-雲取の10月は鍋の季節- くもとりやま(2017m) 2009年10月17日(土)曇り~18日(日)晴れ
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翌朝は5時半に起きる予定だったが、その1時間くらい前から周りがほとんど起き出してしまい、うるさくてとても寝られたものではない。前倒しで起床。 こんな中でもシュラフにくるまって完全熟睡している人もいる。うらやましい。それでも10時間近く眠れたのでよしとしよう。 外に出ると、夕べのガスはどこへやら、星がきれいにまたたいていた。下界の明かりも見える。 日の出を拝み、雪を被った富士山を見る。雲取山の朝は、春夏秋冬いつの季節もすばらしい。 支度をして出発。荷物が劇的に軽くなった。
昨日全く視界のなかった石尾根を歩き、鷹ノ巣山までの予定。奥多摩駅まで歩く人も多かったが、今回は雲取山が初めての同行者もいることだし、余裕のあるプランにした。 南関東の山々と富士山の大パノラマを眺めながら歩く。今日は巻き道を使わず、ヨモギの頭に寄る。カラマツはやはりまだ紅葉には早い。七ツ石山(1757m)に登ると雲取山の避難小屋が見えた。 尾根筋を通って千本ツツジ(1704m)へ。石尾根稜線の紅葉は今が見頃だった。色つきも悪くない。紅葉のペースは特に早いというわけでもなく、石尾根はやはり10月中旬が見頃になるのだろう。 千本ツツジを下りてからは稜線に戻らず、少し下の巻き道を進む。一段下がっただけで、緑の木が多くなる気がする。ヤブも蜘蛛の巣もなく、とても歩きやすい。友人もそう言っている。 このあたりは日本の山岳でも、とりわけ天候の安定した地域なので、豪雪地帯の山のように登山道が荒れたり、段差が出来たりすることも少ない。もちろん関係者の方が絶えず整備して下さっている、という面もあろう。
それでも上越や東北の山に比べれば、安心して歩けるといった点では、奥多摩や秩父の山は秀でている。それ故、この山域ばかりを歩いていると、山を歩く危険さというのはこの程度、と思い込んでしまうのが恐い。山は千差万別なのである。 逆もまた然りで、いつも高い山ばかり登っていると、温暖化の問題や、人間と野生動物との距離が近くなってきていることの危険、そういう山と人間生活との接点に沸き起こっている問題に疎くなりがちである。里山も、歩けばいろいろな発見があるだろう。 ひとつの山域を極めるのもいいが、時間と財布が許せるならできるだけいろいろな山域を、そして高い山も低山も自らの足で踏み、バラエティのある山登りをしていきたい。 鷹ノ巣山避難小屋に荷物を置き、尾根道に戻る。紅葉がきれいで、振り返れば色づいた山稜の先に雲取山や大菩薩嶺、遠く南アルプスのシルエットが望めた。 雲ひとつない空を目指し急登を詰める。鷹ノ巣山頂上(1737m)は風が通り、いつにもまして爽やかな場所だった。 避難小屋に戻り、浅間尾根を下る。鷹ノ巣山から見下ろした浅間尾根は、赤を中心とした紅葉が目立ったが、実際歩いてみると緑が多かった。紅葉適期は1週間か、10日先であろう。 峰谷に下り、バス停先の渓流釣り場施設でビールで乾杯する。今日は久しぶりに車を使わない山旅だった。下山直後のビールがはらわたに染み透る。 早い時間の下山だったので、バスも混雑はなく、奥多摩駅に戻る。明るさと静けさが同居する10月の雲取山だった。 |