山の写真集 > 奥武蔵・秩父 > 大持山
  • -冬木立、ブナ木立-
  • 名郷-鳥首峠-大持山-ウノタワ
  • 奥武蔵
  • 埼玉県
  • 大持山(1294m)
  • 2020年12月7日(月)
  • 14.0km
  • 6時間
  • 965m(名郷-大持山)
  • -
  • さわらびの湯
  • マイカー
天気1

 

2020年12月7日(月)
五反田IC 5:08
  首都高
中央自動車道
八王子IC 5:37
  都道29号、53号他
6:50 名郷 7:05
7:20   大場戸橋
(この少し先で引き返し)
7:35
7:57   白岩
9:00 鳥首峠 9:05
10:00 ウノタワ
10:50 大持山 11:20
11:50 展望地 12:05
12:15 ウノタワ
12:47 林道
13:10   山中
13:38   大場戸橋
13:55 名郷 14:10
  都道53号、29号他
さわらびの湯立寄り
17:04 八王子IC
  中央自動車道
17:43 高井戸IC

 

平日の休みを利用して、奥武蔵の山に登る。
ここのところ人の多い山ばかりだったので、今日は久しぶりに静かな山の1日を過ごせそうだ。マスクも必要ないだろう。


大持山への明るい稜線 [拡大 ]

名郷から舗装道路を歩く。正面奥に鳥首峠から大持山への山稜が見える

名郷から

この先の橋が崩落し、妻坂峠への道のほか、ウノタワ登山口に向かう林道も通行止めとのことだった

橋崩落で通行止め

白岩採掘場にある注意書きの看板

採掘場へ

白岩の集落跡から、上部に白岩の白い岩肌が見える

白岩が見える

白岩集落跡の廃屋

廃屋

鳥首峠

鳥首峠

鳥首峠から先の尾根道は、随所で奥多摩都県境尾根や、奥秩父方面の展望が開ける

眺めいい

地面は霜が降り、少し白くなっていた

地面が白く

すっかり葉の落ちた落葉樹林帯

冬木立


バス便の終点である名郷へ、車では初めて来た。5台ほどが停められる駐車場は有料だ。しかし管理人が常駐しているわけではなく、後で見回りに来るらしい。
出発間際にバスが2台到着する。飯能からではなく途中の営業所からやってきただけのようで、乗客はひとりもいない。付近には犬と散歩す人を一人見かけるだけ。静かな名郷の山里である。

妻坂峠目指し、舗装路を進む。川沿いの林道にはキャンプスペースがあり、売店まである。近頃は冬キャンといって、今の時期でもテントを張る人がいるようだ。この日もひとつ張られていた。
白岩との分岐点となる大場戸橋。しかし妻坂峠方向の道は通行止めの表示があった。今日は林道の状況について全く下調べをしてこなかった。うかつだった。しかしゲートで塞がれてはいなかったので、もう少し進んでみる。
5分ほどで今度はゲートで通せんぼしており、「橋が崩落したため」自動車も人も通れないとのことである。おまけに、ウノタワへのルートも崖崩れにより通行不可とのことだ。
大持山へは、ここからだと少し戻って白岩から登るしかなさそうだ。予定変更して武川岳への転進も考えたが、妻坂峠から下れなければ結局同じことだ。白岩道を使って、計画通り大持山を目指すことにする。

キャンプ場併設の駐車場を見ながら緩やかに高度を上げていくと、白岩の石炭採掘工場があり、そこが登山口となる。
しばらくはレールなどの採掘設備に沿って登っていくが、ほどなく杉の人工林一色となる。白岩ルートは、ほとんどがこの変化のない景色の中を行くので、単調この上ない。早春などは小さな花が咲き始めてそれなりに季節感があるのだが、今の時期はもうただ、黙々と登るのみである。
ただひとつの見どころ、白岩の集落跡に出る。見上げると真っ青な空の下、採掘現場の白い岩肌が荒々しくそそりたっており、西上州の二子山を連想させた。
もぬけの殻になった木造の家屋の横を通る。こういうのを最近は街中でもよく見るようになった。

再び杉林に入る。次第に急傾斜となり、暗い中出口が見えない。ここはこんなにきつい登りだったか、20年前に初めて登った時の印象がまるでない。
登山口から1時間あまり、ようやく稜線に出た。鳥首峠はさほど眺めがよくないものの、1時間も目隠し状態だったので、太陽がやけにまぶしく感じる。今日は雲一つないすっきりとした冬晴れ。ここからは青空の歩きであってほしい。

鳥首峠から先もしばらくは急な登りが続くが、尾根に乗ってしまえば同じ急登でもつらさは違う。人工林からも解放され、落ち葉深い落葉樹の尾根道になった。
カエデ、ホオノキ、コナラなど大方は落葉している。ブナがあった。直径50㎝くらいはあるかなりの大木だ。地面にはたくさんの実が落ちている。初夏の奥多摩・石尾根や先々週の高水山のブナもそうだったように、南関東各地の今年のブナは、比較的よく結実した方かもしれない。

小さな登降を繰り返す尾根道にはアシビの低木が茂り、ブナがこの先も連続して現れた。有間山から大持山にかけては、奥武蔵で数少ないブナ林の見られる稜線である。すっかり葉を落とした冬木立の森の中で、ブナの堂々とした姿はさらに際立ち、まさに主役である。
久しぶりに標高1000mを超える地に来たが、日差しもあって意外と暖かい。左右には木の間越しの眺めが多いながらも、奥多摩の山や筑波山などがよく望める。
杉の人工林帯はまだ一部見られ、標高1100mを越えたあたりまでが植林されている。西川材生産の拠点として名郷に林業が発展したのは、杉の植林に適した、比較的傾斜の緩い斜面が広い範囲に渡っているからだろうか。

立派なブナがあちこちで見られる

ブナは堂々

ウノタワの謂れを解説している。ここには昔、沼があったという

ウノタワ

大持山山頂

大持山山頂

大持山山頂で、リスが木から木へ飛び移っていた 拡大

リス飛び回る

大持山山頂近くにある富士見の丸太。矢印の方角に富士山が見える

富士山が見える

ウノタワからの下りは落ち葉深い道だった

ウノタワからの下り

ウノタワルートの林道は大きな土砂崩れで、路面がかなり破壊されていた

酷い崖崩れ

名郷の民家の、庭先の赤いモミジが鮮やかだった

モミジ赤い


岩場の急な下りを経てウノタワの鞍部に着く。この辺りも落葉樹が多いが、カラマツが植林されており、今までの落葉広葉樹豊かな道とは少し違って、人臭い雰囲気がある。
標高1197mの横倉山を越えると、大持山山頂への最後の急登となる。これもまたきつくて、久しぶりの標高差1000mの登山はさすがにきつい。
着いたところは妻坂峠からの合流点である。もともと眺めの良い場所だったが、だんだんと木が成長してきた。あと10年もすると眺めは閉ざされるかもしれない。

合流点から5分ほど、ようやく大持山の山頂に着く。この先の小持山や武甲山いずれも木越しの眺めであり、眺望はあまりきかない場所ではある。が、久しぶりに骨のある登頂を果たすことができてホッとした。ここで大休止とする。今日初めての登山者に会った。
木の枝の上のほうで何かが動き回っていると思ったら、リスだった。木から木へすばしっこく飛び移っている。しっぽが胴体くらいあってマントのようなので、まるでムササビだ。

来た道を下っていく。富士見の丸太というのがあり、矢印で示す方向を見たら富士山があった。見えるのは八合目から九合目より上の部分だけなのだが、大持山から富士山が見られるとは思わなかった。
一人登山者が登ってきた。ウノタワルートを歩いてきたという。林道が通行止めのため、鳥首峠に戻ってピストンで下山するしかないと思っていた。聞くと、崩落した橋は、仮橋が設置されて通行可能になったそうだ。ただ、登山道は落ち葉が深くて道がわからず、迷ったと言う。
仮橋がかかったので、ウノタワルートはどうやら歩くことはできそうだ。ても、表向きは通行止めのまま。それを無視することは後ろめたく、歩きながらずっと迷っていたが、やはりピストンは避けたい。ウノタワに着いたところで、このルートを下ることに決めた。

ウノタワルートは、かなり前に一度登りに取ったことがある。落葉樹の多いルートで、落ち葉でくるぶしくらいは軽く潜る。たしかに進行方向がわからなくなりそうだ。尾根筋ではないこともわかりにくい要因となる。
実際下ってみると、随所にテープがあり、これをしっかり拾っていけば迷うことはなさそう。逆を言うとテープがないと下りは難しくなる。落ち葉が少ない時期は踏み跡は見やすくなるが、樹木についた葉でテープが拾いづらいだろう。
しかもここはかなりの急傾斜だ。往路の鳥首峠ルートで1時間かけた標高差の分を、ここでは短い距離で一気に下ることになる。急なはずである。バランスを崩さないように慎重に下る。

水の流れが見えてくるとようやく標識が現れ、少し楽になった。沢伝いの踏み跡をたどっていく。奥武蔵の山としては珍しい、自然味あふれるルートである。
堰堤を越えて林道に下り立つ。稜線から30分強で林道に出られるので、エスケープルートにはなる。
林道を歩いていくと、激しい崖崩れの現場に行き着いた。土砂が路肩に1mほど積み重なっており、木が何本もなぎ倒されている。車はもちろん通れず、歩くのも土砂の上に登って越えていくことになる。土砂に乗ってみるが足元がかなり不安定なので、通行止めにしているのは無理もない。

山中で妻坂峠からの林道に合流する。落ちた橋の横に新しい仮橋がたしかに作られていた。申し訳ないが通行止めの文字がある横を通らせてもらう。
名郷の住宅地に戻り、ようやく青空との再会となる。民家の庭の真っ赤なモミジが鮮やか。今日は朝から全く雲の見えない快晴の1日だった。車のフロントガラスには、駐車料金の請求書が挟まっていた。

コロナ禍で体を動かすことも制限される日々が続く中、今日は久々に骨のある登山ができた。明日以降、心地よい筋肉痛を味わうことになろう。