-汽笛と発破、ドラミングの音-

うのたわからおおもちやま(1273m)、ぶこうざん(1304m)
2009年11月28日(土)晴れのち曇り

7:10西武鉄道飯能駅-[バス]-8:05名郷8:10-8:50横倉林道-9:15ウノタワ入口9:20-10:03ウノタワ-10:40妻坂峠分岐10:45-10:53大持山11:00-11:30小持山12:00-12:25シラジクボ-12:47肩の十字路-12:55武甲山13:25-13:30肩の十字路-13:55長者屋敷ノ頭-14:40林道-15:15橋立寺15:30-15:40浦山口駅16:00-[秩父鉄道]-16:07御花畑駅(西武秩父駅)16:30-[西武鉄道、飯能駅乗換え]-18:10池袋駅 歩行時間:6時間5分

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飯能駅から、湯ノ沢行きのバスに乗る。バスは商店街を走り飯能市の住宅地を抜ける。
空が大きくなり、晩秋の田園風景が目の前に広がる。なだらかな丘陵地帯は次第に大きな山並みに形を変えていく。市街地発の1時間のバスの旅は、山に入っていくまでの車窓からの眺めの移り変わりが楽しい。


ウノタワへの登路は自然林が豊か

名郷バス停で全員が下車する。乗客はみな登山者だった。蕨山方面に向かう人ばかりで、大持山の登山口を目指す人は少数派である。

西山荘の先で武川岳の登山口に向かう細道が分岐する。直進し、さらに大場戸橋の手前で鳥首峠に通ずる道を分ける。入間川沿いには、赤々としたモミジがまだ残っていた。本日初持参のデジタル一眼で、試し撮りをする。

路面は少し湿っているが、これは雨ではなく、おそらく夜霧によるものだろう。パイプで引かれた水場のすぐ先、入間川の起点となるところで林道は右に折れ、以後ジグザグを切って高度を稼いでいく。

左手に横倉林道が延びている。これを行っても、ウノタワ経由で大持山に登れる。
当初はこのまま林道終点まで行き、妻坂峠からのコースを行く予定だったが、気が変わった。今日はまだ歩いたことのないウノタワ経由コースを行くことにする。
時間は少々かかるようだが、今日は少し長めのコースを歩きたいので、ちょうどいいだろう。林道を歩く行程が少し延びてしまうのは致し方ない。
分岐から25分ほどで林道は終点となり、堰堤のある登山口に着いた。「ウノタワ入口」の標識が立っている。

大持山を目指して
入間川沿いの紅葉
ウノタワ入口
広大な眺望

沢に沿った登山道は細い。ビニールテープを拾いながら進む。所々に石垣の跡らしきものも見える。
沢を離れるとジグザグの急登となる。自然林に囲まれた急斜面はカエデも多く、登山道はまだ赤いカエデの葉で敷き詰められている。新緑や紅葉が映える場所だろう。今は、木々の葉は落ちているので見通しはよい。

上のほうでコンコンコン・・・とアカゲラだろうか、木をたたく「ドラミング」音が薄青色の空に響く。上部に見える稜線はさっきから近いところに見えているのだが、なかなか近づいてこない。
ブナが現れると傾斜も緩み、やがてウノタワの広い平坦地に出た。
ウノタワとは鵜の田が転化したらしい。説明板によると、昔ここに沼があり、神の化身である鵜のすみかとなっていたということだ。
似た地名で、奥多摩タワ尾根の「ウトウノ頭」が連想される。鵜とウトウ(=善知鳥)は顔が似ているがまったく別の鳥なので、この2つの地域も特に関連はないのであろう。

説明板の周りを見渡すが、大持山への縦走路らしき道はない。
小さな樹林帯をくぐり、さらに少し奥に進むと、平坦な場所の先に標柱が立っていた。これはなかなか見つけにくい。樹林の葉の茂っている時期に本コースを登ってくるときは注意が必要だ。
沼があったと言われるこの一帯は、周囲はカエデなどの自然林が多く、奥武蔵の山域でも特に季節感に満ちたところだ。

大持山へは、まず目の前のコブを越える。きついが、背後に広がる展望に励まされながら登る。シラカバだろうか、青空に映える白い幹がまぶしい。
妻坂峠コースとの合流点に来た。伊豆ヶ岳~正丸尾根の稜線の先に、関東平野が広く横たわっている。遠く筑波山の姿も。大持山へはもう少し、登りがある。岩を回り込みながら大持山頂上。狭い場所だが木々を通して眺めがいい。
奥多摩の山稜の上には大きな雲がかかっている。大持山からは富士山が見られるそうだが、通算4回目の登頂である本日もその姿は拝めなかった。他の3方向はきれいな青空で、目指す武甲山もよく見えている。
今日の行程は長くタフなので、先に進む。

武甲山
秩父の町並みを見下ろす
標高の計算式
両神山
快適な下り

ヤセ尾根を下って登って、西側の眺めが得られる岩峰に立つ。両神山がよく見えるが先着者がいたので、先を行く。
この縦走路は以前、逆コースを歩いたことがあるが、記憶していた以上に岩が多い。どうやって登るんだと首をひねるような垂直の岩場もあるが、よく見ると脇の樹林帯に巻き道がついている。
アセビや杉の人工林もたまに見るが、大方は自然林で眺めもいい。アカヤシオも咲くとのことなので、4月下旬ころがよいのだろう。

登山者は多い。やはり武甲山側からやってくるほうが、アプローチにタクシーが使えるので一般的なのだろう。
奥多摩の稜線にかかっていた雲が、だんだんこっちにやって来た。自然林と植林が半々の武甲山の三角形にも、日陰の部分が目立つようになる。

秩父鉄道のSLの汽笛が聞こえてくる。後で知ったが、この日はダム建設中止で有名になった国土交通大臣が、秩鉄に視察に来ていたとのこと。鉄道マニアの大臣はSLに乗りコークスを火にくべたり、汽笛も鳴らしたらしい。
短い時間に何度か耳にしたので、大臣の鳴らす汽笛が聞こえたのかもしれない。

岩尾根をさらにたどって小持山(1273m)に到着。大持山同様に狭い頂上だが、腰を下ろせるスペースは意外とあり、居心地は悪くない。
目の前に武甲山、その奥に秩父の町並みが広がっている。この先の下り登りに備えて腹ごしらえをする。

小持山からは緩急織り交ぜての下降となる。標高1273mから一気に185mも高度を落とす。
最低鞍部であるシラジクボは一応十字路になっており、武甲山を経由しないコースも取れるのだがここはやはり登っておきたいところだ。
標高1304mの山頂まで、215m登り返す。この登りを避けたくて、武甲山側から縦走する人が多いのかもしれない。しかしシラジクボから小持山へ登る道も岩が出ている部分があるから、たやすくはないだろう。それに比べて武甲山への道は安定しており、200mという標高差をそれほど感じずに登れる。
逆コースを歩いたのはもうかなり以前であまり記憶がないが、感覚的には大持山からのコースのほうが縦走しやすい。

肩の十字路まで踏ん張って登る。と、近くでターン、と乾いた爆発音がした。石灰採掘現場で発破した音である。12時30分は発破の定刻になっていた。

振り返ると大持、小持の稜線の上には厚い雲が被さっている。日がかげるとさすがに寒い。
発破の注意書きのある肩の十字路から、さらに少しの登り。鳥居をくぐって鉄柵を回り込み、武甲山第一展望台に出る。
真下は石灰採掘地だが、秩父市街地が限りなく広く見渡せる。外秩父や御荷鉾山、遠く赤城山もかすかに望める。上越の山や浅間山は雲の中だった。そして両神山もギリギリ見られる。
すばらしい展望台なのだが、鉄柵に囲われた中での眺めである、第二展望台にも行ってみたが、狭苦しいのでまた第一のほうに戻ってきた。

橋立寺
秩父仲見世通り
「武甲山」と書かれた小さな石標があった。何やら変な計算式も刻まれている。「1336m-41m+9m」。
元々武甲山の標高は1336mだった。それが石灰の採掘で41m低くなり、そして数年前の再測量によって、それより9m高いとされたのでプラスした、ということである。再測量が行われたのはそう古いことではないから、ここ数年の間に誰かがこんな石標を作ったらしい。

長者屋敷ノ頭経由で浦山に下山する。
昨年3月に、このあたりで子連れの熊が発見されたので注意、との看板がいたるところにある。奥武蔵の山中でも熊が発見されたか。
しかし山に熊がいても不思議ではなく、むしろ自然環境がよく保たれていることの印だと思う。もっともこれほど人間が山に入ってくる時代だから、山に熊がいることが事件になっている。

低い笹の登山道をの先で尾根を外れ、橋立川沿いの林道に下り立つ。まだ紅葉が多く残っている。
初めのうちはペースの速かった今年の紅葉前線も、その後の暖秋傾向で結局、ここ数年の状況と変わらなくなった。

林道をひたすら歩き橋立寺に立ち寄る。真っ赤なモミジを写真に収め、浦山口駅に下る。電車待ちの登山者のために、駅員さんがお茶を入れてくれた。


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