~秩父側からの静かな登路~ 2003年9月14日(日)~15日(祝) 三峰山頂駅-霧藻ガ峰-白岩山-雲取山 |
●雲取頂上、避難小屋へ
ポツポツと雨が降り出す。通り雨程度だが、上空には大きな雲がかかってきた。 登ってきた方向を振り返れば秩父の町並みが見下ろせるのだが、青空と太陽の下で明るく輝いている。麓から見上げれば、雲取山には笠雲がかかっている状態なのかもしれない。 以降大ダワまではやや下り気味の道となる。芋木ノドッケを西側から巻くあたりでは、シラヤマギクの群落が登山道両側にどこまでも続いている。岩場にはトリカブトも少し見られる。 時折望める西側の奥秩父の山々は、どれも厚い雲で覆われている。おそらく雲取山上部も同じだろう。 日原からの道が合わさる大ダワから雲取山荘までは、女坂のほうを行く。男坂よりも幾分傾斜は緩いが、時間的にはそう大差はなさそうだ。 雲取山荘で水とビールを調達し、最後のアルバイト、雲取山頂までの標高差180mの急登となる。途中でザーッと雨に降られる。これもじきに止んでくれる。 しかし今日は天気は安心と思っていたので意外である。けれどもこういう天候であるからこそ、この時期ならではの奥秩父の森閑とした静けさが味わえる。今日は視界は良好だが、この三峰からの登山道は霧の似合う登路だと思う。秩父宮殿下が、サルオガセの垂れ下がった霧に浮かぶ峰を、霧藻ガ峰と名付けたというのも頷ける。 雲取山頂上(2017m)、そして避難小屋に到着。今晩は20名が泊まる盛況ぶりだ。9月は山が一時静けさを取り戻す月といっても、土日の日本百名山はさすがにそこそこの賑わいをみせる。 上空は雲が湧き上がっているものの、いつもと変わらない開放的な頂上だ。床に付くまで外で過ごす。 意外だったのは、この昼間の時間でも青梅・東京方面の街並みがはっきり見えたことだ。あっちのほうは太陽と青空の下らしく、キラキラと光り輝いている。
●流れる雲の下をブナ坂、鴨沢へ下山 翌朝、とりあえずは青空の下、ご来光を拝める。ただし石尾根・奥秩父縦走路方面いずれも、すぐに雲に覆われ始める。この土日は寒気の影響で、2000m付近の中級山岳はみな雲の中となっていたようだ。 ブナ坂まで石尾根を下って行く。残念ながら富士山は見えない。ただ目の前に広がる奥多摩の山並みが、今年最後の夏山の情景を呈している。 七ツ石小屋分岐までの山腹の道。夏には流れている沢水がすでに枯れている。いつもならここで顔を洗えるくらいの水量なのだが、今年はこれほど雨の多かったにもかかわらず、山は意外なほど乾いているようだ。 人間の経済社会活動が自然に与えるインパクトが、山の保水力にまで影響を及ぼし始めていると連想するのは素人考えだろうか。 堂所(どうどこ)、小袖と高度を下げ、次第に汗も吹き出す。鴨沢に下り、40分後のバスで奥多摩駅に戻る。 来週からは関東の山にも秋風が吹き始めそうだ。 |