-自然林続く尾根道-
タイトル
正丸駅-正丸峠-大野峠-丸山-新木鉱泉
山域奥武蔵
地域埼玉県
標高正丸山(780m)、カンゼ山(766m)、カバ岳(858m)、丸山(960m)、大棚山(718m)
山行日2010年12月5日(日) 天気1
沿面距離15.5km
歩行時間6時間45分
標高差657m(正丸駅~丸山)
宿泊-
温泉新木鉱泉
交通西武線、西武バスHome



2010年12月5日(日)

池袋駅5:39
 西武線準急
飯能駅乗換
7:07正丸駅7:10
7:55正丸ガーデンハウス
8:10正丸峠8:15
8:35正丸山
8:42カンゼ山
8:55旧正丸峠
10分休
9:55虚空蔵峠
10:25牛立久保12:25
10:57カバ岳11:00
11:20大野峠
11:25展望台11:40
12:05丸山12:35
12:50芦ヶ久保分岐
13:45大棚山
14:05合流点
14:45金昌寺16:12
 新木鉱泉立寄り
西武バス
16:35西武秩父駅16:43
 西武線快速急行
18:28池袋駅


関連リンク
[記録] 花桐から伊豆ヶ岳、正丸尾根
[記録] 春の丸山、日向山
西武鉄道
西武バス
新木鉱泉


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正丸駅から出発する。今年初めてといっていい、しばれる朝。道路っ端の雑草にはびっしりと霜が下りている。でも秩父地域の本当の冬の寒さは、こんなものではない。緩い坂を登っていくうち、体も温まってきた。
民家の脇から登山道に入る。猿を祭った「お申講」という祠があった。飯能地区では猿を山の神として敬う慣わしがあったそうだ。


正丸駅付近の道端の雑草には霜が降りていた

杉の植林下の、薄暗い道を登る。分岐があり、まだ歩いていない正丸ガーデンハウス経由の道に入ってみた。

尾根伝いに高度を上げていき、車道に出会ったところは、正丸峠よりまだかなり手前の場所だった。

イタリアンの看板が掲げられている展望レストランだが、こんな朝早い時間では静まり返っている。もっとも、冬期は営業していないようだ。

旧正丸峠
葉の落ちた細尾根
武甲山
古い導標
展望台
両神山、八ヶ岳

舗装車道を1kmほど歩いて、天皇陛下御展望記念碑の建つ正丸峠に出る。ここも静かだ。時間がゆっくりと流れている。
正面に武川岳の穏やかな山容が大きい。空は一点の雲もない快晴。今日はいい天気の下を歩けそうである。

正丸山を越えて、自然林の尾根を進む。8年前とコースも時期もほとんど一緒だが、今年はほんの少しだけ紅葉の残りがある。
カンゼ山へは木の階段道の登り返しとなる。ピークから木の枝越しに武甲山を見て、今度は一転、落ち葉深い中の急降下で旧正丸峠に下りる。

このコースは自然林の清々しい尾根歩きが出来る反面、アップダウンが多い。隣りの武川岳~二子山間の縦走路よりも標高が低く取り付きやすい位置にあるのだが、大変に骨の折れる道なので、歩く人も比較的少ない。展望地も少なく、眺めを楽しみたければ伊豆ヶ岳や丸山まで足を伸ばす必要がある。
そういう場所なのに何度もここに足を運ぶのは、やはり山歩きとして満足度が高いコースだからである。ところどころで現れる笹の道も、尾根歩きの楽しさを演出する。

サッキョ峠付近で岩っぽいヤセ尾根に出るが、その後は再び比較的大きなアップダウンの繰り返しとなる。
緩い下りになると虚空蔵峠に下り立つ。舗装車道になって興ざめだが、通る車もなく静かである。多量に舞い落ちた落ち葉の運搬作業をしている人がいた。ここで初めて他の登山者と会う。

すぐに山道に戻り、再び高度を上げる。左から尾根筋が合わさってきた。もしかしたらさっきの虚空蔵峠の手前で、峠に下りずにそのまま尾根伝いに歩けば、車道に下りることなくここに出てこれるのかもしれない。
低潅木の間を緩やかに高度を上げると、寂しく指導標の立つ牛立久保。刈場坂(かばさか)峠と大野峠の分岐点である。今日は左の大野峠方面に進む。
樹林が切れ、外秩父方面の眺めが広がる。大野峠へは車道に平行して伸びる植林のヤセ尾根を行く。岩場だが危険はあまりない。カバ岳でひと休みして大野峠へ下りる。ようやく人や車が行き来するエリアに入ったようだ。20名くらいのハイキングの団体さんもいる。

大野峠から急坂をひと登りで、890mピークである展望地に出る。堂平山方面の眺めがすばらしいところだ。パラグライダーがたくさん飛んでいて、気持ちよさそうだ。このピークもまたパラグライダー発信地のようでもある。
以前着たときはあずまやがあったような気もするのだが、今日は何もなかった。

丸山へは緩い登りをもう一息である。行き交う人も増え、お昼時ということもあって丸山山頂は大いに賑わっていた。若い女性も多く、登山ブームは冬枯れハイキングの季節になっても、継続しているようだ。

丸山展望台
広葉樹の道
何かの記念碑か
秩父の町並み
マリア観音

展望台に上がってみると、雲ひとつない青空の下、全方位の眺望が広がっていた。奥武蔵や奥多摩の山並みはもちろん、八ヶ岳や両神山、浅間山、上信越の山などくっきりすっきりとした眺めだ。奥日光の男体山と思われる白い峰も見える。
通算4度目の丸山でこれほどの広い眺めは初めてだ。展望台を下りたところの草地からもなかなかの眺めが得られる。日当たりのいいベンチでゆっくり休憩した。

前回は丸山から芦ヶ久保駅に下りたが、今日は天気もいいことだし、歩けるだけ歩こう。
暑くも寒くもない、風も弱く快適この上ない陽気である。しかしもっと気象条件がいいときは、歩いていてしびれるような恍惚感を味わうことがあるが、今日はそこまでいかない。今まで自分の味わった恍惚感の山行は2001年12月の笠山、2006年2月の赤鞍ヶ岳の2回である。

金昌寺を下山地とする。2時間以上の長い下りだ。森林学習展示館の建物の間を抜け、その先の山道に入る。
山腹を巻く道なのだが、上部の稜線部が広葉樹のになっているのが見えたので、「尾根へ」の標識に従って上がってみる。期待通りの、気持ちよい自然林の道だった。冬の日を受けた樹林は思い思いに、その長い影を落ち葉の斜面に映している。
どれも葉を落とし、正面に秩父の町並みが広く見下ろせた。まだかなり遠く、高度差もある。
植林の多い奥武蔵で、これだけ自然林の続く尾根道は珍しい。しかし歩く人はまったく見かけない。

右手下にバンガローのような小屋がいくつも見えてきた。野外活動センターというところだろう。少し先で道は山腹を右から巻くようになるが、その手前に尾根伝いに行く踏み跡が分かれていたので入ってみる。
地図によれば大棚山のピークに至る踏み跡かもしれない。2つほどピークを上下したが、山頂標識は見つけられなかった。

植林下の急な下りが尽きると、芦ヶ久保に下る道が交差していた。そしてその先、左手に廃屋のようなものが見えてくる。
さらに2人の人影があってドキッとした。近づいてみたら木彫りの像だった。ここはキャンプ場か何かの跡地なのだろうか。左のほうに林道のようなものが伸びているように見える。

踏み跡はこの先で、本来の金昌寺への下山路に合流する。しかしそこからの植林帯の道は暗くて長く、単調に感じた。次に視界が開けたところは、もう家並みがすぐ下に見えていた。墓地の間を通って、金昌寺の境内に着く。

新木鉱泉でつるつるのお湯を味わう。外に出るとまだ4時前なのに、太陽は山の陰に隠れようとしている。そして武甲山がまだくっきりと見えている。今日は雲もまったく出ない快晴の空の下、武甲山を中心に180度の円を描くように歩いた1日だった。