山の写真集 > 奥多摩 > 高水三山
  • -ここも東京、雪国のような奥多摩-
  • 御嶽駅-惣岳山-岩茸石山-高水山-軍畑駅
  • 奥多摩
  • 東京都
  • 惣岳山(756m), 岩茸石山(793m), 高水山(759m)
  • 2014年2月23日(日)
  • 8.3km
  • 6時間
  • 546m(御嶽駅-岩茸石山)
  • -
  • -
  • 中央線,青梅線
天気

 

地図
2014年2月23日(日)
新宿駅 5:26
  中央線
6:04 立川駅 6:39
  青梅線
青梅駅乗換え
7:30   御嶽駅 7:35
8:27   沢井分岐
9:50 惣岳山 10:05
11:20 岩茸石山 11:55
12:35 高水山 12:50
13:00 常福院 13:10
14:20   平溝登山口
14:50 軍畑駅 15:06
  青梅線
青梅駅乗換え
15:50 立川駅 15:55
  中央線
16:22 新宿駅

 

この2月、関東・甲信地方を襲った大雪は各地に大きな被害をもたらした。山梨県や秩父、奥多摩では交通機関が軒並みストップし、孤立する集落が相次いだ。
奥多摩では、奥多摩駅以西の状況がひどく、青梅街道(国道411号)を含め山間の林道が雪崩の被害に遭い、復旧に時間がかかっている。奥多摩駅発のバスは10日経った今でも運行再開されていない。
2メートル以上の積雪が予想される雲取山へ登った人は、交通の便がないこともあり、大雪以降は一人もいないようである。
こういう状況なので、雲取山はおろか、鷹ノ巣山・三頭山などへも登ることはかなわない。川苔山も厳しそうだ。けれどこの週末、奥多摩の様子は見ておきたい。今回は、駅から登り下りできる高水三山へ登ることにした。


岩茸石山の山頂

除雪されたばかりの御嶽駅ホーム

御嶽駅

御嶽駅前の山の斜面は伐採されていて、雪で真っ白に

スキー場のよう

登山道にははっきりしたトレースがつけられていた

トレースははっきり

真名井天神から先は、惣岳山山頂への急登となる

真名井天神

惣岳山の山頂にはトレースがほとんどなかった

惣岳山

惣岳山の岩場を下り切ると、巻き道が合流する

巻き道が合流

惣岳山下の鞍部から望む山は白い、右:本仁田山、中央奥:鷹ノ巣山

西の山は白い

尾根道は小さな雪庇のようなものが張り出していた

雪庇のような

深い雪の中を歩いて岩茸石山へ

高山の趣

岩茸石山山頂から西側に広がる眺め。川苔山(右)、雲取山(中央奥)、鷹ノ巣山(その左)

広い眺め

北面には棒ノ折山への稜線の先に奥武蔵の山が望まれる

奥武蔵の山々も

岩茸石山山頂から、東側に高水山を望む

高水山


青梅線も2日前、ようやく全線復旧したばかりだ。登山者もそう多くない。車窓から眺める町並みは今まで見たこともない白さになっていた。
御嶽駅で下車。南面の山の斜面は伐採されているので、スキーゲレンデのように真っ白である。踏み切りを渡って坂を登る。民家の屋根には今にも落ちてきそうな雪と、つららが垂れている。慈恩寺の白梅はもうほころんでいた。

寺の脇から伸びる登山道は、すぐに白くなった。人工林の薄暗い中を少し登ると、だいたい30cmくらいの積雪になる。先々週の大根ノ山ノ神への道と比べ雪の量はさらに増したが、トレースははっきりついている。
まだ朝早いこともあってか意外と雪は締まっていて、ツボ足でもあまり潜り込むこともなく歩いていけた。

送電鉄塔の基部に出ると少し見通しが開け、白い雪景色が見下ろせる。植林の道が続き、高度を上げるにつれ積雪量も増えてきた。
沢井分岐を過ぎる。トレースは雪の中を深く窪んで、高さが30cmくらいになる。穴のようなトレースに足をわざわざ合わせるのもかえって歩きにくい。場所によっては潜るのもいとわず進んでいく。
いったん見晴らしの良い場所に出て、送電線越しに奥多摩の西のほうの山の眺めを得る。石尾根方面だろうか。
尾根道に戻り、しめ縄をくぐった後は緩やかで単調な登りが続く。そこから先が思いのほか長く、かなり体力を消耗してようやく真名井天神の社を見る。再びしめ縄をくぐって惣岳山への急登となった。雪が深くきつい。山頂の神社が見えてほっと一息つく。

積雪50cmほどの惣岳山(そうがくさん)山頂は、今までの道と違ってほとんどトレースがなく、わずかにスノーシューの轍を認めるのみだった。スボスボと潜るのでここからはワカンを装着していくことにする。
山頂直下の一直線の下りはワカンを履いて正解だったが、すぐに岩場の急降下となって緊張度が増す。一転してワカンがわずらわしくなるが、ロープが垂れていたのでそれを頼りに鞍部まで下った。
下ったところは巻き道が合流していた。登山者は展望もない惣岳山を巻くことが多いようだ。
網フェンス越しに眺めのいい場所に出る。大きく丸っこいのは本仁田山、その奥が鷹ノ巣山であろう。登山者がひとり休憩していた。やはり巻き道を使ったと言う。

斜度のない尾根道となる。山腹をトラバースする場所では道が細いのでワカンを外す。何ということのない植林の雪道でも、雪庇のように片側に大きく張り出している部分もあって驚く。
馬仏山を巻いて、右方に岩茸石山の特徴ある山体が見えてきた。
何人かの登山者とすれ違う。高水山から縦走して来た人だろう。岩茸石山に近づくにつれ自然林の割合が増す。植林の中と比べると、自然林の下の雪はサラサラで白さが際立っている。

高水山へに向かう途中で、自然林の尾根となる

深い雪道に

高水山山頂

高水山

高水山山頂から、青梅方面の白い町並みを見下ろす

白い町並み

高水山常福寺の仁王門

仁王門から

高水山常福寺にある鐘

鐘をつかないで

平溝登山口から平溝集落へ下る。除雪されてはいるが真っ白な景色が広がる

ここも東京

ロウバイ(高源寺)

ロウバイ

車道に出ると、歩道が雪置き場になっていて歩くことが出来なかった

歩道は雪置き場


最後の岩混じりの急登をこなし、山頂直下の稜線に出る。一面が白い中、ちょっとした高山の雰囲気を味わいつつ岩茸石山山頂に到着。
北東から北西にかけて大きく眺めが開ける。一番大きいのは川苔山。尾根筋、谷筋ともかなり白い。その左奥は雲取山だ。例年ならこの冬の時期も登山者でけっこう賑わうのだが、1週間も人が歩いていないと、山中はいったいどうなっているのだろう。考えるとちょっと恐ろしくなる。
山頂は真っ白だが、日当たりがよいせいか、積雪量は20cm程度で、ベンチも出ていた。高水山方面からどんどん人がやってくる。棒ノ折山方面への道には1人分のトレースがついているのみ。ほとんどの登山者は高水三山縦走コースを歩いているようだ。

高水山へ歩を進める。急坂を下りきり、岩茸石山の巻き道と合流するあたりは雪が薄く、土も出ていた。その後自然林の尾根を北面から巻く場所になるとまた雪は増える。
惣岳山付近の登山道と比べるとこのへんは雪質も安定し、歩きやすい。

急な登り返しを経て、高水山の山頂へ出た。杉木立の中、アンテナ施設が立って眺めは芳しくないところだが、木の間から青梅方面の町並みが見下ろせる。
軍畑への下山路にすぐには入らず、山頂少し下の常福院にも寄ってみた。境内前の広場は膝くらいの雪が積もっていた。上成木への道を確認しようと思い階段を下る。ここも雪が深く、踏み抜くと脱するのに骨が折れる。
上成木方面へは踏み跡がなく、かたやここから軍畑側に通ずる道も歩かれてなかった。常福院に戻ってあずまやのところから下山とする。

下りは、トレースが雪面を深く切れ込み一本の線になっていて、ちょっと細いがまるでボブスレーのコースのようになっていた。
伐採で東側が開けた場所に出る。方角的にはスカイツリーが見れるのだが今日はもやが濃く、はっきりとわからない。
真っ白な斜面をジグザグに下り、沢筋に下りる。周囲は雪崩の跡のように雪がザクザクと積み重なっていた。ここは登りにとるとけっこう大変そうである。ちょっとヒヤヒヤする沢筋の道はすぐ終わり、堰堤を経て、養魚場の脇の平溝登山口に下り立った。

ロウバイの咲く平溝集落を下る。雪かきをしている地元の人を何人も見る。舗装された里道は除雪されていたが、真っ白な斜面や道脇に積まれた雪の量を見ると、ここが東京かと疑いたくなる。
もちろん普段の年でも、降雪直後なら東京の山でこういう風景を見てもおかしくないのだが、あの雪からもう1週間も経っているのだ。雪がなかなか溶けていないように思える。伐採された真っ白な山の斜面を正面に見ると、まるで新潟の低山から下りてきたときに見る麓の風景のようだ。

高源寺で下り坂は終わり、ここからは車道歩きとなる。民家の屋根には今にも落ちてきそうな雪の塊。庭先の畑は真っ白である。除雪した雪が道脇に高く積まれ、歩道が使えなくなっていた。奥多摩の人々はこの冬の残りの日々、この残雪と向き合いながらの生活がしばらくは続きそうだ。

軍畑駅に到着。トレースのおかげで三山を縦走することが出来た。しかし御岳山も高水三山も、地元では積雪の多さを理由に登山の自粛を呼びかけているようだ。いつもと勝手の違う冬がこれからもまだ続く。