~展望の頂からグリーンカーテンの森へ~ しゃかがたけ(1641m)からみさかくろだけ(1793m) 2003年5月18日(日)曇り時々晴れ 8:00JR甲府駅-[富士急行バス]-8:35桧峯神社前バス停8:40-9:50神社手前の分岐10:00-10:05登山口-11:00稜線-11:25釈迦ガ岳12:00-12:30府駒山-13:00どんべい峠-14:05黒岳14:20-14:55御坂峠15:00-15:45三ツ峠入口バス停15:52-[富士急行バス]-16:10河口湖駅17:02-[富士急行線(特急)]-17:46大月駅 歩行時間:5時間55分 |
15名ほどの登山者が休憩する中、なかなか去り難い山頂を後にする。 西面の神座山からトビス峠への新緑の稜線も歩きたかったが、今日は黒岳への縦走路に進む。釈迦ガ岳-黒岳間の豊かな自然林も、この山行の大きなポイントだ。 釈迦ガ岳から東へ、急な下りをこなす。随所にロープがあるが、ここのロープはどれも、綱引きで使うような太さで頼りがいがある。もっとも実際に手にする場面はそう多くない。足場が豊富な岩尾根だ。 やがて小さな起伏程度の気持ち良い道となる。目立たないピークの府駒山(1562m)を越える。時々、大判のカエデの葉を透かして日も射し込んでくる。ミツバツツジは花開いたばかりなのか、まるでアカヤシオやムラサキヤシオのような濃いピンク色をしている。まさに花の盛りで回廊のようになっている。
どんべい峠に近づくにつれ、進む先に黒岳の大きな山容、そして山のへりに沿って、まるで手術の跡のように林道が1本の線を描いている。 こんな自然豊かな森の道が、林道で寸断されているのは非常に残念だ。あれだけ整然としていた自然林も、林道の回りだけは醜く荒れている。 近くにすずらんの群落地がある。芦川村ではこの季節、このすぐ下まで臨時バスを走らせているそうだ。 車の何台も停まっている林道をまたぎ、黒岳への長い登りに入る。下りて来る人が多い。手ぶらで何も背負ってない人もいる。手軽に車で来て、ドアトゥドアですぐこれほどの自然林に浸れる気分はどんなものであろうか。
釈迦ガ岳からどんべい峠まではツツジ咲く明るい雰囲気の森だが、峠から黒岳への登路は鬱蒼としたイメージに変わる。上下左右どこを向いても緑がいっぱい。太い幹のブナもあちこちに現れる。 こちら側からだときつい登りが1時間ほど続くのだが、期待以上のブナ・カエデの森であった。
高度を上げるとやはり、周囲は霧で覆われるようになった。黒岳(1793m)頂上付近の樹木は芽吹いたばかり。 念のため、一昨年行った展望地に足を運んでみたが、富士山どころか眼下の河口湖も見えない、白一色の眺め。1790mの頂上はさすがに少し肌寒さを覚えた。 登山者も数えるほどになった道を御坂峠まで下る。峠周辺はガスが立ちこめ、芽吹きの樹木が織り成す色のグラデーションがきれいだ。同程度の標高でも、釈迦ガ岳周辺に比べてこちら側、富士五湖付近のほうが芽吹きから新緑へのペースが遅いように思える。 ニリンソウ、ラショウモンカズラの咲く山道をジグザグに下って行く。ある程度高度を下げると河口湖もようやく視界に捉えられた。 三ツ峠バス停から河口湖駅までバスで下りる。車窓からやっと、雲間に富士山の頂上付近だけが見れた。これだけ山に入っているにもかかわらず、富士山を肉眼で見たのは1月の雲取山以来だ(と思っていたが、2月の刈寄山、3月権現山でも富士山を見ていた)。今年の天候は総じて不安定だということだろう。頭だけの富士山はすぐに隠れてしまった。 釈迦ガ岳と周囲の自然林の森はやはり素晴らしかった。初夏や紅葉の時期、展望の冬と四季それぞれ楽しめる山域である。 |