~ブナ林と高山植物、展望の稜線漫歩~ かむろさん(1365m) 2003年5月30日(金)晴れ
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山形・秋田両県にまたがる神室連峰は「みちのくの小アルプス」と言われ、東北では珍しく起伏の多い褶曲山脈として知られている。標高の割に高度感のあるヤセ尾根からの展望は素晴らしく、また高山植物も豊富ということで、今年の春山のしめくくりとして、前から計画していた。
しかし1週前に三陸沖を震源とする地震が発生、神室山のお膝元である最上地区でも震度5弱を記録。バスなど道路状況や登山道の状態が気にかかる。さらに5月としては異例の台風接近と、悪条件が重なった。 しかし、この時期がひとつの登山適期と考え休みを取ったので今さら変えるわけにはいかない。山は逃げないが休暇は逃げるのだ。 この山はどこから登るにしても長い行程となり、遠方からの訪問の際は山頂避難小屋泊まりが現実的だ。しかし台風が接近し、天気予報を信じるなら山頂泊まりは不安が大きい。 検討したあげく、1日で登り下りし麓で後夜泊することを計画の第一候補とした。しかし最終的には山頂に着いてから決めることにした。
●土内登山口からブナの森へ 前日、金山町観光課に交通機関や登山道の状況を確かめたところ、特に問題はないとのことだった。 今考えると、夜行バスでのアプローチは、今回の予定からすると体力的にかなり無茶だったかもしれない。しかし東北急行バス(車両は山形交通)の寝心地が意外に快適で、翌朝すっきり起きられたのがよかった。
新庄駅前には6時少し前に着。土内(つちうち)に向かうバスは8時台の発車(土日は10時台)なので、タクシーで土内登山口まで行く。よりによって最長の登路を取ってしまった。自分の内面的に、まだ山頂で泊まろうとする気持ちが働いていたのだろう。 登山口には土内川沿いに、火打岳への取り付き(火打新道)である吊り橋がかかっている。タクシーを下りた所で朝食を取り、さあ林道を進む。 天気は快晴、ここ数日都心でもようやく青空が見え始めたが、それでも東北の空のほうがずっと澄みきっている。 30分ほどで林道終点(土内口)。山菜採りのおじさんの車が停まっている。登山道は、沢を何度か渡りながら、平坦な道が続く。 「止まりの滝」「曲がりの滝」などの導標が見られるが、その方向をパスして今日はひたすら登山道を進む。 途中、狭い岩場を下りて徒渉する箇所がある。足場が打ちつけられているのでそう困難なものではないが、ちょっと緊張する。 沢沿いの道はところどころにセンジュガンピが咲く。こんな5月の時分の花なのだろうか、ちょっと不思議である。 やがて雷滝を右前方に見、緩く上がって行くと雷滝の源頭に着く。指導標があり、神室山頂まで8.5kmとある。登山口からここまで5kmあまりとあるので登りだけで14km、今日下るとすればおそらく20km以上の歩程となるだろう。1日の歩行距離としては、今までの最長記録となる。 ここからはブナ林を中心としたジグザグの登りとなる。展望のよいはきかえ峠からはこの先歩く稜線が見える。さらに進むとさらにブナの密度は増し、太く背の高い巨木が次々と現れる。 しかし倒木が多く、あちこちで踏み跡をわかりにくくしている。これらは雪の影響なのだろうか。ひと冬でこんなに倒れまくるものとも思えないが。 |