~膝上の深雪を踏みしめ~ 2008年2月16日(土)~17日(日)
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前週、雲取山山頂付近の積雪は、1メートル近くいったようだ。これほど積もるのは3,4年ぶりだろう。 自分が行った中では2001年1月のときが一番だったが、あれは降雪翌日の山行でもあった。いずれにせよ、東京周辺の山で1メートル近い雪を見れるは久しぶりなので、厳寒の雲取山を目指した。
●久しぶりに見る白銀の頂 青梅線の窓からは、青梅を過ぎたあたりでもう線路脇に残雪が見られるようになる。山も少し高いところは白い。 とは言っても、駅前や住宅地が雪景色になっているというわけではない。奥多摩駅から発車する鴨沢西行きバスは満員。座ることなく鴨沢で下りる。足にはスパッツ、顔には日焼け止めをつけて出発する。 凍結気味の植林帯を抜け小袖乗越登山口。いつものように、右手の赤指山を見ながら単調な登山道を登っていく。 この登路は南面に開けた場所が多いので、雪はそれほどでもない。けれど、こういう場所で中途半端に残った雪が凍っているとやっかいである。右手に見える千本ツツジの斜面が真っ白だ。 幸い堂所まで、凍結した場所はなかった。 積雪は平均でくるぶしほどになる。しかし日当たりのよい場所は依然として土が多く露出している。 七ツ石分岐からブナ坂への巻き道に入るとさすがに雪深くなってきた。今年は、雪道歩きはこれで3回目なので、例年に比べれば歩き慣れを感じる。 シーズン最初の雪歩きに長丁場の山を選ぶと、かなりしんどい。3年前の丹沢がそれだった。 高度を上げると雪質もよくなる。ブナ坂に上がり、白い防火帯を進む。富士山と大菩薩嶺の眺めがいい。そして丹沢の蛭ヶ岳が白く光っている。丹沢は奥多摩よりも雪が多そうだ。 標高1700m超の石尾根でも、南に面した部分は土が出ている。しかし少し引っ込んだ場所になると膝下までもぐってしまう。
五十人平ヘリポートは半分が土色。奥多摩小屋の前で鍋焼きうどんを作る。水場に行くのを面倒くさがって雪を溶かして水を作る。 雪から水を作るには、コッヘルに入れて最初から直接火にかけるのは危ないし、水にはならない。いったん少量の水を沸かして、その中に少しずつ雪を加えていくのが理にかなっている。従って、雪があるから水はいらないというわけではなく、必ず少しは必要なのである。 ただしやはり時間はかかるので、ここでは冬期でも凍結しないと言われる(見に行ったわけではない)、下の水場で水を調達したほうが早かったかもしれない。 奥多摩小屋からはヨモギノ頭へ直接登る。巻き道もトレースがついていたので、明日は巻き道を歩くことにする。 それにしても鴨沢コースは雪の上に完璧なまでのきれいなトレースがつけられており、素直に歩いていれば踏み抜くことはまずありえない。これも小屋の人の配慮によるものなのだろうか。 日が翳り始め、途端に寒くなる。もう氷点下5度くらいにはなっているだろう。 急登を詰め小雲取山の肩へ。指導標は3分の2の高さ分が雪に没している。白い石尾根の最後の部分を歩いて、雲取山(2017m)頂上に立つ。三角点のあたりが吹き溜まりのようになっていて、1m以上の高さになっている。 寒気が日本の中央部に達してきているようで、南アルプスは見えるが厚い雲に覆われている。北アルプスの眺めは今日はなく、浅間山の白い頂がよく見えている。 また、あたりを見渡して驚くのが、周りの奥多摩の山々の白さだ。天祖山、酉谷山、三ツドッケなどは一見、どこか北国の雪山の姿である。樹林に覆われた東京周辺の山も、こんなに白くなるのか。 空の雲も取れてきて富士山も再び頭を現している。太陽の光が差しても、標高2000mの場所はやはり寒くて長居はできない。樹林の北斜面を下る。 凜とした空気が漂う雪深い山道を抜け、日だまりの中に雲取山荘が現れる。今日は気温は低かったがアイゼンを使うことはなかった。 雲取山荘の部屋は数人単位の小さなものが主で、豆炭のコタツが入っている。足は温かくなるのだが上半身が何とも寒い。同宿の単独行の人と共に、肩までコタツの中にもぐって、話をして時間をつぶす。 この日(土曜)は34名の宿泊だった。聞くと頂上の避難小屋も大混雑だったようだ。20名程度収容の避難小屋が人でいっぱいになれば、室温はもしかしたらこの雲取山荘より高いのでは、と思う。 冬の山小屋は人が少ないと寒い。 |