~猛暑と雨、緑の中の雲取~ 2006年7月15日(土)~16日(日)
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7月になって、ようやく今年の初宿泊山行となった。山の中で泊まったことが今年は今まで、なかったのである。 梅雨は明ける気配すら感じない。それでも土曜日は晴れ間もある予報。日曜の天気がわからないが雲取山に登ることにした。 7月の雲取山は1999年、小袖登山口(鴨沢の上部)から日帰りピストンしたとき以来だ。鹿の食害で激減したと言われている石尾根の花々は、鹿の頭数調整が始まった今、いくらかでも復活しているのだろうか。
●暑い暑い、蒸し蒸しの登り 緑に包まれた鴨沢集落から、いつものように歩き出す。 空は気持ちの良い青色。しかし湿気がすごい。久々にシュラフや食糧を詰めたザックの重さを感じ、意識して歩みを遅くする。 石尾根の稜線が見える場所に出る。ガスもかからず見えているが、青空稜線の背後に雲がもくもくと湧き始めている。あそこを青空の下で歩くには少し間に合わないかもしれない。 今日の登山者は若い人も多く、みなザックが大きい。奥多摩でこういう光景を見るのももう1年ぶりのような気がする。 それにしても暑い。熱中症がこわいので水をこまめにとる。日差しをさえぎる帽子も、かぶり続けだと頭部に熱がたまりかえって危険。時々脱いで風を通すといいそうだ。
じっくり歩いて堂所。ここからやや傾斜がきつくなる。前後を行き交う人たちも、今日の蒸し暑さで動きが悪い。MTBで登る人も相当つらそうだ。 自分もこの急登に早々と根を上げる。七ツ石山経由で行くのをあきらめ、巻き道を通ってブナ坂を目指す。しかしこの巻き道も距離はある。岩の裂け目から流れ落ちる水で顔を洗う。 ブナ坂に到着。ブナ坂といってもブナはあまりなく、カラマツが植林された防火帯の稜線だ。眺めはいいのだが今日はすでに青空はなく、雲が厚い。遠くで雷が鳴り続けている。 石尾根を歩き出すと、背後には七ツ石山がガスのカーテンで姿を隠そうとしているところだ。花は皆無で、開花前のマルバダケブキの葉がただ尾根を埋め尽くしている。 以前は草むらからヤマオダマキやコウリンカ、ノアザミなどの姿を認めることが出来たのだが。「以前」といってもほんの5年ほど前のことである。 周囲のガスも濃くなり、場所によっては視界数10mにもなる。テントがいくつか張られている奥多摩小屋前を過ぎ、ヨモギの頭を登る。高度を上げ、さすがに暑さからは解放されるようになった。 荷物の重さに耐え兼ねて何度も歩みが止まる。それでもなんとか小雲取山に登りつく。 頭上の雲は流れが速く、時々切れ間から青空が覗くようになる。小雲取山から雲取山への展望の稜線、いつもより長く、しかも登りがきつく感じる。 重い足をひきづって雲取山避難小屋へ到着する。小屋前の寒暖計では、気温20度そこそこ。山の上はやっぱり涼しい。 今日の行動はまだ終わりではない。水とビール調達のため、50分かけて雲取山荘を往復する。山荘のある秩父側は天気が悪く、雨がポツポツと降っていた。それに土曜日というのに山荘は静かで、従業員以外に人の気配を感じない。なかなか安定しない空模様に、皆出かける気がおきないのだろうか。 山頂に戻り食事をしていると、山頂もやがて夕立となる。雨が上がって外に出ると、山頂は展望の地に変わっていた。 一面の雲海の上に山々が顔を出し、奥秩父や丹沢、御坂の山並みが幾重にも重なっている。大気中のゴミが雨によって洗い流されたのか、三頭山や御前山の山肌が日に照らされくっきりと見られる。おぼろげながら富士山も輪郭を現すようになった。 夕方になり、大岳山のはるか後ろに都心の明かりも見えてきた。そして、今年も雲取山山頂直下に鹿を見る。 避難小屋は10名ほどの宿泊。夜中に再び雨模様となる。 |