山の写真集 > 東北 > 神室連峰縦走
  • -限りなく続く展望の稜線-
  • 有屋口-神室山-小又山-火打岳-槍ヶ先
  • 栗駒
  • 山形県
  • 神室山(1365m), 天狗森(1302m), 小又山(1367m), 火打岳(1238m), 中先(1138m), 槍ヶ先(1051m),
  • 2014年10月10日(金)~11日(土)
  • 1日目:5.2km、2日目:20.5km
  • 1日目:3時間35分、2日目:8時間10分
  • 942m(有屋口-小又山)
  • 神室山避難小屋
  • しみずの湯
  • 高速バス、路線バス、JR陸羽東線
天気1
天気2

 

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2014年10月10日(金)前夜発
曇り
浜松町バスターミナル 22:30
  夜行高速バス
6:40 新庄駅 7:20
  山交バス
7:58 金山町役場 8:15
  タクシー
8:45   有屋登山口 8:50
10:05   二俣 10:12
11:45   春日神 11:50
12:10   1325mピーク
12:40 神室山
12:45 神室山避難小屋(泊)
2014年10月11日(土)
曇り後晴れ
6:30   神室山避難小屋
8:00 天狗森 8:15
9:05 小又山 9:20
9:45 サンショ平
  15分休
11:00 砂利押沢分岐
11:45 火打岳 12:15
12:35 大尺山
13:25 槍ヶ先 13:40
15:05 親倉見 15:15
16:20 鵜杉駅 16:54
  陸羽東線
17:19 新庄駅
(しみずの湯立寄り)
21:40
  夜行高速バス
6:20 浜松町バスターミナル

 

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2週間前の月山に続いて、今回も山形県まで足を運ぶ。再び夜行高速バスを使う。
「東北のアルプス」とも言われる神室連峰は、峻険なヤセ尾根の続く褶曲山脈で、登山の対象として大いに魅力的である。2003年に台山尾根から神室山に登り、西ノ又に下山した。日帰り山行ではあったが残雪、お花畑、新緑、展望とどれも素晴らしくて強く印象に残り、その後の自分の山の嗜好に大きな影響を与えたと言ってもいい。
しかしその時、展望のいいと言われる山頂の避難小屋に泊まらなかったこと、縦走しなかったこと、この2点がずっと心に引っかかっていた。何であんないい山を日帰りで通り過ぎてしまったのか。
その後、毎年のように再訪の機会をうかがっていた。2006年に一度、縦走の計画を立ててバスのチケットまで購入したが、天気予報が思わしくなく直前でキャンセルした。
それから8年後の再計画である。ガイドのコピーも地図も、8年前に用意していたものがようやく日の目を見る。


神室山山頂から小又山(左)、火打岳(中央)へ続く稜線を望む

近代的な駅舎の新庄駅。高速バスや路線バスの停留所は駅前のロータリーにある

新庄駅

金山町は、石堤を流れる小川や白壁と杉板張りの家が並び、昔ながらの落ち着いた町並みが見られる。神室山への信仰登山が盛んだった鎌倉~室町時代にかけては、宿坊として栄えた歴史がある

落ち着いた風情

金山町からタクシーで有屋登山口へ

タクシーで登山口へ

有屋口からの登路は、神室山への登山路の中で比較的楽なコースと言われている

有屋登山口

二俣の導標。熊にかじられた跡か

かじられた跡?

二俣から先はブナ林の登りとなる

高度を上げるにしたがい色づいた木々が目立ってくる

ブナ黄葉

ブナ黄葉

次第に色づいていく

春日神の大岩。ここから先は低潅木の展望の尾根へ

春日神

神室連峰の縦走というと、一般には神室山から新庄市の杢蔵(もくぞう)山までを指す。一般の登山地図は掲載外になるので、地元の最上町役場が刊行している登山地図が重宝する(入手は最上地域観光協議会に連絡)。縦走路20km、コースタイムは11時間以上という健脚コースである。日の短い紅葉時期は暗いうちから歩き出さないと、下山前に日没を迎えてしまう。
縦走路中、エスケープルートはいくつもあるので、今回は無理せずに途中で下山することとした。

夜行バスは6時40分に新庄駅前に着く。夜半雨模様だったようで、まだ少しポツポツと落ちている。
やがてやってきた金山町行きの山交バス(路線バス)に乗る。今日は平日で、途中で小学生が何人も乗ってくる。金山町役場前で金山町営バスに乗り継ぐ予定だったのだが、到着が遅れてすでに発車してしまっていた。山交バスが時刻表通りに運行してくれていれば2分の余裕があるのだ。
運転手さんに前もって確認しておけば、間に合うように調整してくれたかもしれないが、平日は小学生の乗り降りに時間がかかるようでもある。それでも予定より10分近くも遅れてしまうとは想定外だった。
仕方がないので、登山口までタクシーを使う。土休なら町営バスの便がなく、必然的にタクシーを使うしかないので、これでは平日にやって来たうまみがなくなってしまった。
タクシーが来るまで、金山町の風景を眺める。白壁のがっしりした木造住宅が昔懐かしく、見ていて飽きない。山の格好の人がもう一人いたのでタクシー相乗りを誘ったら、しばらく金山町を散策しているということだった。

そのうち町に一台のタクシーがやって来たので乗る。運転手さんによると、今度の日曜日に金山町で育樹祭があり、皇太子さんが訪問されるということで、その日は道路規制などが厳しくなるとのこと。そしてこの数日で、道路補修などの整備が完璧になされたと言う。朝早いにもかかわらず役場の回りに大勢人がいたのは、そういうわけだったのか。
タクシーは有屋ダムを過ぎて、有屋登山口まで3570円だった。

金山川の瀬音を聞きながら、しばらくは平坦な道を進んでいく。やがて大きな看板のある登山道入口に来ると、少し登り加減の道が始まる。山腹の道は少し外傾して歩きにくい部分もあるが、大方は調子よく歩を進められる。小沢を渡って周囲には色づいた木々もちらほら目につき始める。ブナも現れてきた。
小さい尾根を乗っ越すあたりでは沢から離れるが、再び沢の脇を歩くようになる。やがて二俣に到着。標柱がかじられているのは熊の仕業だろうか。今日は登山口から熊除けの鳴り物をぶら下げての歩きである。有屋口コースは神室山への一番短い登路と言っても、山が深いので装備は怠れない。

二俣からは、尾根伝いの本格的な登りとなる。登山道はジグザグに切られているので、きつさはそう感じない。尾根上のブナも色づきが鮮やかになっていくが、頭上の青空の面積が狭まり薄暗さが増す。
右手には台山尾根が高い。上部は紅葉しているがガスが出てきてくすんでいる。一人の男性が下りてきた。昨晩は避難小屋に泊まったと言う。今日こんなに天気が悪いとは思わなかった、とも。背負っていたザックが、自分の日帰り用の35リットルと同じものだった。神室山避難小屋はマットや寝具も少し用意されているので、平日であればあまり重荷を背負わなくてもよさそうな気もする。けれど自分は今日、念のためにマット・シュラフとも持参である。

西ノ又沢コースは、吊り橋が傾いているため通行禁止の表示があった

通行禁止の表示

神室山山頂は、樹林など遮るものがない

神室山山頂

神室山山頂から、小又山方面の縦走路の取り付き部分を見下ろす

縦走路を見下ろす

神室山避難小屋は山頂から数分下ったところ。眺望満点の場所に建っている

神室山避難小屋は2010年に再建され、まだ新しさがうかがえる

神室山避難小屋

夕日を受け赤く染まる、前神室山付近の山肌

夕映えの神室連峰

山並みと雲海の先に鳥海山を望む

鳥海山


ジグザグを30回ほど重ねただろうか、周囲は潅木帯になりやがて春日神社の大岩に出た。別に社はなく、岩に「春日神」と刻まれている。
ここから先は高い木もなく、展望の稜線となるはずだったが残念ながら周囲は一面の乳白色。朝方の悪天が山ではまだ尾を引いていたようだ。風もヒューヒューと音を立てて吹きすさび、雨が落ちてこないのが不思議なくらい。これは早めに小屋を目指したほうがよさそうだ。
ひと登りして1325mピーク、そのすぐ先で前神室山から続く主稜線と合流した。11年ぶりの神室稜線は、強風下のガスとなってしまい残念。けれどこの伸びやかなヤセ尾根は覚えがある。
緩やかに上下していくと「栗駒国定公園」のレリーフがあった。ここは栗駒山域の一部とすることもできるが山容はずいぶん違う。栗駒国定公園には栗駒山、神室山の他に焼石岳、虎毛山、禿岳などがあるがどれも個性的で、ひとつの山域にまとめることには無理がある。さらにその先で西ノ又口コースと合流する。なお西ノ又口コースは吊り橋崩落とのことで通行禁止の表示があった。
20m程の岩場があった。時々強風が吹くので慎重に下る。ひと登りで神室山山頂に到達。11年ぶりの登頂の余韻もそこそこに、吹きすさぶ風を避けるように、そのまま避難小屋まで下った。

尾根の肩にある神室山避難小屋は、10年ほど前に老朽化のため使用禁止になったが、2010年に再建された。復活してほしいとの登山者の要望が多かったと言われている。山頂すぐ下に位置し眺めがよく、山小屋としては最高の場所に建っていると言える。2003年に見た再建前の小屋は屋根が赤かったが、現在は茶色と灰色を基調としており、2階建てのがっしりした造りである。
中に入ってみると、脇にバイオトイレがあってすぐ階段がある。1階・2階合わせて板張りで30名ほどは泊まれるだろう。フカフカの毛布などの寝具がビニールケースに収納され、ハンガーは豊富、銀マットも20枚くらいある。
そしてなんといっても素晴らしいのは清潔なことである。この避難小屋は新庄市、金山町、最上町そして秋田県湯沢市の4市町村が共同で維持管理にあたっており、布団干しを含めた清掃作業が定期的に行われているのだろう。ここに管理人が常駐していないのが不思議なくらいである。
そして、混雑することがあまりないのも魅力だ。紅葉の今の時期でも、平日ならあまり人は来ないだろう。東京からはるばる泊まりに来る価値のある山、そして小屋である。

水場へは、台山尾根ルート方向を歩き、すぐ左の踏み跡に入る。特に表示はないが左手に落ち込んでいる沢筋を目指す。枯れた沢を50mほど下っていくと水の流れにありつけた。急降下なので、サブザックを使用すべきである。初夏はアイゼンが必要になるかもしれない。

2階に上がり寝床を作っていると、窓を通して外が明るくなってきた。しばらくして表に出るとガスは晴れ、青空がいっぱいになっている。山頂に登り、360度大パノラマを満喫する。
前神室山への稜線と雲海に浮かぶ鳥海山、東には虎毛山、南には明日目指す小又山を始めとして、神室連峰の稜線が限りなく続いているのが見渡せた。特徴ある火打岳もはるか遠くに見える。
これほどまでの連綿とした山並みの広がりは、脊梁山脈の中心である神室山からならではのもの。素晴らしい眺めである。11年前の記憶も蘇ってきた。
これがたかだか1300m台の山がなす風景だろうか。「山高きゆえに貴からず」とは、まるで神室連峰のためにある言葉である。
自分が今まで登った山での展望ベスト5は、甲斐駒、白毛門、飛竜山禿岩(奥秩父)、槍ヶ岳、塔ノ岳(丹沢)だが、神室山も入れたい気になってきた。

日が傾くにつれ、前神室の山肌も夕日を受けて赤らんでくる。明日の天気は大丈夫そうだ、そう思ったがやがて、日本海側から再び雲の塊がやってきて神室山地を覆い始めた。風も再び強まる。
小屋にはもうひとグループが到着した。明日同じく連峰縦走するそうである。明日の空模様に一抹の不安を抱えながら床につく。