~奥多摩の雪原に遊ぶ~ |
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●雪化粧の展望の中を雲取山へ
前日に都心でも積もるほどの雪が降った。立川駅から乗る青梅線の車窓からはすでに、真っ白に化粧をした奥多摩山村の風景があった。 奥多摩駅前の広場はアイスバーン状態、鴨沢バス停から歩き出す道はすでに雪道だ。小袖登山口付近の積雪は30cmくらい。何度も通っている道だが、あたり一面真っ白なので一瞬登り口がわからなかった。 登り口の少し手前に二股の踏み跡を確認。あおむしさん、nosakuさんが先日歩いた「登り尾根」への取り付き点だ。ここへの挑戦はまたいずれとし、今日は登山道の方を行く。 雲取山へのメインコースでありながらも、前の日に雪が降ったこともあり、トレースがあるか心配な面もあった。見ると足跡が2人分付いていてほっとする。 標高を上げるにつれ積雪は多くなってきているが、南に面した道は土が出ているところもある。しかしそれはほんの数カ所。他は全部真っ白である。
堂所までは意外に植林が多く少し単調なところもあるので、自分はよく、右手に見える赤指(あかざす)山の頂上を見ながら登る。赤指山は標高約1300m、堂所は1210m。赤指山、または赤指尾根がどれくらい上の位置に見えるかを、堂所までの距離の目安にしている。 廃屋の前で一休み、それほど寒さを感じない。オーバーヤッケはザックにしまう。赤指尾根はまだまだ目線のずいぶん上だが、少しずつでも確実に標高を上げて行く。右上方に鷹ノ巣山、石尾根の稜線を見る。どれもが白い服をまとっている。千本ツツジの防火帯は真っ白だ。 下山のパーティーとすれ違う。上のほうではけっこうラッセルしたと言う。今の時間ならもうトレースOKとのこと。その後も下山者は何人か見かけるが、自分と同じ登る人はまだ見ていない。そう言えば鴨沢までのバスにもうひとり乗っていたが、どうしたろうか。 さっきまであれほど上に見えた赤指尾根もいつのまにか目線の位置に来た。指導標を見、ほどなく堂所だ。三頭山が見える展望地まで一投足なのでそこで休憩する。 少し雲が出て来た。三頭山の山頂部は雲に隠され始めている。 堂所を過ぎれば岩っぽいジグザグ道になり、勾配もやや急になる。相変わらずの雪道。七ツ石山は明日登るので、ブナ坂までの巻き道を行く。左側に長く延びている支尾根は七ツ石山から来ている七ツ石尾根だろう。その方向には通行禁止の印があるが、道らしきものもある。 ブナ坂への巻き道は、今までとは少し違って、雪上のトレースがややはっきりしていない。2つの足跡は七ツ石山に続いていたようだ。少々ペースが落ちる。 しかしあたりはどんどん開け、なだらかで気持ちよい雪道になる。少々単調にも感じるが、ブナ坂分岐の指導標を見てほっと一息つく。
無雪期の頃より、なるほど時間がかかっている。疲労の度合いもやや強いが、ここからは展望を楽しめる石尾根の防火帯。いつものことだが、足取りが軽くなる。トレースも再びはっきりする。 見える山々はみんな雪を被っている。これほど白に包まれた光景も、ここ数年では珍しいのではないか。富士山はかなり下の裾まで雪が来ている。 奥多摩小屋の前で昼食にするが、流石に寒い。オーバーヤッケを再び着る。 行きのバスでいっしょだった人が登って来た。二言三言交わし、その人は奥多摩小屋に宿泊手続きをしに入って行った。 奥多摩小屋から、さあもうひとふんばり。目の前の急登と、巻き道両方にトレースあり。直登の道を行く。ますます雪は深くなり、このへんでは平均でも50cmはある。 登るにつれて、奥多摩の山々が背後にパノラマで広がって来る。短い樹林帯を過ぎ、再び小雲取山への直登。ここでは奥秩父連山、大菩薩の山並みが背後に広がる。富士山も大きい。
小雲取山から山荘に直接行く巻き道には、トレースが無い。この季節、普通は雲取山頂を経由して山荘へ行くこととなる。見渡す限りの白銀の雪原・大展望をバックに、4時少し前、山頂へ。避難小屋前の寒暖計はマイナス2度をさしていた。 鴨沢コースは標高を上げるに比例して展望が広がり、それにつれて自分の気持ちがどんどん高揚していくのが楽しい。 明日は晴れるだろうか。天気に期待して、雲取山荘へ下りる。日曜日の晩、山荘の宿泊者は都合3人。小屋番の人数と同じだった。 ひとりだけの小部屋は炬燵を1人占め出来るけれども、やはり寒い。腰から下を炬燵に潜らせて一晩明かす。 小屋前の積雪は50cm程度だった。
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