林道花桐線に入る
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谷間に伸びる登路
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4年ぶり、通算3回目の正丸尾根。今日は伊豆ヶ岳に登ってから縦走する。どうせ伊豆ヶ岳に登るなら、今まで歩いたことのない登路をとることにしよう。花桐集落を経由する道を辿る。
西吾野駅から、正面の本陣山を北から回り込むように車道を歩く。土曜日で朝早いのに、交通量は多い。
高台に学校の校舎の建つ畑井地区を過ぎる。比較的新しめの住宅地の中に、飯能市の陶芸「南川窯」のギャラリーがある。
やがて花桐林道に入る。右に諏訪神社を見て、さらに数軒の民家をやり過ごすと堰堤の横に出る。ここからは沢沿いの登山道となる。
花桐からの登りは一般コースではないが、エアリアマップには実線および破線で示されている。沢沿いの道でところどころわかりにくくなるものの、だいたいは普通の一般道と変わらない。狭い谷間の道が続くのでそれほど紛らわしいところもない。
ただし細い沢を何度か渡渉するので、濡れた石の上に足を置くときは注意が必要だ。
また指導標はないので、時々現れるテープに導かれながら、ゆっくりと高度を上げていく。
植林の中にたまに現れる落葉樹も、すでに冬枯れ。日が射さないので暗く、うすら寒い。道が本格的な登りになるのはいつだろうか、そう思うほど斜度のない道が続く。
雑木林に囲まれた川越山
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やがて、細くなった沢筋が大きな岩で通せんぼされるところから、右の山腹に取り付く。この植林下の登りはかなりきつい。
大蔵山集落からの伊豆ヶ岳の一般コースも、最後はかなりきつめの急登があったが、こちらも同じである。30分ほどの我慢のしどころだ。上のほうに、日に照らされて明るい自然林の稜線が見える。
日のあたる場所に出てさらに少し登ると、そこは男坂の入口だった。岩場である男坂は通行が禁止されている。青空で気持ちよい稜線を数分歩いて、伊豆ヶ岳頂上に着く。
前回は奥武蔵の山々がけっこう展望できたと思ったのだが、樹林が伸びてこの季節でも木の枝越しの展望になっている。蕨山の展望台も樹林の背が高くなっていた。こんなに目立って伸びるものなのか。温暖化の影響が少しはあるのだろう。
それでも南北に細長い頂上は、腰を下ろしてゆっくり出来る地である。
虚空蔵峠
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展望良い刈場坂峠
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女坂を下って縦走路に入る。五輪山、正丸駅の分岐となる長岩峠を経て小高山。3月1日に火事があって小屋が焼けた、と小さい標識に書いてある。確かにつぶれた小屋のようなものがある。
正丸峠に下ってから正丸山への登りはきつい。川越(カンゼ)山から旧正丸峠へも急降下の道である。このコースは細かなアップダウンが間断なく続き、平坦なところが意外と少ない。
すっかり葉を落とした落葉樹の林も随所に現れ、見通しはいい。北に進むにつれ、左手に見える武甲山の形がどんどん変わっていく。以前は奥多摩方面の眺めが良かった展望台は、今や植林が育ち全く眺めはない。
サッキョ峠を経て、車道に下りる。虚空蔵峠である。
山道に戻るとまたしても急登。歩きがいのある尾根だ。
牛立久保から右折して刈場坂峠に向かう。笠山など比企の山の眺めが開ける。刈場坂峠からはさらに広い展望が得られる。売店もこの季節は閉まっている。バイクや車が時々立ち寄るくらいで、静かな峠である。休日の奥武蔵グリーンラインも、冬の時期はそう車の行き来は多くないようだ。
ブナ峠の石標
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右手の山道に入り、つつじ山(879m)に登る。植林の中の味気ない山頂だが今日の最高点はこの山である。正丸駅に下る道を分けてブナ峠に向かう。
木へんに義とかいてブナと読むのだが難しい字だ。句碑や石標が立っていていい雰囲気だ。車道が通っているのが残念である。
ここで北東側に下っていく林道を辿る。昔からの峠道だったようで、仏碑やお札が至る所にそなえられている。「砥石のヒノキ」と名付けられた大木の脇には山の神が奉られている。
6年前に初めて正丸尾根を歩いたときもこの道を通って椚平に下ったのだが、半舗装の林道が続くのみで山道ではなかった記憶がある。しかし右に下る分岐を見送ったあと、にわかに未舗装の山道に変わっていく。こんな下りだったかな、と不思議に思う。
峠道を見守るお地蔵様
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紅葉残る日向根
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じきにもう1本、右折する道を見送りなおも下っていく。15分ほど下ったあたりでやはりおかしいと思い、先の分岐まで登り返す。前回はここを下りたのかもしれない。下ってみたがこれは林道作業用の道だった。
もう一度分岐まで登り返し、さっき下った道をまたしても歩き出す。いったい何をやっているのか。さっきUターンした場所の少しだけ先に、日向根への下り口があった。
一度歩いてわかっているはずの道で40分もロスし、結局バスを1本逃してしまった。
日向根(ひなたね)集落は、いかにも奥武蔵らしい静かな山村である。こういうところに民宿などあったら泊まってみたいものだ。
しかし6年前に見た風景と、やはりどこか違うような気がする。今考えると、前回は右に下る道のうちのどちらかを下りてしまったのかもしれない。そして日向根と思っていた集落はまた別の場所だったかも。
あのときは下ったところで親切な方に声をかけられ車に乗せてもらえたので、どこに下りたのかは確証がないのだ。
そういった間抜けなことが、6年前まだ登山を始めて数年目の頃にはよくあったようだ。
日向根付近にはまだ紅葉が残っている。小学校の校舎前の紅葉は今が盛りのようだ。今年は本当に冬の訪れが遅い。
畑仕事をしている人に道を聞きつつ、ようやく日向根バス停を見つける。今度は間違いなく日向根だったようである。
小さな都幾川町営バスに乗り、途中下車して都幾川四季彩館に寄り道してから家路に着く。
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