山中湖周辺に来るのはもう6年ぶりである。今回は友人と石割山に登るが、久しぶりに電車、バスを利用してアプローチすることにした。
この山は12月に登ることが多く、今回も同様に一年の山行を振り返りながらの山となった。
大平山から望む富士山と南アルプス
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大月駅からの富士急行線は、車両が和をあしらった造りになっており、外国人の富士山人気を背景に、以前に比べてお金をかけるようになった。カードが使えるようになったのも、そんな古い話ではない。
富士吉田駅ならぬ富士山駅からは、山中湖周遊バスに乗る。車窓からみる町並みも、アウトレットショップや大型ドラッグストアが建ち、10年くらい前とは随分様変わりした。道の駅が大きくなり、水陸両用バスも走っている。山中湖畔の旭ヶ丘は富士山の世界遺産の記念館もオープン予定とのこと。
周遊バスは路線バスと違い、忍野八海を経由するので、平野までは遠回りになる。1時間近くかかって石割の湯に着いた。
平野からの石割山ハイクコースは長い階段を登る必要があるので、この石割の湯から歩くことが多い。標識はないが、温泉の横から道なりに行けばいいはずだ。
天気は上々、空には雲がない。テニスコートの脇を通って未舗装の林道をしばらく歩くと石割の湯の源泉塔があり、さらにまっすぐ行くと指導標を初めて見る。ここで道は左手前に折れて、緩い登りが始まる。
ハイクコースとの合流点まで幅広の林道が続いた。案内板には「避難小屋」と書かれたあずまやが立っている。
ここから先は、自然林を透かして富士山など周りの山を眺めながらの気持ちのいい歩きとなる。10名以上の団体がもう下山してきた。
石割神社に到着。大きな岩が縦に割れ、太い注連縄がかけられている。その岩の間を通ってみる。最近太り気味だがおなかがつかえることはなかった。
案内板によると、ここは右回りに3回くぐるとご利益があるそうだ。左回りで1回しかやらなかったので、いいことはないだろう。
神社から上は、足元の悪い急坂となる。霜柱が溶けてぬかるみも多い。
20分ほどで石割山山頂に着く。丹沢方面から雲の筋が伸びてきているが、富士山は余すところなく見えている。南アルプス、雲取山など奥秩父の山も。ただ以前に比べて樹林が伸びてきているので、少し眺めが遮られ始めた。尾根続きの平尾山や大平山の方が眺めが良さそうなので、少し休んだ後出発する。
ぬかるんだ急坂を下りきってホッと一息。登り返しのないまま次の平尾山に着く。眺めもいいしお昼時なのだが、ベンチは団体さんが使っていた。もうひとつ先のほうが山頂は広いはずなので、さらにひと歩きする。
平尾山からは長い階段下りとなる。随所で山中湖が見下ろせるようになる。別荘地とそれに通ずる車道が登山道のすぐ横に見えるが、柵で仕切られているので行き来はできない。その柵越しに犬と散歩している人がいた。
やや風が出てきた。緩やかな登り下りの後、忍野への下山路を右に見て、今度は登り返しの階段道。登り上がったところがアンテナ設備のある大平山となる。風速が増し、急に寒くなった。フリースと雨具の上を急いで着込む。あずまやの下でお昼用のお湯を沸かそうとするが、寒さと風のせいでかなり時間がかかった。
強風はいっときのみで、やがて日差しが風の冷たさに勝ってホッとする。大平山の広い展望を楽しめるようになった。雲が増えたが富士山にはまとわりつくことなく、まだ全貌を見せている。
再び歩き出す。飯盛山、長池山ともに目立たないピークを越えると、ススキのきれいな草原地に出る。
富士山に向かって下っているので、富士山はどんどん大きくなっていく。しかしその先にまたも階段。このルートはこんなに階段だらけだったか。
下って下って、再び別荘のような建物が現れるとすぐに舗装車道に出た。そのまま車道を下山することになる。
大出山入口で山中湖湖畔に出る。水際で羽を休めている白鳥は、2羽しかいない。以前はこのあたりで群れをなしていたのだが、どこか他のところにいるのだろうか。今年は鳥インフルエンザが流行しているが、その影響でないことを祈りたい。
湖畔の道を歩いて、紅富士の湯に寄っていく。今日は車ではないので、久しぶりに風呂上りのビールだ。朝乗った周遊バスはここ紅富士の湯の玄関口に寄ってくれるので楽である。
そのバスには、朝の便で会った地元のおばあさんも乗ってきた。自分たちが山に登っている間ずっと、温泉でくつろいでいたようだ。ここに来れば毎日、馴染みの友達もいるのだろう。
おばあさんは運転手に自分の家の場所を告げ、そこで降ろしてもらっていた。ここの周遊バスは観光客向けだけではなく、地元の人たちになくてはならない足にもなっている。
富士山駅に着くころには、もう夜になっていた。富士山は輪郭だがまだはっきり見えている。今日は1日中富士山の見え続けている「真富士日」となった。