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~会津のいで湯と名刹を訪ねて~
タイトル

はかせやま(1482m)

2006年11月2日(木)~3日(祝)

道海泣き尾根-社峰
-博士山-大谷滝尾根
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ネズコの大木(博士山尾根上)[拡大 800×562]

●大木の間をぬって頂上へ
朝、朝食を早めてもらい、予約しておいたタクシーで7時半に出発する。付近は深い霧が立ち込めている。

柳津タクシーの運転手さんと紅葉の話、中越地震の話などをする。周囲の山肌は、低いところからもう十分に紅葉しているので、やはり高い場所は終わっているだろう。
博士山に熊は出ますか、と聞いたらただ笑うのみ。「そういえばこの間東京から来たお客さんは、熊には会わなかったと言っていたなあ」との言葉は、熊と会うのは特に珍しいことではないということを暗に語っている。

大成沢の集落から車道を上がり、駐車場のある博士山登山口で下りる。先客の車が1台停まっていた。
タクシーは良心的で、迎車代を取らない。西山温泉から登山口まで3320円で済んだ。


道海泣き尾根登山口

紅葉とブナ

アスナロ

博士山頂上

どうやら霧も晴れてきた。会津特有の雲海になっていたのかもしれない。
鈴をつけて登山口に入る。最初は小沢沿いに道がつけられ、ぬかるんでいる。高度を少し上げただけで、もう紅葉の一番いい所になったようだ。
間もなく水場。ここから尾根に取り付くのだが、聞きしにまさる急登だ。僧道海も苦められたと言う「道海泣き尾根」である。トラロープを頼りに、木につかまりながら体を引き上げていく。

カメラのレンズフードを落としてしまった。この傾斜ならコロコロと落っこちていってもしょうがないのだが、ちょうど後ろにいた夫婦に拾ってもらえた。
傾斜が急なので面白いように高度を稼げるが、紅葉の見れるラインからも早くに抜け出てしまい、以後は落ち葉と冬枯れの林の中を登るようになる。

覆いかぶさるような大きな岩が出てくるとそこがシャクナゲ洞門だった。しかし思ったほどシャクナゲの木は多くない。
地形図を見ると、等高線の密度はシャクナゲ洞門の前も後もそう変わらないので急登は継続するのではないかと思うが、ここからは不思議となだらかな登りに変わる。
低潅木を手で払いながら進むと尾根筋に出る。大谷滝尾根との合流点だ。針葉樹の大木が1本。これはアスナロであろう。

博士山へはここから、ヤセ尾根の稜線を辿っていくことになる。細い道に大木が立ち並んでいる。ブナとアスナロ、そして針葉樹がもう1種類ある。アスナロとは葉の形が違う。どうやらネズコのようだ。
谷川連峰の白毛門で見た「ヒノキのウロ」とよく似ていて(あれもヒノキでなくネズコであるらしい)、人間がひとり入れるような大穴を根本にあけている大木もある。ここにもしかしたら熊でも住み着いているのではないか、と思うくらい大きな穴だ。

すっかり落葉した木々の中を、小さいピークを越えながら進む。南東面の眺めが開け、明神ガ岳を初めとする周囲の低山が見下ろせる。登山口の駐車場も見える。10台近くの車が停まっていて、かなりの数の人が登っているようだ。
遠景はもやがかかり、飯豊や磐梯山などは見えていない。

社峰を越え、スズタケの生える鞍部に下る。少しの登りで一等三角点のある博士山頂上だ。
北西面が開けているが、今日は朝から霧が出ていたように湿気の多い日で、遠望が利かない。また山頂は周囲を低い潅木で取り囲まれているため、腰を下ろすと眺めは得にくい。
しかし上空に雲ひとつないため、開放感いっぱいである。そのうち磐梯山や東側には那須連山の稜線、二岐山などがうっすらと輪郭を現わし始めた。

やがて5,6人のパーティーも登ってきて山頂はかなり賑やかになる。周囲の木々は完全に葉を落とし、博士山はもう雪の降るのを待つのみのようだ。


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