~駅に通じる新コースを登る~ やまぐつのみちからはっぷさん(626m) 2009年1月4日(日)快晴
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正月休みも今日で終わり。季節がら外秩父の低山に登りたく地図を見ているうち、破風山の新コースをまだ歩いていないことに気づいた。前回、風戸(ふっと)への下山の途中で目をつけていた「山靴の道」である。 この道を歩けば、バスを使わずに歩いて秩父鉄道の皆野駅と結ぶことが出来る。低山にしては長い距離なので下山路とされていることが多いが、破風山はやはり、麓に「満願の湯」がある風戸地区を下山地としたい。今回皆野駅から歩いて山靴の道を登路とすることにした。 山靴の道はまず前原山に登り、尾根伝いに破風山を目指す。しかしまだコースが出来て間もないので、雑誌やネットを調べても山行記録が少ない。取り付き口は国神、大渕、前原の3地区にあるようだ。前原地区から登るのがわかりやすそうだが登山口がはっきりしない。雑誌「山と渓谷」にあのみなみらんぼう氏が大渕に下山した記事があった(2007年5月号)。簡単な地図も掲載されていたので、これを参考にし大渕地区から登ることにした。
寄居駅で秩父鉄道に乗車する。皆野駅まで車窓に展開する秩父の眺めは、いつものどかで心洗われる。 皆野駅から車道を歩き、荒川を橋で渡る。もうひとつ橋を渡ってしばらく行くと前原地区(三叉路の信号には「大渕」とある)で、その先の大渕地区まで歩く。工場「二ノ宮製作所」の前を過ぎ、山渓の地図を25000地形図と照らし合わせながら、取り付き口を探す。 とりあえず国神小学校の左横の細道に入っていくと、熊野神社の奥に林道が伸びていたのでそれをしばらく歩いてみる。山道に続いていそうにも思えたが、山渓地図に描かれている赤破線とは方角が違うので、いったん引き返した。 今度は二ノ宮製作所のすぐ右側の小道に入る。民家を左に見て、小さな畑地の脇を歩いていくとヤブになってしまったが、とりあえず前方に見えている尾根を目指して急勾配の斜面を這い上がる。何とか尾根に乗り、細い踏み跡をたよりに進む。
山道には入れたが、どうも山渓地図の赤線と方角が合わない。そうこうしているうちにいつのまにか下り坂になり、別の林道に下りてしまった。 こうなったら自分で道を探して前原山を目指すしかない。今出てきた道にもう一度入り、林道をさらに進んでみる。すると沢沿いに薄い踏み跡が続いていた。山渓地図も谷間を進むように描かれていたので、ああこの道なのかと納得する。 しかしもしこれが正しい道だとしても、さっきの取り付き口の不可解さの疑問は消えない。 沢沿いの踏み跡は続いているが、さあ果たして左手の斜面をどこから登るのか。山渓地図の赤線では、ほぼ真北から急登して前原山に登っている。踏み跡はあるにはあるが、それらはしいたけ栽培地に至るもので、上部の稜線には通じていない。 迷ったあげく、踏み跡の全くない植林帯の斜面を登ることにした。山渓地図とは方角も場所も違う。 何とか尾根に上がったところに「山靴の道」の標識があった。道もはっきりしている。右折しさらに急登すると前原山(347m)であった。なお、標識から左に行くと前原登山口に下れるようである。素直に前原登山口から登れば(登山口の位置がわからないまでも)、おそらく1時間は早くここに登ってきていただろう。 自分の歩いた結果では、山渓地図に描かれている赤線は登山コースとは言えなかった。取り付き口がないし、前原山に直に上がってくる北側の道も見当たらない。 らんぼう氏が道なきヤブ尾根を歩き山渓がそれを敢えて記事にしたのか、あるいは単純に赤線の記載ミスか、どちらかだと思う。いずれにしても新年早々、山渓の記事で大いに迷わされてしまった。
前原山からは樹林越しではあるが破風山がよく見え、その右奥には城峯山も高くそびえている。破風山へはよく整備されていた尾根伝いの道だった。 この道は前原岩稜と名付けられているように岩尾根の部分が少なくない。それにアップダウンの回数が多い。破風山までは19ものピークを越えていくそうだ。そのうち目立つピークが5か6くらいあり、そのどれもが登りがいがある。トラロープが張られていたりもする。 もっとも、それ以外はちょっと大きめのコブ、と言っていい程度のものである。 岩尾根だけに周囲の眺めはいい。登山靴の形をあしらった手作りの指導標が随所に立てられ、楽しい登山道だ。 やがて、右(北)側に国神地区からのコースが合わさる。標識には「柴岡バス停まで45分」と書かれている。 そのすぐ先の三又ピーク、さらに上り下りを繰り返し445mピーク、そのすぐ先に男体拝という大きなピークを越していく。日光の男体山が眺められるためそういう名前がついたそうだ。北方に目をやると、木が少し邪魔するが雪を被った奥日光の峰々が捉えられた。男体拝からは5分足らずで風戸からの道に合流した。 ここからは何度か歩いている道だ。猿岩を経てさらに高度を上げる。雪は全く無い。麓から、「大きな古時計」のメロディが聞こえてくる。おそらく皆野町役場で鳴らしている正午のチャイムだ。皆野駅から破風山まで、延々4時間もかけて歩いてきたことになる。 自然林の美しい道の先にあずまやが建ち、アセビの木の下を登り上がると破風山頂上に着く。秩父平野の眺めが素晴らしい。今日は雲ひとつない快晴の天気で空気も澄み、さらに素晴らしい。最近「素晴らしい」という言葉を使うのは山に来たときくらいしかなくなった。 頂上には登山者が7,8人ほど。お互い交わす会話も弾み、楽しい時間を過ごせた。 満願の湯に寄って帰るが、時間が半端なので直接風戸の道は下らずに、札立峠を経て水潜寺への下山路を使うことにする。ここは初めて歩く。 水潜寺は秩父札所34箇所の最終地であるとともに、全国百番観音の結願寺としても知られている。初詣代わりに新年のお参りをしていく。 満願の湯からバスで皆野駅に戻る。秩父巡礼をしてきた夫婦と話す。札立峠からそのまま水潜寺に下ったとのこと。ちょっと岩っぽい下山路なので大変だったと言う。 この破風山は札立峠から西側も岩尾根が続き、低山ながらもなかなか歩きがいのある楽しい山だと思う。今度また、前原登山口から山靴の道を登ってきたいと思った。 |