山の写真集 > 奥多摩 > 戸倉城山から臼杵山
  • -春まだ浅い戸倉の山々-
  • 戸倉城山-臼杵山-市道山-醍醐丸
  • 奥多摩
  • 東京都
  • 戸倉城山(434m)、臼杵山(842m)、市道山(795m)、醍醐丸(867m)
  • 2012年3月25日(日)
  • 17.8km
  • 7時間
  • 683m(武蔵五日市駅-醍醐丸)
  • -
  • -
  • 中央線,青梅線,西東京バス
天気1

 

地図
2012年3月25日(日)
新宿駅 5:38
  中央線
6:17 立川駅 6:30
  青梅五日市線
6:59   武蔵五日市駅 7:03
7:45   光巌寺 7:50
8:15   戸倉城山 8:25
8:40   十里木分岐
8:53   盆掘山
9:10   411mピーク 9:15
9:25   荷田子峠
9:55   茱萸御前 10:05
10:55   臼杵山北峰 11:40
12:45   市道山 13:00
14:15   醍醐丸 14:25
14:55   和田峠
15:45 陣馬高原下 16:40
  西東京バス
17:15 高尾駅 17:35
  京王線
18:25 新宿駅

 

夜が白み、明けるのがずいぶん早くなった。青空澄み渡る武蔵五日市駅から歩き出す。
沢戸橋まで歩いても30分なので、バスは使わない。途中で瀬音の湯行きと数馬行きの路線バスが追い越していった。
記録的な寒い冬もそろそろ終わりで、低い山で春を探す日々が、今年も始まる。例年、登る山の標高が一番低い季節は今、早春の時期である。


臼杵山北峰(臼杵神社)の狛犬は「お猫さん」

目の前に、これから登る戸倉城山がのしかかるようだ。小中野で横の道に入る。工事中の沢戸橋を渡ると静かな住宅地となる。左手のわき道に入って、坂道を登っていく。
あきる野市立戸倉小学校を見ながらさらに坂を上がると、光巌寺というお寺の前に出た。山門の外にある桜が大きく枝を広げている。東京都指定天然記念物で、樹齢400年だそうだ。戸倉城山は光巌寺の裏山にあたる。

指導標に従い左奥の裏手からの登山道に入る。ひんやりしたいい雰囲気の道だ。杉林の中、木漏れ日で明るい。穏やかな道が突如、急傾斜になる。いったん緩くなったあと、さらに長い急登。国道から見上げた城山も、頂上部が尖っていた。頭上が明るくなって、戸倉城山山頂に着く。
山頂からは東側が大きく開け、都心や所沢方面の眺めがいい。西武ドームやスカイツリーも見える。刈寄山、市道(いちみち)山、臼杵(うすき)山を中心とした戸倉の山は、奥多摩や高尾といった東京西部の山稜の先端にあり、この戸倉城山はその中でも一番平野に近いところにある。
まさにここから奥多摩、奥秩父の関東山地が始まっていると言える。

五日市街道から見上げる戸倉城山


特徴ある形

光巌寺。後ろは戸倉城山


光巌寺

戸倉城山山頂は、都心方面の眺めがいい


展望よし

城山を辞し、先へ歩を進める。荷田子峠までは今回初めて歩く。少し下がったところにトイレがあった。
「臼杵山・十里木」の標識があるが、出丸というもうひとつのピークを巻くあたりでは「十里木へ」だけの表示となり、それだけ見るとバス停に下ってしまうのではないかと不安になる。まあ、尾根通しに行けば臼杵山方面に向かうだろう。
盆掘山など、いくつかのコブを越えていくと、再び明るい台地に出た。411mピークで、三頭山方面の展望が広く、眼下には国道や秋川沿いに檜原村の家並みもよく見える。正面に見える山稜は、大岳山に至る馬頭刈尾根だ。
そして、これから進む尾根の先には臼杵山が端正な姿で構えている。臼杵山の標高は900mにも満たないが、その堂々とした山容からは一種の気高さが感じられ、昔から信仰の対象となってきたのもうなずける。

荷田子峠までの数100mの間は、開けた眺めのいい道で、途中に展望盤もある。荷田子・盆掘からの道が合わさる荷田子峠からは、グミ尾根を登っていく。この道は国道から近いにもかかわらず静かで、山深い雰囲気が漂う。いかにも奥多摩の山道らしい。
小さなピークを巻いている箇所が多いが、尾根通しでも歩けないことはない。ところどころで自然林の中を歩くので、新緑の時期もいいかもしれない。

中腹で、尾根の名前の元となる茱萸(ぐみ)御前に着く。杉林の中にポツンと祠がある。
伐採作業が入っており、ところどころで明るくなる。奥多摩や奥武蔵の山々は昨今どこでも樹林が高くなり、そろそろ伐採の時期に入っているのかもしれない。上のほうでかなり強い風が吹いている。

長い登りの後、左手から伸びてくる尾根に合わさる。指導標があって、すぐ右が、社のある臼杵神社(北峰)だ。ここは養蚕の神が祭られている。蚕をを育てる麓の農家が、やっかい者であるネズミから蚕を守って下さいと、毎年2月の初午の日にお参りに来るという昔話がある。だから、オオカミにも犬にも見える社の前の2匹の石像は、実は「お猫さん」だという説もある。

臼杵山北峰は樹林に囲まれてはいるが、木の間から富士山が見られる。今日はあいにく雲が広がって、富士山の山頂部を拝むことはできない。

411mピークから望む臼杵山は端正な山容をしている


形よい臼杵山

茱萸(ぐみ)御前


グミ御前

自然林で明るい尾根道。市道山から醍醐丸の間


明るい自然林の道

このまま下山するのは少し物足りない。この先長くなるけれど今日は尾根歩きを続ける。次のピーク、市道山の標高はここより50mほど低いだけなのだが、200mの高度差を下ってから登り返すのでかなり大変だ。このまま下山して、もう一回戸倉城山に登るのとあまり変わらない。
三角点のある南峰を経て、長い下りに入る。小さなコブを越えていき、振り返ると木の間越しに臼杵山がいつの間にか高くなり、大岳山・御前山の姿もせり上がっていた。

長く下って登り返し、左側が開けてくると市道山である。ここも伐採が入って、都心方面の遠望が利くようになった。でも、どうせなら山側が開けてほしい。
市道山の「市」は、五日市のことであろうか。昔檜原に住む人々は、この山または近くの峠を越えて市へ働きに、物を買いに行ったのだと思われる。奥多摩の登山道は、交易路だったり、関所だったり、はたまた賭場だったりするが、地名からその昔の姿を想像するのは楽しい。

ここまできたら、この先の吊り尾根を歩いていきたい。嫁取坂を下らずにさらに南下する。急に人の姿が目立ち始める。来週ここで山岳マラソンが開催される予定で、その練習か下見に来ているのだろう。
マラソンコースは市道山から刈寄山方面に向かうため、臼杵山から市道山までの山道は静かだった。
ランナーはみな、こちらに道を譲ってはくれるが、立止まる人は少なく、そのたびに道の外側を踏み走っていく。やっぱり歩く登山者とは違うと感じる。

逸歩地(いっぽち)から醍醐丸にかけての尾根道は吊尾根と呼ばれ、広葉樹豊かなホッと心休まる場所である。右手(西側)の少し下に林道が走っているが、それから少し遠ざかると静かで明るい山道となる。
ただ、マンサクやダンコウバイなど木の花を見つけることは出来なかった。今日はスミレなど、林床に咲く花も見つけられない。
季節の歩みは依然として遅く、稜上の春はまだ遠そうだ。

醍醐丸の巻き道に入ったが、ヤブ深く廃道のようになっている。もしかしたら巻き道はもっと先だったか。引き返して、とりあえず主尾根に戻る。しかしこれ以降巻き道はなく、尾根伝いに登るしかなかった。
以前は巻き道も歩きやすかったが、今は歩かれていないのだろうか。醍醐丸越えは予定外である。ここの登りはけっこうきついのだ。
結果的に今日の最高点、醍醐丸に到着する。大岳山の眺められるこの山頂も、ずいぶんと樹林の背が高くなった。

醍醐峠を経て、檜の植林帯を淡々と下る。和田峠に着いたが陣馬山を登る気力はなかった。陣馬高原下まで、車道を下っていくことにする。
うかつにもバス時間を調べていなかった。陣馬高原下バス停で1時間ほどバスを待つことになる。
バスを待つ大勢のハイカーを見て、お店屋さんも店を開けた。ビールを飲みたいが家まで我慢する。
道端に咲くのはオオイヌノフグリのみ。春はまだ先のようである。