~眺望どこまでも、初冬の雲取~ 2008年12月27日(土)~28日(日)
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今年最後の山は雲取山とした。12月の雲取山は初めてである。電車、バスを使ってのいつものアプローチで鴨沢から登り雲取山荘で一泊、翌日はいつもの通り石尾根を縦走する。今年2月と全く同じ行程だ。 今年は車を使っての登山を始めたが、奥多摩は登山口までのバス便が多いので車で来るメリットがあまりない。また奥多摩では縦走や峠越えのコースをとることが多く、往復登山を強いられる車は不便だ。 一番通い慣れている山域に、今まで通りのアプローチでいつも通りに山を登って1年を締めくくった。
鴨沢でバスを下り、一応スパッツを着けて歩き出す。小袖乗越までの樹林帯には雪がないため凍結もない。 しかし頬に触れる空気は相当な冷たさで、後で聞いたらこのとき鴨沢では氷点下5度だったそうだ。雪はまだ少なそうだが寒さはすでに北国並みである。 堂所付近から雪が現れる。しかしまだら模様で積もっている風ではない。 木々が葉を落とし、灰色の風景が続くこの時期、単調なきつい登りに潤いを与えるのは雲ひとつない澄み切った青空、そして展望である。ジグザグの登りで南側に姿勢が向くと、奥多摩の山の先に大きな富士山が現れた。 七ツ石小屋への道を分け巻き道に入る。ブナ坂から石尾根縦走路に合流。しかし雪は申し訳程度でしかなく、場所を選べばずっと土の上を歩き続けられる。 正面に奥秩父の山稜を眺め、ヘリポートで雲取山を見上げる。さらに高度を上げ奥多摩小屋前に着く。日が注ぎ風も強くない、快適な歩きが続くが、さすがに冷えてくる。ネックウォーマーを耳の辺りまで伸ばす。 小雲取山の肩に上がると、もう雲取山は目の前。薄く積もった雪を踏みしめて雲取山頂上(2017m)へ。 富士山、南アルプス、奥秩父や大菩薩の山々の眺めが広い。北西の方角には真っ白な浅間山が今までにないほどくっきりと見られた。 そして奥多摩の山々の先には東京や埼玉の町並みが大きく広がっている。ずんぐりむっくりの本仁田山の後ろに見られるのは東京ドームと皇居のお堀?と思ったら、近くにいた人に聞くとそれは西武ドームと狭山湖だった。この方角は東京方面とてっきり思っていたので意外だった。やはり雲取山は秩父の山だと認識した。 そのずっと奥に新宿あたりのビル群がまるで壁のように連なっている。雲取山は東京の最西端。今、その東京の端から端を見ているのだと思うと、大都会東京も意外と小さいものだと感じる。 雲取山荘へ、北斜面を下る。雪は少し多くなった。けれど凍結もなく、ところどころ土を踏む場所もあった。 雲取山荘は新井信太郎さん本人が受付をしていた。年末でバイトさんたちは下りてしまったのだろうか。山荘建築の為に莫大な借金をした話をまた聞くこととなった。 借金はしたが新井さんには先祖からのまとまった遺産があり、息子の為に家も作ってあげたと言う。山小屋の親父というよりも、一種の実業家的な印象を受ける。 この日は30名ほどの宿泊で、自分は他の単独の2人と同室となった。それにしても部屋の中は豆炭のコタツがあるとはいえ極度の寒さだ。玄関のストーブの暖が伝わる廊下のほうが暖かい。しかしその一方でトイレは自家発電で便座が暖かくされている。小屋の中で寒暖の差が激しい。 |