~猛暑と雨、緑の中の雲取~ 2006年7月15日(土)~16日(日)
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●雨の中を下る 翌朝、富士山も見えるほど天候回復したのも少しの時間だけ。上層に雲が広がり、出発する頃には今にも雨が降ってきそうになった。 今日はもともといい天気を期待してはいなかった。ただ梅雨前線は東北地方に貼りついたままで、すぐには南下しそうにない。曇りくらいかなと思っていたがそうもいかなかったようだ。 空模様を気にしながら石尾根方面を目指す。行けるところまで行こう。 小雲取山から下る頃、早くも降ってきた。これから雲取山頂を登る空身の人に何人もすれ違う。奥多摩小屋あたりでけっこうな降りになるが、ガスは湧かず富士山も見えている。
雨で滑りやすい中、ブナ坂まで来る。雨足はいくぶん強まる。しかし見通しは良い。七ツ石山へは登っておこう。 急坂を登る。最初に七ツ石山を西側から登ったとき、この急斜面に参ったことを思い出す。 登り着いた七ツ石山(1757m)頂上からは雲取山へ続く石尾根の稜線、そしてまだ富士山も見えている。こんなに降っているのに不思議なものだ。へたに中途半端な晴れの天気で、ガスで視界が閉ざされるより、素直に雨降りの方が展望が効くこともあるものだ。 神社の横を過ぎて、七ツ石山の名の由来といわれるいくつかの大岩を縫うように下る。今日はここで降りよう。七ツ石小屋への道に入る。 この道を歩くのは久々、実に5年ぶりに七ツ石小屋を見る。「富士山が見える小屋」の看板はそのときから変わらない。 ここも奥多摩小屋同様、素泊まり食事なしの小屋である。こうして見ると奥多摩の山は、歩く人が多い割には素朴な山小屋が多い。その点が丹沢や奥秩父と少し違う。
奥多摩の山は、自分が登り始めた頃の雰囲気をまだ変わらずに残してくれている、と感じる。もちろん植生の変化や登山者の数に着目すると以前とは様変わりなのであるが、それでも山の本来の姿は変わっていないと思う。 奥多摩の山は人だらけで花も少なく物足りないという人には、こういった小屋に泊まりで歩くと、奥多摩のまた違ったよさが感じられるかもしれない。 カラマツや檜の林の中を下って行く。雨に濡れた笹に時たま膝や腰が擦られる。静かで懐かしい、奥多摩ならではの山道だ。 やがて行きの鴨沢からの道と合流する。時々、人が何人か固まって登ってくるときがある。きっとバスで来た人たちだろう。ここまでの登り時間を逆算して、何時のバスの人たちなのかなと考えながら下っていく。 それにしてもこの天気で何人もの人が登って来る。雲取山は人気のある山だなあとつくづく感じる。 標高を下げ雨足は弱まるが、降り止まないため傘をさす。堂所を過ぎれば傘もさせる幅広の道だ。 と、突然小袖川側の斜面に猿が数匹、木から木へ飛び渡るのを見る。奥多摩で猿をみたのは何年ぶりだろう。 よく見ると東の空遠くに青空、そして太陽も顔を出すという奇妙な天気である。 蒸し暑さとガス、展望そして雨と、初夏の雲取山の空模様は実にバラエティに富んでいた。 |