日向山
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なだらかな雑木林の中を登る。木々はちらほらと芽吹きが始まっている。
見上げれば雲が厚いが、ところどころ青空も覗き始めている。しかし周囲の展望は、国道を隔ててすぐの二子山が見えるくらいで、背後にあるはずの武甲山は雲の中である。タチツボスミレを何度も見かける。
急なところもなく、少しヤブっぽいが明るい雑木の中を気持ち良く登り、1時間ほどで日向山の山頂に着く。600m程度の里山だが、疎林に囲まれた山頂は明るく気持ちがいい。眼下に芦ヶ久保の町並みが見える。
人の気配を感じるようになる。日向山から10分も下ると、今日の第一の目的地、「山の花道」の入口だ。ピピーッ、ピピーッと笛の音が聞こえる。観光バスが駐車場に入っていく音だ。店もありにわかに騒がしくなる。
カタクリ群落
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人の流れについて山の花道に入っていく。さっそくカタクリが群をなして咲いている。が、この曇り空が影響しているのか、半開きのものが多い。
1ヘクタールほどの斜面に、カタクリの個体数はものすごく多い。あちこちに群生していて、道が縦横につけられているので、同じ場所を下からも上からも見れるのがいい。斜面がピンク色に染まって見えるというふれこみは、あながち大げさではなく、撮影ポイントにも不自由しない。
ただひとつ、柵に囲まれているを残念に思うのは、ぜいたくと言うものか。
山道と言うには緩い斜面なのだが、回りは観光客が多く、登り下りが大変そうだ。いつしかカタクリも花びらをピンと後ろへそらす、おなじみの姿のものが目立つようになった。
しばらく行くと、こんどはアズマイチゲの群落となった。これほど多くのアズマイチゲを見るのは初めてだ。この一帯はもう春そのものである。
アズマイチゲ群落
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しいたけ山
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一番低い所に細い水の流れがあり、その付近にニリンソウが咲いていた。まだ数は少ない。そのそばにアケボノスミレほか、何種類かのスミレも見る。
今日は見れなかったが、ここ山の花道は他にヒトリシズカ、フタリシズカ、セツブンソウ、ミヤマエンレイソウ、イカリソウなどの自生地でもあるとのことで、春から初夏にかけてはいつでも、何かの花が楽しめるところのようだ。すぐ脇にはしいたけ山と言う、展望のよい小高い芝生の丘があり、のんびり日光浴もいいかもしれない。
金昌寺付近と桜
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山の花道を後にする。車道を歩き、右手の山道に入る。しばらくの植林地の登りのあと、防火帯の広い道となり展望も開けてくる。ああ、気持ちがいいと思った途端に上部のほうから車のエンジン音が。
このコースは、かなり上のほうでも何回か車道を横切るところがあり、興ざめしてしまう。奥多摩や奥武蔵の低山帯は、なだらかで歩きやすい反面、それが故に車道や林道がすぐに通じてしまうのが玉にキズだ。
車道を渡りほどなくして高篠分岐を右に。直下の急登を経て丸山の山頂となる。山頂の大半は、コンクリート製の展望台が占めている。が雑木に囲まれた台地は、雰囲気は悪くない。
時計はすでに正午を回り、曇天の今日は、奥武蔵随一といわれる展望は望むべくもない。冬の天気のいい日に眺めたい。
新木鉱泉
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山頂から高篠分岐に戻り、直進する。森林学習館の脇を通り、再び車道を横切る。それからは自然林の気持ち良い下りとなる。長くて単調と言えなくもないが、思わず腰をおろして休みたくなる。
延々と西に進み、ダンコウバイやヤマブキの黄色い花を見る。ようやく秩父の街並みを眼下にとらえる。なおも下ると、桜が満開の墓地の上にひょっこりと出た。金昌寺の門をくぐり、バス停の場所を確認してから、新木鉱泉に寄る。昔っぽい情緒溢れる造りの建物だ。これでも、建て替えでずいぶんあかぬけたそうである。
鉱泉の窓からは、満開の桜の向こうに、朝は見えなかった武甲山の輪郭をとらえることができた。
スミレの花種は菅野さん、あおむしさん、おてんきさんに同定していただきました。
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カタクリ
カタクリ
カタクリ
タチツボスミレ
ナカバノスミレサイシン
エイザンスミレ
アケボノスミレ
ヒナスミレ
アズマイチゲ
ニリンソウ
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