秋も深まると、破風山の紅葉がいいとネットで話題になる。平日で時間が空き、どこか紅葉のきれいな山に行きたいと思っていたので、評判につられて行ってみることにした。
破風山には今年の始めほか冬はもう何度も足を運んでいるが、紅葉の時期は初めてだ。
札立峠~破風山間の紅葉 [拡大]
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今回も秩父華厳の滝バス停から出発する。まだ緑が多いけれど、山の北側なので暗くて寒い。歩き出しはたくさんの落ち葉が地面を敷き詰めていた。秩父の低山らしく静かだ。遠く野鳥の声が耳に入るほかは、自分の足音しか聞こえない。
その後ヒノキ・杉の人工林に入り、山上集落の大前に至る。いっぺんに明るくなり、背後には秩父から上州の山並みが広がった。
再び山道に入る。薄暗いヒノキの林から、前方に明るい黄色のカーテンが迫る。稜線は黄葉で包まれていた。
祠のある天狗山で一息ついてから急坂を下る。稜線はヤセ尾根でコナラを中心とした黄葉が続く。こちらから歩くと、鎖のついている急斜面は全て登りとなる。
大前山を越えて鎖伝いに次のピークが武蔵(ムサシ)展望台、標高634mだ。南面には武甲山ほか、秩父・奥武蔵の峰々、奥多摩や奥秩父の高山も見える。
そして今歩いてきた天狗山、大前山はコナラ色で黄色くなっていた。葉の落ちた早春か冬にしか歩いていなかったが、この稜線は新緑や紅葉もかなりよさそうである。
高いところで木をコンコン、コンコン・・・と叩く音が聞こえる。キツツキ系の野鳥を写真に収めることができた。帰って調べるとコゲラのようだ。
ニョッキンを巻いて札立峠に下るまでは人工林の中で、冬の景色とそう変わらなかった。
破風山への登り、赤々としたカエデが増えてきた。オオモミジだろうか。枝を大きく広げて黄葉紅葉のトンネル状になっている。トンネルというよりも、錦絵のドームの中にいるようだ。
カエデは、木の本数はそれほど多くなくても、空間いっぱいに枝を広げるので、みごとな紅葉になる。
なかなかその場を離れがたいカエデだが、写真を撮りまくって先を行く。
破風山山頂、いつもながら秩父盆地を見下ろす広い眺望が得られた。武甲山、奥武蔵、奥多摩、奥秩父の山が横一列で並び、両神山や城峯山も大きい。秩父の街並みは、いつもの冬に見るモノトーンではなく、やはり少し色合いがある。
平日だが、紅葉の破風山を見に来る人は多く、特に若い女性のソロを何人も見た。狙いはひとつ?さっきのモミジは文句なしにSNS映えする。
秩父温泉に向けて下山する。北面は日が差していないが、雑木林はモミジが多い。
猿岩まで下りてくると、またしても枝を大きく広げたオオモミジが、今度は何本もある。巨岩を取り巻く紅黄葉の枝の広がり、これまた見事だ。色づきのピークは2,3日前だったかもしれないが、まだまだ見応え十分。青空をバックに色もくっきりで、やはり天気がいいのはすべてに優先する。
山上集落の風戸(ふっと)に出る。イチョウの落ち葉が里道を黄色く染めていた。
さらに登山道を歩いて秩父温泉・満願の湯に到着する。日帰り入浴料金はついに1000円になってしまったが、今日平日は少し安い。空いていたのでバスの時間に合わせゆっくり湯に浸かる。
冬にとっておきたい山を、こんな早い時期に登ってしまった。が、また来ればいい。
破風山は紅葉だけでなく、広い展望や小気味よい稜線縦走、雰囲気のいい山上集落など魅力がいっぱい詰まっている。