~知られていない尾根を辿って~
たかはたからかさやま(837m)
2009年2月15日(日) 晴れ、モヤ

7:09東武線小川町駅-[バス]-7:20安戸橋-7:40尾根上-8:25タカハタ8:30-8:50 330mピーク-9:05林道-9:20栗山集落-(50分ロス)-10:20笠山登山口10:25-11:10笠山神社(東峰)11:15-11:20西峰11:40-12:30萩平集落12:40-13:05皆谷16:15-[バス]-16:40皆野駅 歩行時間:5時間15分
マップ
外秩父七峰縦走笠山・堂平山 Home


笠山は奥武蔵の中でも好きな山のひとつで、1年に1度は登っている。昨年は外秩父七峰縦走で、この山を駆け足で通り過ぎてしまったので、今年はじっくり歩きたい。
頂上に神社のある笠山は、栗山集落からの登路が表参道であり、古くから参拝の為に登られてきた。
現在は七峰縦走コースである和紙の里からの登りや、白石車庫からの道などがよく歩かれておりこの表参道は最近はあまり使われていない。最寄りの切通しバス停から長い車道歩きを強いられるのが敬遠される原因のひとつだろう。
幸い、栗山集落の北側に低い尾根が伸びており、これを辿れば長い車道歩きを避けることが出来て、笠山への表参道コースへもスムーズに接続される。今回はこの尾根を使うことにした。

この尾根コースは、主な文献では唯一「奥武蔵山歩き一周トレール」(かもがわ出版)に掲載されているだけで、他のガイドやインターネットを探しても、ここを歩いたという記録は全くない。おそらく道はあるはずだが、普通の山道なのかどうかは行ってみるまでわからなかった。

笠山の住所?笠山表参道コースにて

東武線小川町駅から、白石車庫行きのバスに乗り安戸橋で下車する。バスで渡った安戸橋を歩いて渡り返す。その先の車道に交通安全の文字の掲げられたアーチがあり、そのすぐ横の畑地につけられた山道に入る。
しかし100mほど行くと道は潅木と籔に閉ざされ、進むことが出来なくなった。先月の破風山「山靴の道」の取り付きと状況は同じだ。
ただし尾根はすぐ上、100mほど先に見えているので、ここは笹薮を手でかき分けながら道なき斜面を登り、尾根を目指すことにする。

尾根に立つとはっきりした踏み跡がついていた。安戸橋近くから直接取り付かずに、やや東の切通しバス停付近から上がった方が無理なかったかもしれない。
木の間から低いピークが見えるが、尾根はこれを北西側から巻くように山道がついている。
アンテナのある場所を過ぎ、祠の立つ目立たないピークを越すと踏み跡はさらにはっきりする。これは登山道というよりも、地元の人々がお参りのために登り下りしている道かもしれない。

起伏のないなだらかな道だが、周囲はオール植林になった。少し先の308mピークへの登りは急できつい。展望も開けるわけではない。
やがて少しだけ頭上が明るくなり、平坦な場所に出た。檜の木に「タカハタ 400m」と書かれている。この尾根の最高点だ。樹林の中でパッとしない場所だが、少し行ったところに四等三角点標石があった。
国土地理院の25000地形図では、三角点のある場所は△の中に黒点のついた記号が記載されるのが普通だが、ここタカハタには単なる三角記号さえも描かれていない。

アーチの横から入る
タカハタ 400m
四等三角点

タカハタからは少し籔っぽい下りとなる。このあたりは林業従事者がもっぱら使う道なのだろうか。
この先で林道に出会うはずだが、思ったほど標高を下げずに逆に登り返しになる。意外にも林道は上のほうにあった。最後は急登で栗山林道に出る。
このあたりで標高375mくらい、タカハタより少し低いだけだ。ともかくも、明るい場所に出てほっと一安心というところだ。

林道を緩やかに下り、栗山集落の上部に出る。ようやく東秩父の山並みが眺められた。目指す笠山は正面に大きく、高い。そして形のよい三角形だ。
民家を見ながら歩いていくと、小川町指定の天然記念物の「福島家のマキ」なる大木があった。樹齢200年以上という古木だそうだ。その手前にも福島の表札があったように思う。どうもこのあたりの家には福島という苗字が多いみたいだ。

やがて林道が左にカーブするところで、山に入っていく道が分岐している。「熊出没注意」の看板はあれど標識や指導標はない。しかし距離や方角的にはこのへんに笠山の登山口があるはず。念のため林道をもう少しだけ歩き、すぐ先には登山口がないことを確認、引き返してこの分岐に入る。
水道施設を過ぎ、山道は西から北西よりにずっと続いている。どうも方角が違うようだがもう少し歩いてみる。
やがて木の階段状になり、上部に稜線が見えてきた、と思ったら道がなくなった。やはりこの道ではないらしい。さっきの分岐に引き返す。50分ほどのロスとなってしまった。
気を取り直して林道を上がっていく。と、さっき確認したそのすぐ先に笠山登山口があるではないか。
あの時もう5歩、いや3歩先まで進んでいれば、登山口は見えていたに違いない。自分の確認行為の甘さに呆れた。
笠山を見上げる
自然林豊かな道
ロウバイ
萩平の休憩所から

登山口の前にある、車が数台止まれるくらいの空地で少々腹ごしらえをして笠山の表参道に入る。すぐに笠山神社(前社)があった。
山道はやがて雑木林の中となる。なかなか気持ちのいい道だ。今日は2月とは思えないほどの暖かさ、そして風もなく快適に高度を稼げる。

やがて眼下にさっき通った栗山集落の林道が見えてくる。南向きだった方角も、いつしか東西に伸びる主尾根に乗る。傾斜は急だがやはり昔から歩かれてきた参道らしく、うまく道がつけられていてきつさはさほど感じない。
それに比べてさっきのタカハタ近辺の尾根道は、標高差はあまりなくても登り下りがけっこうきつかった。登山道は歩きやすいものとそうでないものがあり、両者の違いは単に傾斜のきつさなどで測れるものではなく、何か人間の歩く道としてのよさ、悪さがあるように感じる。

上方に笠山神社のピークが見えてきた。ふと足元に目をやると30センチほどの標石があり、「字笠山 二七九一番」と刻まれている。これはもしかしたらここの住所なのか。
笠山神社のある笠山東峰に着く。樹林に囲まれているが意外と眺めが開け、栗山集落やタカハタの尾根が見下ろせる。
周囲の山々はボウッとかすんで見えるのみ。今日は全国的に黄砂が飛んでくるという予報が出ていたのでそのせいだろう。
アシビの目立つ岩尾根を数分ほど進むと笠山西峰(810m)だ。もう時間が遅いので数人の登山者に出会うのみ。
西峰は筑波山方面が開けているのだが、以前に比べて眺めが悪くなったように思う。樹林の背が伸びたせいだろう。雪はまったくない。日だまりの山頂で少し休憩する。

北に伸びる尾根を下り、皆谷(かいや)に下山することにした。西峰から続く自然林豊かな明るい尾根筋は、笠山の登山道の中で最も快適な部分であり、奥武蔵全体で見ても有数のビューポイントである。
ちょっとした小広い尾根の肩は休憩場所としても適している。眺望のきく日には上越の山々が望める。今日は両神山のギザギザが見えるにとどまった。

緩やかに高度を落としていき、一旦林道を横断。片側が植林の尾根を下る。スミレやシュンランが咲いているかと期待したが、まだなかった。
どんどん下って萩平の集落に着く。オオイヌノフグリ、ロウバイや福寿草がよく咲いている。山上集落は3月末から4月の花の季節が一番歩いていて楽しい。今日も暖かで春近しの雰囲気を感じる。

車道を下って皆谷バス停に到着する。ちょっと鼻のあたりがむずがゆくなってきた。花粉の飛ぶ季節に入ったということだ。
花粉症はつらいが、めげずに山の春の到来を迎えることにしよう。

小川町駅前に、一見ケーキ屋と間違えるほど洒落た造りの豆腐屋があった。「おからドーナツ」が珍しいので何個か買って帰る。


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