山の写真集 > 奥武蔵・秩父 > 伊豆ヶ岳から正丸尾根
  • -台風19号の影響いまだに-
  • 正丸駅-伊豆ヶ岳-刈場坂峠-大野峠-芦ヶ久保駅
  • 奥武蔵
  • 埼玉県
  • 川越山(780m),カバ岳(890m)
  • 2019年12月21日(土)
  • 15.9km
  • 6時間45分
  • 587m(正丸駅-カバ岳)
  • -
  • -
  • 西武線
天気1

 

2019年12月21日(土)
池袋駅 6:13
  西武線
飯能駅乗換え
7:52   正丸駅 7:55
8:15   大倉山集落
9:05   五輪山
9:20 伊豆ヶ岳 9:30
9:50 小高山
10:07 正丸峠
10:35 川越山
10:45 旧正丸峠
11:47 虚空蔵峠 12:20
12:53 牛立久保
13:00 刈場坂峠 13:05
13:55 カバ岳 14:20
14:35 大野峠
15:30 赤谷登山口
15:57 芦ヶ久保駅 16:02
  西武線
17:34 池袋駅

 

今日は正丸尾根を縦走し、刈場坂峠、ブナ峠を経て日向根まで歩きたい。晩秋から早春にかけてのおすすめコースである。
たかが1000m以下の低山コースを思うなかれ、アップダウンが連続して体力的には標高差1000mの山を登るのとあまり変わらない。道中、もうこんなきついのはやだと思いながら歩いているが、1年経つとまた登りたくなってしまう。


刈場坂峠の車道はゲートとバリケードで完全封鎖 [バリケード拡大]

正丸駅からスタート

正丸駅

伊豆ヶ岳への登山道。谷間で日が差さず寒い

肌寒い道

支尾根に上がる急斜面は木の根が浮き出ている

木の根浮き出る

霧の中の伊豆ヶ岳山頂

伊豆ヶ岳

正丸峠

正丸峠

正丸峠から先は、木の階段の急登が続いたと思うと同じ分を急降下する行程が繰り返される

急な木の階段が続く

尾根道の大木はコナラであることもあるが、比率的にはミズナラが多い [樹皮]

ミズナラの尾根

旧正丸峠

旧正丸峠


正丸駅から歩きだす。今日は伊豆ヶ岳に寄ってから尾根を縦走する予定だ。
大蔵山集落先の分岐で左に入る。名栗こどもセンターへの道案内の標識はあるが、なぜか伊豆ヶ岳を示す指導標はあまり見ない。人工林下で沢沿いの薄暗い道を進んでいく。
やがて急登となり、斜面をしゃにむに登るようになる。台風19号の影響はあるだろうか。ところどころで倒木は見かけるが、このあたりはそう大したことはない。人工林が伐られた跡の斜面を登っていくと支尾根に出る。ここまででかなり汗をかいてしまい、服がびしょ濡れになった。冬の寒い時期にこれだと体が冷えてしまう。
人工林と雑木林に挟まれた支尾根も、まだ急登が続く。岩場を越え、さらに高度が上がると霧が周囲を覆うようになった。予報からも天候回復は見込めず、今日も1日こんな空模様での歩きとなりそうだ。

五輪山に上がって、ここから主稜線となる。男坂には通行を控えてほしい旨の看板が立っていたが、ロープなどで完全に遮断されてはなさそう。しかし女坂の方を行く。女坂の方も途中で、崩落のため迂回路ができていた。これも台風のせいか。人工林を抜けると、滑りやすい急坂となる。オーバーユースなのか、登山道は全体的に荒れており藪も多い。
まるで夕方のような、霧で薄暗い伊豆ヶ岳山頂に到着。眺めはもちろんないが人はそこそこいる。汗びっしょりの上半身では風邪をひいてしまうので、山頂で着替えた。

女坂を下り返して、五輪山から正丸尾根を北に縦走する。ひとしきりの下りを経たのちは穏やかで歩きやすい道となった。小高山を越え、このあたりはまだアップダウンもきつくない。
進行方向に、木の間から高い山が近づいてくる。その山に登りだす手前で正丸峠に着く。車道が通り休憩所があるが、明るい雰囲気がある。武川岳が大きく見えるはずだが、今日は乳白色の眺めである。
正丸山への登り詰めの道となる。雑木林がすがすがしい。峠までは登山者も多く見かけたが、この先は一転して静かになる。時々トレランの人とすれ違うばかりだ。正丸駅から正丸峠~伊豆ヶ岳~駅の周回コースが距離的にも手ごろだし、多くの人がそのコースを歩くようだ。
階段道を下って登ってカンゼ山、カンゼは川越と書くが川越市との直接の関連ははなさそうだ。
正丸尾根の特徴である急降下、急登の繰り返しがここから始まる。少しだけ残っている黄葉はミズナラだ。この標高だとコナラであることが普通のような気がするがここは不思議とミズナラである。
急な下りで旧正丸峠、そしてすぐに登り返す。旧正丸峠ははっきりしたV字型地形の底になっていて、この間歩いた九鬼山の札金峠と少し似ている。峠の雰囲気をよく残しており、秩父から飯能方面へ抜ける道として、昔の人がここを越えて移動していた様子が浮かんでくるようである。

落葉樹の快適な尾根。アシビが多くなる

アシビ増える

サッキョ峠付近にはミズナラの大木が尾根道を塞ぐように立つ

サッキョ峠

虚空蔵峠から先の尾根にブナの大木あり。[全景] []

ブナ大木

年季の入った標識。牛立久保付近

古い標識

霧が深くなり夕方のようになる。牛立久保付近

夕方のよう

大野峠から、赤谷登山口に下山

赤谷に下山

芦ヶ久保駅のホーム

芦ヶ久保駅


ミズナラの大木の立つサッキョ峠を越える。カシワの木と大きな葉がたくさん落ちている。今までカシワは山ではあまり見ないと思っていたが、こうして気を付けながら歩いているとけっこうあるものだ。
ところで、ミズナラの葉もカシワくらいに大きなものがあり、ちょっと見には見分けがつかないものがある。カシワとのギザギザは丸っこく、ミズナラは尖っているのだが、その中間のものも多い。
急登、急下降の繰り返しが続く。ロープのかかった階段の急坂は前回、雪がついていたので大変だった。
それにしても霧が全く晴れる気配がない。時々霧雨のようなものも落ちてくる。曇りの日でも、どこかの時間で日差しなり展望が開けて来てよかったと思うのだが、今日はもしかしたらそういうこともなく終わりそうである。

虚空蔵峠で休憩後、再び霧の中を登っていく。左手が人工林の尾根の肩に、一本のブナがあった。直径50㎝くらいはありそうな、かなりの老樹だ。標高およそ810m、今はすぐ下に車道が通じ山とも思えないような所だが、昔は豊かな森林帯だったのだろう。霧が深く夕方のようで、うまく写真に撮れないが、今日初めて、ここに来た意味を感じた時だった。
登山道はこの後もきつい登り下りが続く。しかしピークを巻くことが多くなった(ここまでの登山道は目の前のピークはすべて通っていた)。

昔はスキー場の開発計画もあった平坦な場所に出る。雑木林を緩やかに登り牛立久保の分岐。こんな幻想的な雰囲気も悪くない。
今日は牛立久保を右折、刈場坂峠を経て日向根に行く予定。この日の最高点を越して、バンガローのような建物を右手に見ながら刈場坂峠に下りる。霧はますます深くなり、眺望はないどころか、視界が30mくらいしかない。
刈場坂峠は三方から車道が通っているが、いずれも台風19号の影響で通行止めとなっていた。それでも駐車場に置いてある車は作業車か。奥武蔵グリーンライン、特にブナ峠へ行く方向はゲートの先にバリケードのような大きな砂袋が道を塞いでおり、絶対に車を通さないようにしている。この先道が崩落しているようだ。
歩くのは大丈夫なのか、わからない。これは迂闊だった。つつじ山を通っていけばしばらく車道を歩かなくていいが、最後は車道に出ることになる。

今日のところはこのまま進むのをやめた。引き返していつものように大野峠方面へ行くことにする。
奥武蔵グリーンラインは台風19号の被害が相当大きかったようだ。先日破風山で聞いた話では、丸山も車利用で登ることは難しいらしい。今回の台風19号により各地の登山道も被害を受けたが、山間の林道や車道のダメージも相当なものらしい。
しかももう4か月も経っているのにまだこんな状態である。被害箇所が多くて復旧作業が回ってこないのだろう。登山はまだしも、林道を仕事や生活用道路として利用している地元の人は大きな不便を感じているはずだ。
地震や津波と違い、台風は毎年必ずやってくる。こんなことがこれから当たり前のように起こるのだろうか。山というか自然は何万、何十万、あるいは何百万年単位の大きなサイクルで、自らを破壊することで別の環境や植生を生じさせ、生まれ変わろうとする。そういう流れに向かい始めたような気がする。

牛立久保に戻り、そのまま直進。下に見える車道を、一般車が走ってきた。おそらくゲートをどけて入ってきたのだろう。たぶん刈場坂峠で足止めである。
カバ岳の地味な山頂で小休憩してから大野峠。長く単調な登山道で赤谷へ下る。今日の空は終日鉛色だった。
芦ヶ久保駅でビールを買い、予定にはなかった西武線で帰る。