山の写真集 > 東北 > 鳥海山
  • -厳しかった、秋のみちのく名峰-
  • 鉾立-御浜-大物忌神社-新山-滝ノ小屋-湯ノ台
  • 鳥海山・月山周辺
  • 秋田県/山形県
  • 新山(2236m), 行者岳(2159m), 伏拝岳(2130m)
  • 2015年9月26日(土)~27日(日)
  • 1日目:12.5km,2日目:4.3km
  • 1日目:8時間45分,2日目:2時間20分
  • 1091m(鉾立登山口-新山)
  • 滝ノ小屋
  • 八森温泉ゆりんこ
  • 高速バス,登山バス,地域バス,タクシー,羽越本線,陸羽西線,山形新幹線
天気1
天気2

 

↓マウスドラッグ可能↓

全体地図へ Googleマップ
2015年9月26日(土) 前夜発
東京駅 21:20
  夜行高速バス
5:15 象潟駅前 6:20
  登山バス(タクシー)
6:55   鉾立登山口 7:05
8:25   賽の河原
9:00   御浜 9:15
9:40 御田ヶ原分岐
10:10 七五三掛 10:20
12:05   大物忌神社 12:40
13:05 新山 13:20
13:45 大物忌神社
14:05   稜線
14:17 行者岳
14:30 伏拝岳 14:35
16:30 河原宿小屋 16:40
17:20 滝ノ小屋(泊)
2015年9月27日(日)
7:35   滝ノ小屋
9:05 横堂 9:10
9:35 沢追分
10:00 家族旅行村 10:47
  地域バス(ぐるっとバス)
11:25
八森温泉ゆりんこ 13:00
  タクシー
13:15 本楯駅 13:49
  羽越本線
酒田駅乗換え
陸羽西線
14:52 新庄駅 15:17
  山形新幹線つばさ150号
18:48 東京駅

 

  Page 1 2   

伏拝岳と思しきピークを巻いて、ようやく湯ノ台道の下りに入る。ガスがますます濃くなる中、薊(あざみ)坂の急坂を下る。
この先雪渓を横に見ながらの広い斜面の下りが続く。視界がないので岩に付けられた黄色いペンキマークを追いながら下る。時々携帯のGPSで方向が間違っていないことを確認する。
雨が強くなってきたので雨具を上下着込む。


紅葉眩しい鳥海山を後に下山する

湯ノ台コースの平原では、ガスで視界がないため黄色のペンキマークを頼りに下るが、ほどなくして見失ってしまった

ペンキマークを失う

七合目の河原宿にある小屋は、無人開放されていた

河原宿小屋

翌朝、青空の下の滝ノ小屋

滝ノ小屋

滝ノ小屋前から望む鳥海山の外輪山稜線

紅葉の眺め

湯ノ台への下山路で、庄内平野と日本海を見下ろす

庄内平野が

下山路では南面に月山の姿も見られた。下部のブナ林の尾根はまだ緑の森

かすかに月山

オオカメノキは一足先に紅葉する

オオカメノキ

鳥海山の登山道としては貴重なブナ林

ブナ林へ

家族旅行村に下り、ぐるっとバスで山麓へ下山する。バス停からは鳥海山が望めた

ぐるっとバス

ぐるっとバスは庄内平野の田園地帯を走る

実りの秋

本楯駅から羽越本線に乗る。背後の鳥海山はすでに雲の中だった

お山は再び雲の中


そのうち、ペンキマークが白色に変わったように見えたので、それを追っていくとしばらくして道が途絶えた。同行者が追いつき、いっしょに踏み跡とペンキマークを探してみるが見つからない。
GPS地図に示された登山ルートによれば、正しい方向であることを示しているが、精度が細かくないので50mくらいのずれは検知できない。ここは沢の流れる広い平原であり、適当な目印がないため間違えるとどんどん違う方向に行ってしまいそうだ。

少し登り返すことにする。するとやがて、同行者がマークを発見してくれた。GPS地図ルートよりかなり西側に正規のルートは伸びていた。黄色のペンキマークはさらに続いている。
マークの色が白に変わったというのは自分の勘違いで、単なる岩についた苔のようなものだったようである。マークを追っている最中、後ろの同行者とは少し距離を置いていたので、自分の勘違いを指摘してもらうのが遅れてしまったのが痛かった。やはりグループで歩くときは距離を置いてはいけない。

時間はさらにロスしてしまった。道がわかりこれで一安心なのだが、滝ノ小屋まではまだ長い。雨はさらに強まり、どしゃ降りとなった。
沢を横断し、ガスに霞む巨大な雪渓を左に見てどんどん下り、河原宿の小屋に着いたのが16時30分。ここも無人小屋として開放されている。到着が遅れる旨、滝ノ小屋への連絡を試みるが携帯電話は通じなかった。
日没の17時30分までにたどり着けるとは思うが、また未知を失わないとも限らない。その上ここから足元の悪い急坂となるので、焦るのは禁物である。

黙々と下っていくとようやく、滝ノ小屋への分岐。ガスの中からボイラー音が聞こえてきた。ホッとするが、踏み跡が入り組んでいて進行方向がよくわからない。あたりはもう、夕方を通り越して宵の口の暗さである。
小屋の姿が見えてきたあたりでは道は深い水溜りができていて、通過に苦渋する。
17時20分、滝ノ小屋へ到着。雨具を着ていたがスパッツは着けていなかったため、二人とも靴の中に雨水が入っていた。ザックカバーもこんな雨では無力で、中のものは湿っていた。
雨の中を歩くときは雨具の内側にスパッツをつけておく、さらにザックの着替えなどはビニール袋に入れておく。この基本をおろそかにできないと思った。

滝ノ小屋は常連さんが5,6人ほどで食事をしていた。暖かく迎えてもらい、生き返った気分。食材に持ってきた寄せ鍋を二人でたいらげた後は、小屋番さんと常連さんと皆で飲み、山の歌を歌った。
夜行バスで東京から来て、雨とガスの中のみちのくの高山越え。大変だった1日も終わりである。

夜半、雨は上がり大きな満月が空に浮かんでいた。地球と月が1年で最も近づく、スーパームーンを目の当たりにする。


明くる朝小屋の窓を覗くと、錦繍艶やかな鳥海山があった。昨日までのガスの景色からは信じられないほどの変わりよう。
昨日下って来た外輪山の稜線から湯ノ台道の広大な斜面が一望だ。どのへんで迷ったのだろう。
小屋の人によれば、あそこは必ずと言っていいほど迷うという。そう言うならもっとわかりやすいようにマークをしてほしい、とも思うのだがそういう文句はお門違いと言うものだろう。こういう地域の山は、年によって自然条件も大きく変化し、登山道の付け替わりも頻繁にありそうだから。
去年通った道が今年は違うルートに変わっている、ということも多いだろう。最後は登山者の自己責任というか、経験がものを言う世界である。

それにしても今日、鳥海山に登る人がうらやましい。自分たちは、この紅葉の山肌を背中に下山する。
滝ノ小屋のすぐ近くに国道が上がってきており、マイカーによる日帰り登山であればこの滝ノ小屋が出発点となる。今日は登山道を歩いて湯ノ台口の家族旅行村まで下山する。

小屋から先も、眺めのいい錦繍の道はしばらく続いた。正面には月山と葉山。葉山は関東の人にはなじみは薄いが、ここから見ると月山に負けないほど大きな山塊で、地元にはおなじみの山らしい。
そして庄内平野が広く見下ろせる場所もあった。海も見えて、昨日の残念な展望を何十分の一かは取り返す。

この下山路はぬかるみこそないが、ところどころで昨日の雨で石の上は滑りやすく、水溜りも多くてスパッツが大いに役に立つ。
小屋の人に、木の枝にカメラがぶら下がっていたら、下の山荘に届けてほしいと言われていた。数日前に歩いた人が、枝にかけたまま忘れて下山してしまったようだ。注意して見ていたが、それらしきものは見つからなかった。4つの目で見ていたから、しかも晴れていたので、今日は見落としはなかったであろう。
潅木帯はブナ林に移行し、しばらく緩やかに下った後、足元の悪い急坂となる。横堂で稜線コースと分かれ、沢追分へと下る。このあたりは気持ちのよい森の道となる。鳳来山ハイキングコースの案内板も立っていた。

沢追分からは少しの歩きで車道に出て、しばらくで家族旅行村に下り立った。庄内地区をぐるっと回る地域バス「ぐるっとバス」で山麓に下りる。バス料金は100円だった。

日帰り温泉「ゆりんこ」で焼肉丼と鳥海山麓名物のヨーグルトを食し、タクシーで無人のJR本楯駅へ。
庄内平野は今が稲刈りの時期。田んぼ脇には作業用の車や脱穀機が忙しそうに動き回っていた。親が農家であるタクシーの運転手さんによると、脱穀で使用する乾燥機は農家間で共同購入しているケースが多く、個人では好きなときに自由に使用できないという。だから、晴れた日に自分のところに順番が回ってきてほしいとのこと。今日が順番の農家の人はラッキーだろう。

そして本楯駅のホームから見上げる鳥海山は再び雲に隠れていた。翌週には寒気が下りてきて、早くも雪の便りが聞かれるとの予想もある。
羽越本線、陸羽西線(最上川線)と乗り継いで新庄駅。ゆったりと新幹線で帰京した。