~紅色に彩られた山頂から~ むこうやま(1078m)、みとうさん(1531m) 2004年11月3日(祝)晴れのち曇り 7:30JR奥多摩駅-[バス]-8:10余沢8:15-8:50あずまや-9:35向山10:15-10:55鶴峠分岐-11:10北面巻き道分岐-11:40神楽入ノ峰11:45-12:10三頭山13:00-13:50ヌカザス山-14:35イヨ山-15:05ヌカザス尾根登山口-15:30小河内神社15:41-[バス]-16:10奥多摩駅 歩行時間:5時間40分 |
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5年前の6月にマイナールートとして紹介した、向山→三頭山の道を再び歩く。 前回、向山は山頂付近に広葉樹が多いのが印象にあったので、いつか紅葉の時期に登ろうと思っていた。また、三頭山への登路としてとりわけ樹林の美しい鶴峠からの登りの道は、交通の不便さがネックなのだが、本コースのように向山を経由するようにすれば、奥多摩駅からのバス便が使える。
余沢バス停に8時15分着。のどかな山村をとりまく山肌はもう秋色である。 村営バスの通る車道を下りる。前回はすぐ山腹の道に取り付いたのだが今回はさらに車道を上がり、「オマキ平ハイキングコース」の標柱のところから山道に入る。 水道施設(水は枯れている)の横を通り、「向山(オマキ平)・三頭山」の指導標のところが登山口となる。 小菅村では向山山頂付近をオマキ平とも呼んでいるようだ。 初めは植林帯のジグザグ登り。やがて傾斜が緩まると指導標があり、分岐となる。右に下り気味に進む道は「向山」、左は「展望台を経て向山」である。はて、と思う。そもそも展望台のある場所が向山山頂ではなかったか。 展望台にも上がりたいので左の道を取る。すぐに見覚えのあるあずまやに着く。 ここからは前回辿った道と同じだ。11月ともなると下草もうるさくなく普通に歩ける。檜の植林帯をかすめ、そろそろ周囲は紅葉に彩られる。 道は全くと言っていいほど危険なところがない。それに思った以上の彩り豊かな道だ。すでに足元は色とりどりの落ち葉で埋め尽くされている。湿っていないのでパリパリと心地よい音が響く。
右手上の方に、早くも展望台の櫓が見えてくる。やがて指導標のある分岐となる。直進は三頭山、右上は展望台だ。三頭山に続く道は前回わかりづらかったが、あれ以後指導標が立てられたようだ。 向山山頂。展望台の脇にモミジの木が何本もある。今まさに紅葉のたけなわ。赤々とした葉が時折そよぐ風に波打つ。思っても見なかった錦繍の光景に、当初少しの滞頂の予定だったのを変更、モミジの木の下でゆっくり休憩する。 展望台に上ろうとしたが、老朽化のため立入禁止の札が立っていて残念。しかし一番上でなければ大丈夫だろうと思い、おそるおそる途中まで上ってみる。大菩薩や雲取山、石尾根の眺めが広く得られる。三頭山方面は樹林に若干隠される。樹林の背の低い頃は360度の眺めが得られたであろう。
さて、前回謎だった、山頂から南西への踏み跡を再度辿ってみる。 周囲はこれまた見事なモミジ、カエデなどの紅葉の道。トイレがあり、休憩所の先を西に折れると、今回はちゃんと登山道が通っていた(前回は藪に埋もれていた)。先ほどあずまやの手前で分岐した「向山」方向への道はここまで続いているのだろう。どうやら向山は周回コースがとれるようコース整備されたようだ。 ここまでですでに紅葉を十分楽しめてしまったのでどうしようか、と思ったが、やはり予定通り三頭山を目指すことにする。 鶴峠分岐までの尾根歩きは前半は平坦もしくは緩やかな上り、後半は急登を交えたややタフな道となる。 前回に比べて、ヤブをこぐ場所はほとんどなくなった。踏み跡もはっきりし、指導標も随所に立つ。これはもう一般の登山道といって差し支えない。二重山稜のようになってて尾根をまたぐ地点は、前回大いに迷った場所だが、今回はすんなり通過。 周囲の紅葉もなかなか見ごたえがある。そして思いきり静かだ。歩きやすくなったといっても、まだまだ知られていない道だ。自分の落ち葉を踏み鳴らす足音、そして熊除けの鈴の音だけがあたりに響く。 道がだんだん傾斜を増すようになると、木の階段が現れる。前回はなかったものだ。階段は急な場所に数箇所設置されているのみだった。 やがて鶴峠からの道に合流。向山から45分ほどだった。前回は1時間15分かかったことを考えると、やはり整備された道になったといえるだろう。それを望ましいことと思うかどうかは歩く人次第なのであるが。 三頭山への登路も、しばらくは平坦で紅葉を楽しみながら歩を進める。おなじみの大きなブナの場所を過ぎるとだんだんときつい登りに変わってくる。 三頭山までは2,3のピークを丹念に越えていくのだがこれがなかなかつらい。 神楽入ノ峰(1447m)に上りつく。このへんから先の稜線上はほとんど落葉しているが、山肌を見下ろすとまだまだ彩り豊かである。 最後のピークを越えると人の声が聞こえ始める。三頭山山頂に到着。ちょうどお昼時でけっこうな混雑だ。50人くらいが休憩している。座る場所がないので、北斜面を少し下ったところで昼寝をする。 少し肌寒くなったと思ったら、太陽が雲に隠され始めている。さっきまでいい天気だったのだが、対面に見える石尾根の稜線などはかなり分厚い雲がまとわりついている。 どこからか風が舞って、残り少ない木々の葉がハラハラと落ちていく。奥多摩の山もそろそろ冬支度だ。季節のめぐりがどんどん早くなっていくように感じる。
すっかり曇り空となった中、ヌカザス尾根を下る。ブナやナラの黄葉が目を潤わせてくれる。 しかし足元は崖のような急坂が随所に現れる。同行者に手を取られながら、やっとの思いで下っている女性がいる。見ているこっちがハラハラしてくる。 アカマツ・カラマツの林を抜け、周囲は緑が復活してくる。雲間から再び日が照らし出す。まだこんな時間なのにもう夕日のような色だ。秋の日はつるべ落とし、さっきの女性は日が傾くまでに下りつけるのだろうか、少し心配になる。 奥多摩湖畔に下山。浮き橋を渡って小河内神社バス停に着く。今日は紅葉の奥多摩を十分に楽しめた。近頃は東北だ、上越だなどと言っているがやはり秋の奥多摩は外せない。 しかも今日はまさに、向山という奥多摩でも穴場のような紅葉の名所を発見したので、特に印象深い1日となった。 駅前の食堂で、奥多摩の山岳写真やHP「奥多摩の山と自然」で有名なHgさんに偶然にも初めて出会った。鷹ノ巣山の帰りとのことでかずさん、komadoさん、多摩moguさんといずれも初対面。奥多摩を歩いていればいつかお会いするのではと思っていたが、今日の意義ある山行を象徴するように、最後にもうひとつ印象深い出来事が加わることとなった。 |