~雪は何処か 2月の石尾根~ 2007年2月11日(日)~12日(祝)
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冬の雲取は3年ぶりとなる。しかし記録的な暖冬は雲取山も例外ではなかった。 今の時期ならブナ坂より上は雪原で、雲取山頂付近は50cmくらいの積雪があっても不思議ではない。ところが出かけてみると、鴨沢コースは半分以上の行程で土を踏むこととなった。
●雪と土を踏んで雲取山へ 奥多摩駅からのバスは登山者で満員。奥多摩湖で下車する人もいたが、大方は鴨沢で下りる。 頭上はくっきりした青空。朝方少し天気が悪かったようで、石尾根方面から雲がどんどん流れてきている。 小袖登山口を過ぎ石尾根が眺められる場所まで来る。いつもは真っ白いはずの千本ツツジの防火帯は、ゴマでもまぶしたかのように灰色に染まっていた。
堂所でようやく雪が見え始める。ブナ坂への道は方角によって雪があったりなかったりする。ここはまだらでも稜線に着けば白くなっているだろう、という予想は見事に外れた。ブナ坂は多くの部分で雪が解け土が出ていた。南に面しているせいもあろう。 ぬかるんで若干歩きにくいところもある。奥多摩小屋までは同じ様な道が続いた。 雪は少ないが展望はよい。暖かな日差しを受け、富士山も逆光ながら見え続けている。 下ってくる人を見ると、たくさん着込んている人や薄着の人、アイゼンを着けて土の上を気にせず歩いている人を見たかと思うとスパッツさえつけていない人もいる。いったい上の積雪の状況がどうなっているのか、想像がつかない。でもあえて聞かないことにした。 どちらにしても、皆今日は服装や装備に迷っているのがうかがえる。 鴨沢コースは1年に最低2度は歩いている。下部の植林帯、ブナ坂に出たとき、ヨモギの頭を登りきったとき、雲取避難小屋が見えたときなどそれぞれの場面で違った味わいや楽しさを感じる。1本の登山道のように思えない。 フリースを着たり脱いだり忙しいまま、カラマツの樹林帯を抜け急登。小雲取山の肩に着く。導標は雪に埋まることもなく、根元から全部見えている。奥秩父から大菩薩連嶺の山々の展望が一気に開ける。 積雪はあるところで10cm。気持ちの良い稜線を歩いて雲取山避難小屋目指して最後の登り。雲取山(2017m)頂上は、かろうじて一面薄い雪に覆われていた。 暖かいとはいってもてっぺんはさすがに冷える。45分ほど展望を楽しんだ後、雲取山荘に下る。北面に入って今日初めて、まとまった量の積雪を見る。それでもせいぜい20cmといったところだ。凍結はしていないのでアイゼンは使わずに下りる。 雲取山荘には初めて、予約の電話を入れておいた。1階で3名の相部屋となる。 冬用のトイレが廊下を出たすぐのところに出来ていた。前はいったん外に出なければならなかったのだが、寒い思いをしなくてよくなった。それどころか個室内にはヒーターまで入っていて至れりつくせりだ。 この日の雲取山荘の宿泊者は80名、一方頂上の避難小屋は満員だったそうだ。 ●御来光を仰ぐ 朝食は頼んでいなかったので、早めに出発する。アイゼンを装着する。 日の出時刻(6時32分)の20分ほど前に雲取山頂上に着く。すでに東側の空が茜色に染まり出している。10名ほどの人が寒さをじっとこらえて外に出ている。御来光を待っていると山と一体になったような気持ちになる。 地平線からポッと出た一条の光がほどなく、光の塊となる。したたり落ちるような真っ赤な色である。 次第に富士山も東側が赤くなり、南アルプスもほんのりと赤味を帯びる。久しぶりに雲取山の冬の好展望を堪能できた。 避難小屋からどんどん登山者が出発する。雲取山荘から登って来た人、奥多摩小屋から空身でピストンして来た人が山頂で行き交う。2月でも大いに賑わう人気の山である。 |