東北の名峰、鳥海山へ友達と二人で登った。夏の高山植物で有名だか秋の紅葉も良さそうである。昨年の月山に続き、山形県の山の紅葉山行である。
天気予報がよくなく、直前まで行くかどうか迷ったが、最終的には曇り優勢で大した降りにはならないだろうと見込んで決行する。
大物忌神社から新山への岩屑の登り。このときだけ青空が覗く
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東京駅から夜行バスで象潟駅前へ。きさがたとはなかなか読めない。
空模様は予報通りどんよりした曇り。登山バスは他に乗客がいないため、車両はタクシーになった。紅葉にはまだ時期的に早いのか、天気が悪いからか、ガスて視界のない鉾立登山口にも、登山者は数えるほどしかいない。
登山届を記入、投函し登山道に入る。灌木帯を歩くとすぐに展望台があり、ちょうどガスが切れかけて下の方の斜面が見えた。このあたりでもすでに、かなり紅葉していた。
ヤセ尾根を過ぎると草紅葉の草原を見ながらの登りとなる。広々とした、傾斜の緩い石畳道は月山の弥陀ヶ原コースとよく似ている。
このあたりまで視界が効いたが、上部の山稜は分厚い雲に覆われている。突然雨が降ってきたので雨具を着るがすぐに止む。しかし止んでも粒の大きな霧雨状のものが空中に漂っていて、体は濡れやすい。
御浜の小屋は開放されていて、避難小屋のようになっていた。夏期以外の鳥海山は、稜線上の山小屋は営業しないので、基本は1日で登り下りするからかなりきつい。御浜小屋で自炊泊まりで翌日山頂往復も、遠路から来た人にはいいかもしれない。小屋の前には鳥海湖が形よい。
木道を緩やかに下り、南から登山道が合流したところが御田ヶ原。広々とした草紅葉の眺めが続くが、ガスが濃くなって見通しは悪くなる。
登りに転じ七五三掛。これで「しめかけ」と読ませる。ここから外輪山の内側にある千蛇谷への下降路に入るため、少々道は険しくなる。小さな残雪があった。今の時期でも見られるなら、夏の頃は大きい雪渓になっているだろう。
鳥海山は水筒のいらない山、と言われる。それだけ水場や残雪が多いということだが、今の季節は別である。
登るにつれ、石がガラガラの道に変わっていく。上部の稜線が見えてきた。ガスの中に浮かぶ三角形の大きなものは山頂の神社かと思ったが、ただの岩だった。上空が明るくなり、日差しとともに青空が覗くようになる。ガスは思ったより薄そうだ。山頂は晴れているかもしれないという期待が湧く。
大物忌神社に到着。晴れていれば広大な眺めが得られそうだ。建物の前で食事をしていると、またしても雨。しかしすぐ止み明るくもなる。雨具を着る判断が今日は難しい。
神社の軒下に荷物をデポし、新山山頂を目指す。今までの登山道とは一変、累々と積み重なった岩屑の上を歩く。しかも登りだけではなく、大岩の間の狭い隙間をくぐり下っていくところもある。ここに雪があったらどんな様子になるか、興味がある。
山頂付近はまるで岩の要塞で、その真ん中に少し高くなった岩塔が新山山頂であった。何だか、人間が作ったステージのようにも見える、不思議な場所である。
岩の白と雲で、あたりは不思議と明るい。時折上空を風が吹いて、青空が覗いた。下の方の視界も開けたが、海側だけでしかも雲海になっているので、結局白い眺めのみ。内陸側の雲が飛んでくれれば山並みが見えそうなのだか、それはかなわない。
下りは別のルートで行く。山頂に居合わせた人が持っていた地図には新山付近の拡大図が載っていて、神社~山頂間はループできるように赤線が引かれていた。こちら側には胎内くぐりがあって、狭い穴の中を体をかがめて抜ける。
少しわかりにくい箇所があったが、行きよりもずっと短い距離で大物忌神社に戻ってこれた。
この先、外輪山の稜線を歩いて湯ノ台道を下っていくのだが、ガスで見えていないのか、神社から稜線コースへの方向がはっきりしない。先ほどの人に聞いてみたら、ここから稜線へ直接行く道は通行禁止になっていると言う。
そういえば、ネットでそんな記事を読んでいた記憶もあるが・・。今回のコース選択は同行者に任せきりで、自分自身あまり下調べをしてこなかったのが反省点である。ただ、禁止になったのはもうかなり前らしく、数年前の登山地図にその旨の記載がまったくないのは疑問だ。
いったん七高山方面へ登り返してから、稜線に出る。百宅コースを合わせたのち、おそらく神社からの下降路であったと思われる道跡を認める。行者岳に着いたのは計画より30分遅れだった。
滝ノ小屋到着は、もともとの予定が16時30分。暗くなる前に今日の行動を終えたいため、少し早足で下る。