山の写真集 > 奥多摩 > 富田新道から雲取山
-鎌仙人の切り開いた森の道-
タイトル
東日原-野陣ノ頭-雲取山-石尾根-鷹ノ巣山
山域奥多摩
地域東京都
標高野陣ノ頭(1845m)、雲取山(2017m)、七ツ石山(1757m)、日陰名栗ノ峰(1725m)、鷹ノ巣山(1737m)
山行日2011年5月14日(土)~15日(日)天気1天気2
沿面距離1日目:12.4km、2日目:15.3km
歩行時間1日目:5時間25分、2日目:5時間40分
標高差1448m(東日原~雲取山)
宿泊雲取山荘(テント泊)
温泉三河屋
交通中央線、青梅線、西東京バスHome


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2011年5月14日(土)晴れ時々曇り

代々木駅5:16
 中央線特快
5:55立川駅6:04
 青梅線
青梅駅他乗換
7:46奥多摩駅8:15
 西東京バス
8:40東日原
9:00鍾乳洞
9:30八丁橋
10:40登山道入口
10:50唐松橋11:10
12:05椹平
13:10野陣ノ頭13:20
13:57小雲取山の肩
14:17雲取山14:35
14:55雲取山荘
 (テント泊)

2011年5月15日(日)晴れ

5:55雲取山荘
6:20雲取山6:50
7:25奥多摩小屋
8:00七ツ石山8:10
8:30千本ツツジ8:40
9:30日陰名栗ノ峰9:43
10:05鷹ノ巣山避難小屋
10:25鷹ノ巣山11:10
12:35浅間神社
12:47奥登山口
13:22峰谷13:25
 西東京バス
三河屋入浴立寄り
14:00奥多摩駅15:36
 青梅線
青梅駅乗換
16:48立川駅16:52
 中央線快速
17:27新宿駅


関連リンク
雲取山荘
三河屋旅館
奥多摩町
西東京バス


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通算25回目の雲取山は、11年ぶりに富田新道を登る。長い林道歩きときつい登路が待っているが、日原の新緑や、上部の深い原生林が魅力だ。雲取山の登山コースの中でも、地味だがじっくり歩くタイプのコースである。
昨年の北アルプスで、長年愛用していた一泊縦走用のザックが壊れてしまった。今回は買い直したザック deuter ACT Light 50+10リットル の初使用となる。


ブナ新緑の富田新道

青梅線で寝ぼけていたのか、乗り過ごしたと勘違いして途中駅で降りてしまった。これでは朝一番の東日原行きバスに乗れない。
でも奥多摩駅前のバス停で長い行列の一人になっていたら、臨時便が出ることになった。並んでた人は皆、臨時のバスが出ることを期待して待っていたのである。

東日原バス停から歩き出す。周囲はもうすっかり風薫る五月の風景。稲村岩も青空に映え、薄緑の衣を纏っている。鷹ノ巣山登山口に、元気な若い登山者のグループが入っていった。
鍾乳洞や小川谷橋付近も新緑。小川谷林道方面は地震の影響で、車も人も通行止になっている。酉谷山から小川谷への下山路は使えないようだ。八丁橋の先、天祖山の登山口にも同様の張り紙かあった。

東日原から
通行止め
新緑萌ゆ
唐松橋
小雲取山を目指して
この日原林道には、小川谷橋を起点としたキロ数の標識が、0.5kmごとに立てられている。新緑の山肌を眺めながら2時間余り、7.5km表示の先でようやく登山道入口となる。なおここからさらに林道を行くと大ダワ林道コースがあるが、もう1年以上通行止めとなっている。味わいのあるコースなのだが、鴨沢や三峰コースなど他にも道が多くあるため、なかなか整備復旧の予算が行き届かないのではないだろうか。

水音の聞こえる沢に向かって降りていく。唐松橋付近も新緑が鮮やかだ。橋を渡り一段上がった所で小休止する。緑に包まれた至福のひとときだ。

富田新道(野陣尾根)は最初から急登である。ゆっくりと登っていくと、唐松谷コースを行く人がひとり、後ろから来た。富田新道から分岐する道がなかなか見つからないという。かなり高度を上げてからそれはあった。
椹(さわら)平と思われる平坦地を過ぎる。新緑まぶしい森の道も、登るにつれ季節が逆戻りしていく。ツガが現れるあたりでは芽吹き程度に。今一帯標高はどれくらいだろうか。右手に横たわっている長沢背稜や左の高丸山の高さから推測する。おそらく1500mは越えただろう。下ってくる人と時々会う。

少し開けた平坦地に上がる。野陣ノ頭だろうか。石尾根の山と比べるとこちらが低いように見えるのは目の錯覚なのだろう。自分には今いる場所が回りより低く感じる癖がなぜかついている。1700m台の山が石尾根や長沢背綾に幾つも連なっている中で、実際の野陣ノ頭は1800m台と頭一つ抜けている。
山名標を目で探すが、見当たらない。しかもまださらに上があり、なかなか本当のピークに着かない。そのうち下りになってしまったので、野陣ノ頭は越えたのだろう。
深い樹林を抜け、カラマツの点在する笹原が目の前に広がった。これは石尾根からヨモギの頭を通って小雲取山に上がる急坂の、裏側の斜面である。小雲取山はもう目の前のピークだ。前歩いたときの記憶が呼び起こされた。

ひと登りして、小雲取山の肩に到着。石尾根からの登山者で賑わう。ザックを持たない軽身の人は、おそらく奥多摩小屋前にテントを張り、そこから雲取山往復なのだろう。今日はテント場も混雑しそうだ。
自分も今日は、奥多摩小屋前に張るか、雲取山荘のテント場を使うか迷っていたが、やはりここまで登ってきたので雲取山荘を目指す。

笹原の道
鎌仙人
バイカオウレン
賑わうテン場

南西面に広がる山並みを見ながら、1年半ぶりの雲取山山頂へ。避難小屋前の寒暖計を見ると、10度だった。
富士山は霞みと雲に隠され気味だが、うっすらと雪の線が見える。この時期にしては雪解けが例年より早く進んでいるようだ。奥秩父の山々はよく見える。
三角点付近は相変わらず人が多い。ただ、一時期に比べ若い人が格段に増えている。かといって登山者全体が増えているかというとそうでもない。中高年登山者は地震の影響で、まだ遠慮している人が多いのか。

山頂北面の深い原生林を下る。雪は全くない。バイカオウレンがあちこちに群落を作っている。
鎌仙人レリーフに、今日は立ち寄ってみる。富田新道はこの雲取山荘初代主人の手により開かれたものだ。
厳格で、甘い登山者に対して叱咤するなど、非常に厳しい人だったと聞く。山小屋のオヤジはぶっきらぼうで恐い、という印象が作られたのは、この人の功績(?)が大きいのではないかと思う。でも一方で、登山者のことをとても気遣ってくれているという多くのエピソードも残されている。

雲取山荘のテント場は、山荘のすぐ先にある。ダケカンバなどの樹林に囲まれた、なかなか雰囲気のいい場所である。もともと細い尾根の上にあるので、縦長のテント場だ。
大学生のグループもいて賑わい、もうすでにスペースがかなり少なくなっていた。天気もよく、日没前までは外で過ごしたが、太陽が雲に隠れると急に寒くなる。今夜はかなり冷えそうな予感がした。

夜半、ものすごい風の音、そして寒くて目が覚めた。持ってきたものを全部着て、ザックに足を突っ込んでどうにか寝付く。