~ゴールデンウィークの静かな尾根~
タイトル
たわおねじょうだんほどう
2008年5月4日(日)曇り時々晴れ

7:25奥多摩駅-[バス]-7:55東日原-8:15鍾乳洞-8:35取り付き8:40-8:55上段歩道-9:25仮小屋-10:30材木小屋尾根分岐10:35-11:002本目の沢11:30(引き返し)-12:10材木小屋尾根12:20-12:55篶坂ノ丸13:25-14:05人形山14:10-14:35一石山-14:40岩稜の展望地14:55-15:20巨樹コース登山口15:25-16:05東日原16:17-[バス]-16:45奥多摩駅 歩行時間:7時間

マップ
タワ尾根縦走 紅葉の篶坂ノ丸 Home


5月に入り、奥多摩の山も新緑ラインがどんどん上がってきているようだ。今日はタワ尾根下に伸びる巡視路を歩き、日原の自然林を楽しみたい。
立川駅始発の青梅線ですでにいつもの何倍もの人。奥多摩駅からのバスは立錐の余地無しだ。

新緑のタワ尾根
新緑のタワ尾根

東日原から鍾乳洞まで車道を歩く。石尾根の上部はまだ灰色だが、稲村岩尾根は清々しい緑の衣をまとい日原集落を見下ろしている。
日原鍾乳洞は見物客受け入れのため、何人もの駐車場の誘導係がスタンバイしている。またスピーカーから音楽がかなりの音量で流されているが、この静かな谷間の地にどうもしっくりこない。

巨樹コースの入り口を過ぎてさらに林道を歩き、浄水場を右に見る。その少し先に「酉谷山・七跳山」の指導標が立っていて、その後ろに巡視路への取り付き口がある(なお、さっきの巨樹コース入り口にも全く同じ指導標が立っているので注意が必要)。
取り付いて5分ほどで下段歩道を分ける。新緑の山道を登り、やがて上段歩道への分岐に来る。

タワ尾根小川谷側の巡視路には上段歩道と下段歩道があり、今日は上段の方を通って四間小屋尾根からウトウの頭に登る予定でいる。「バリエーションルートを楽しむ」(松浦隆康氏著)を参考にしている。


稲村岩を正面に

ミツバツツジ鮮やか

沢を渡る

上段歩道は少し草が被っている場所もあるが、しばらくは普通の登山道と変わらず、平坦もしくは緩い登りの穏やかな道だ。標高1000mあたりになると新緑の森となり気持ちがいい。展望が開ける場所はほとんどないが、木々の向こうに酉谷山方面の稜線が見える。

左手前に金袋山への道を分ける場所で、路面に「この先橋流出で通行不能」との表示がある。これは困った。おそらく昨年の台風の影響だろう。
素直に金袋山への登りに転進してもいいのだが、あえてこのまま進むことにした。もし本当に通行できないのなら戻ってくればいい。しばらく歩き、橋流出の現場に出た。枯れ沢状の斜面が大きくえぐられ、たしかにこのまま先に進むことが出来ない。
しかし左の山側の斜面にかすかな踏み跡が見える。これをたどって枯れ沢を半円形を描くように、大きく高巻くことにする。急斜面だがなんとか登ることが出来、無事に反対側に下りられた。この調子でこの先も突破したい。

植林帯を過ぎると材木小屋尾根に出る。木の幹に古い鍋がかぶさっている。ここを登れば篶坂ノ丸(すずさかのまる)に達するが、さらに上段歩道を行く。ミツバツツジやヤマザクラが点々と咲く中、ブナやミズナラの奥多摩らしい森となって山が深くなった気がする。
所々ある木の桟橋は古いのもあり恐々渡る。いったん沢に下り、さらに進むうちに道もさすがに細くなってくる。

もうひとつ支尾根を乗っ越したあと再度細いを渡るが、その先の踏み跡がわからない。落ち葉の中に木橋が埋もれているのが見えるので、ルートはその方向のようだ。しかしその先は急斜面に落ち葉が深く積もっている。さっきのように斜面を登ることは出来ない。落ち葉の下に道があると仮定し2度ほど通過を試みたが、足元から路肩が崩れていく。
思い切って強行突破できないこともないが、直下は沢なので、危険とは隣り合わせだ。この先穏やかな道に戻るという保証もない。
ここは無理をしないで引き返すことにする。久しぶりのウトウの頭は今回諦める。
単独行はこういうときに無理をするのが事故や遭難に結びつくと思っている。脳みそはひとつだけであり、一度決めたことに反対の意見を述べる人はその場にいない。不安要素があれば、勘に頼らず一歩下がった判断をすることが大切だと考える。


ミズナラの巨樹

石尾根を展望

バス待ち人の列

少し戻って、さっき確認した材木小屋尾根を使い篶坂ノ丸に登るコースに変更する。この上段歩道は、上部のタワ尾根に上がることの出来る道をいくつか持っており、何かトラブルがあったときに使える。ふつうの登山道ではエスケープルートというと下山路なのに、ここは反対に尾根に上がる道がエスケープルートである。

材木小屋尾根を登っていくと、いったんヌタ場のような広い鞍部に出る。その後右にウトウの頭、左に篶坂ノ丸を見上げながら急登をこなし、タワ尾根に上がる。
少しの歩きで篶坂ノ丸(1456m)に着く。自然林に囲まれた気持ちよい山頂だが、標高1400m越えとなるとさすがにまだ芽吹いてはいない。上段歩道には登山者はいなかったが、タワ尾根では何人か見かける。

緩やかな道を下っていくと、すぐに芽吹きの森が復活する。やがて新緑瑞々しい道となり歩みもはかどる。左右から踏み跡が合わさるあたりが金袋山(きんたいやま・1325m)であろう。
さらに下ってミズナラの巨樹が立つ人形山(1176m)。巨樹そのものは芽吹いていないが周囲は淡い新緑だ。
なおも緩やかに下る。左に分岐するのは巨樹コースの登山口に直接下る道で眩いばかりの緑の森になっている。ここは直進し、すぐ先の一石山(いちいしやま・1007m)に出る。
一昨年と同じようにここから露岩の尾根を歩いて岩稜の展望地へ向かう。ここからの眺めは今日一番だ。足元には一面新緑の日原と、正面には鷹ノ巣山の端正な姿が望める。

さらに岩のゴツゴツした尾根を下り、緑の森に入る。林床にフデリンドウがたくさん咲いている。さきほど一石山の手前で分かれた道と合流すれば、朝見た巨樹コース登山口に出る。
日原鍾乳洞は観光客で賑わっていた。車も多く、東日原に向かう車道には長い車列が出来ていた。渋滞しているわけではなく、道幅が狭いために車の行き違いに手こずっているようである。

東日原バス停にはすでに50名ほどのバス待ちの客。群衆はバスが来るまで100名くらいに膨れ上がった。これほどの人の数をここで見たのは初めてだ。奥多摩も年を追うごとに訪れる人が増えているような気がする。でもまあ、ゴールデンウィークが終わればまた少し空くだろう。
バスは増発便も含め都合3台となる。帰りの青梅線も、奥多摩駅から立ち客が出るほどの混雑ぶりだった。

(注意)上段歩道は歩き易いが一般登山道ではなく、指導標やテープの類は全く無い。一部不明瞭な部分もあり地形図は必携。


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