~芽吹きの森と山の湯~
2009年5月2日(土)~3日(日)
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ゴールデンウィークは山も混むので、日帰りの軽いプランにすることが多い。今回も5月の5連休のうちに2回行く予定にしていたが、後半に天候が崩れるとの予報を受け、前半に1泊する山に変更した。
天平尾根は、丹波川と後山川の間にわだかまる緩やかな山稜で、飛竜山から伸びるミサカ尾根が収束する部分でもある。山を始めて1年くらいのときに冬、歩いているのだが、わかりにくいコースであるという印象くらいしかない。丹波山村という静かな地に登山口があるという点が、魅力である。 登山ガイドやネットの山行報告でもあまり見ることのないこのコースなら、人も少なそうで、ゴールデンウィークにちょうどよい。 なお、天平(でんでいろ)とは山の上にある草原状の平地を意味する。奥多摩では、同じく丹波から大菩薩峠に向かう道に「高尾天平」という所もある。
青梅線は例年通り、立川駅から立ち客が出るほどの混雑ぶり。奥多摩駅からのバスも同じく満員すし詰め状態だ。 鴨沢でほとんどが下りるが下車時間に10分以上を要した。今日は丹波天平を登るので、終点の鴨沢西バス停で下車する。 登山口の親川(おやがわ)まで、青梅街道を歩く。多摩川(丹波川)を隔てて緑いっぱいの山が、青空の中鮮やかに映える。 お祭バス停からさらに車道を行く。右手の塀に沿って小道が上がっており、これが天平尾根の登山口となる。指導標があるが少しわかりにくい。 1軒の民家の横を通る。車の往来の絶えない青梅街道を、その家の人が見下ろしている。 植林の山道をジグザグに登っていく。急なところはないが、道は細くところどころ崩れ気味だ。歩いている人の少なさがうかがえる。正面の大木に、リスが駆け足で登っていくのを見た。 石垣と小さな小屋、そして廃屋が数軒建つ場所に出た。ここが高畑集落だったところだろうか。今は人が住んでおらず、古い家財道具などが入口の陰から覗く。もう少し先に行くとあたりが開け、また民家が1軒あった。こちらはこぎれいで、人が住んでいそうな雰囲気がする。家の前は八重桜が花をつけていた。 再び植林に入る。林床にはヒトリシズカやハシリドコロがたくさん見られる。 平坦な道が続き、いっこうに尾根を上がっていく気配がない。方向も北すぎる気がしたので、もしかしたら後山への道に入ってしまったのかと思い、いったん引き返すことも考える。 その矢先、進行方向から下山と思しき人がやってきた。丹波天平はこの方向でいいのかと聞いたら、そうだと言う。思い直してさらに進むと、また石垣が現れ(家はない)、明るくなる。左の斜面を見ると、尾根に上がっていく薄い踏み跡があった。この踏み跡は初めはわかりづらいが、すぐにはっきりした道となる。 なお、国土地理院の25000地形図に書かれている破線路は、親川の登山口から直接尾根通しに登高している。また、アルペンガイド(2000年版)の「奥多摩・奥武蔵」及び「奥秩父・大菩薩」で描かれている破線も、かなり手前から尾根に上がってしまっている。これを見ながら歩くと迷うであろう。自分もあれっ?と思ってしまった。 いずれもコースガイドを掲載していない参考破線路なので、アバウトな描画になってしまっているのだろう。 昭文社エアリアマップ「奥多摩」や「大菩薩嶺」では、ほぼ正しく書かれている。 尾根を登っていくと、やがてあたりは落葉樹となった。尾根も広くなり、どこにでも腰を下ろせる。ここが天平尾根の始まりと言ってもいいかもしれない。 緩く高度を上げていくと、右手に祠のある高まりを見る。1118mピークあたりか。周囲は芽吹いたばかりで、少し意外な印象を受ける。もっと新緑が進んでいてよさそうに思えた。 他の山域と比べるとこのあたりは季節の進みが遅いのかもしれない。また、芽吹きの遅いシラカバが多いのも、その理由のひとつであろう。 |