが1つだったが、4輪のニリンソウは初めて見た。
サンリンソウなら4輪もそう珍しくはないようなので、かえってニリンソウであったほうが貴重である(でもニリンソウには5輪あるものも見つかっているそうで、上には上がある)。また、八重のニリンソウも見つけることができ、収穫の多い下山路となった。
山ノ神に下り立ち、登路の沢コースを合わせる。あとは緩く下っていくのみである。登山口の駐車場には車が自分のもののほかに3台停まっていた。山中で会ったのは2組だったので、もう一組は沢沿いのコースを登っていったのだろう。
車で湯ノ花温泉まで下る。旅館で入浴券を買い、前回同様共同浴場巡りをする。弘法の湯は前回入ったのでパスし、それ以外の3つにはいる。路端の湯は熱い湯だが一番のお薦めであり、今回もまた入った。他に石湯、天神の湯にも入る。こちらはいずれも適温だった。窓からの緑の山を眺めながらの風呂は格別である。
新潟の長岡から、温泉目的でやって来た人がいた。木賊温泉に入ってからこちらに立ち寄り、さらに只見線沿線の金山町の温泉にも足を伸ばすそうである。温泉が趣味の人はここ湯ノ花温泉は絶対外せないだろう。
共同浴場を全部巡っても、時間はまだ14時台。来た道を車でのんびりと帰ることにする。道路の寒暖計は25度になっていた。
途中の2つの道の駅に立ち寄り、まず番屋で蕎麦を食する。道の駅たじまにはヒメサユリの鉢植えが売られていた。こんなものを栽培し売っているのは知らなかった。一輪のみで700円である。
ためしにまだ蕾のものを1鉢買っていったが、東京で一晩置いておいたら、翌朝もう咲いてしまった。やはり麓は暖かいからなのだろう。