~富士山展望の稜線、丹沢の4峰を結ぶ~ 塔ノ岳-丹沢山-蛭ケ岳-桧洞丸 |
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●富士を見ながら稜線を踏破 翌日は小屋の窓から日の出を見る。小屋を後にし、ゆうべの場所で再び三脚を構える。朝日に輝き、雲海に浮かぶ富士はまさに名画だ。 振り返れば塔ノ岳の形がよい。山頂の尊仏山荘がよく目立つ。 水場を過ぎ、丹沢山塊の最高峰である蛭ケ岳(ひるがたけ)までは、いくつものピークを越えて行く。ひとつ越えるたびに、さらに高いピークがその先に控えている。最後のピーク、鬼ガ岩からの蛭ケ岳は堂々としている。ここからもかなりきつい下りと登り返しである。
写真を撮っている時間も多かったせいか、丹沢山から蛭ケ岳まで2時間かかった。 蛭ケ岳で初めて、西丹沢の桧洞丸、大群山や道志、箱根の山が大きく展望できる。背後にはシルエットで丹沢山、塔ノ岳。富士山はますます大きく、遠くは南アルプスだろうか、雪を被っているのが見える。 個人的には、塔ノ岳からの展望よりこちらのほうが雄大に思える。1600mそこそこの山とは思えないほどの高度感がある。 丹沢山のみやま山荘で同宿していた初老の人は、ここから焼山の方に下りていった。
山頂には20歳位の若者のグループがいた。彼らと抜きつ抜かれつで桧洞丸までの難路を進む。 さらなるアップダウンの激しい道、ジェットコースターのようでもある。斜面の崩落が随所にあり木の階段も止むを得ないと思う。 ここからは主稜線が前景を占め、富士山の姿はあまり見られなくなるが、展望に見とれている場合ではなくなる。鎖も現れるやせ尾根を慎重に下り、そしてすぐまた急登にあえぐ。樹林さえなければ、アルプスの岩尾根を縦走しているような雰囲気の所もある。 若者グループは集団で歩いているのかと思ったら、どうやら行動は一人一人単独のようだ。もしかしたらグループではないのかとも思えたが、休憩場所ではいっしょにいたので同じパーティーなのだろう。次に休む場所だけ決め、あとは各人のペースを尊重して歩いているのかもしれない。 常に長蛇の列となる中高年のパーティーとは一線を画した登山スタイルだと思った。
●桧洞丸から下山 神ノ川乗越、金山谷乗越と、何とかバテを覚えずに通過したが、その後の桧洞丸への直登はこたえた。一度なだらかになりほっとした後、また急登で参った。 しかし次第に、道の起伏はおだやかになり、山の丸みを感じるようになってきた。 青ヶ岳山荘では小屋の部分改築中で、あおむしさんとTAKASKEさん(紅水晶さん)が手伝いに来ている。自炊場を建て直しているとのことだ。今日は常連さん達がいっぱい集まるようである。 山頂にある小屋は便利だが、遠目から見て目立ってしまうのは、景観の面でよくない。青ヶ岳山荘は山頂少し下に建っていて、いい所にある小屋だなあと思う。 桧洞丸山頂。ようやく丹沢主稜と呼ばれる4峰を歩きつなげた。山頂はちょうどお昼時で、大勢の人がいる。わずかに樹林が切れたところからは再び富士山が拝めた。 犬越路経由での下山を考えていたが、予定の時間より少しオーバーしてしまった。バス時刻の関係で石棚山稜を下りることにする。 途中まではなだらかな森の散歩道。林相も美しい。石棚山(ピークの場所よくわからず)を過ぎたあたりからは滑り落ちるような急坂が続く。 もう昼もかなり過ぎたのに登って来る人がかなりいる。青ケ岳山荘の手伝いの人たちだろうか。 久々の7時間を越える道程に、ガソリンも切れ模様である。急坂の踏ん張りがきかないまま沢沿いの道に下り着く。植林を抜け、箒沢(ほうきざわ)の橋に出た。2000年の秋のフィナーレを告げるかのように、燃えるような西丹沢の紅葉がそこにはあった。
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