~秩父側からの静かな登路~ 2003年9月14日(日)~15日(祝) 三峰山頂駅-霧藻ガ峰-白岩山-雲取山 |
上越の山に行くつもりで家を出たが、念のため奥秩父の地図も持って行った。 早朝の電車の中、携帯で天気予報を確かめる。湯沢の今日の天気が雨マークに変わっていた。気象レーダーを見ると、県境付近が赤くなっている(30mm/hの降雨)。台風14号の後、寒気が日本海側を通過していた。今回は上越の山を諦めよう。 単独行は変わり身の早いのが取り柄である。高崎線を熊谷駅で下車し、秩父鉄道に乗り換えこのまま終点の三峰口に向かう。 熊谷駅での転進、いつかはやると思っていた。家を出てから行き先を変えるとは山に対して申し訳ない。けれど今年はお日様が恋しい山行が続いていたので、一度だけ許しを乞うことにした。
●杉木立の参拝路から樹林帯の登りへ
三峰から雲取山への登路は、一昨年同じ時期に歩いている。今回も出だしは素晴らしい青空の下の出発となった。 大輪(おおわ)バス停から10分ほど歩き、満員のロープウェイで三峰山頂駅まで上がる。しかし三峰口からバス、ロープウェイと乗り継ぐアプローチは、距離の割にかなりの高料金だ(バス300円、ロープウェイ950円)。単独でないのなら、三峰口からタクシーで直接三峰山頂に登ってしまったほうが有利だろう。 山頂駅から半舗装道を10分ほどで三峰神社に着く。本殿はただいま改装中だ。ここが目的でロープウェイで上がって来た人もかなりいる。 宿泊施設やみやげ物屋が立ち並ぶ中を進む。山道に入る前の、静かで好ましいアプローチだ。
やがて林道を離れ登山道に入る。妙法ガ岳への分岐を何度か分ける。 三峰山というのはこの妙法ガ岳(1332m)・白岩山・雲取山の三山を総称しての呼び名であるが、神社の奥宮は妙法ガ岳にある。ロープウェイから見るこの峰は、頂上部のギザギザが印象的だ。 緩く登るにつれ杉林から自然林の割合が多くなる。眺めは乏しいものの、時々木の間から武甲山方面の眺めが得られる。落ち着きのある、しっとりした登路が続いている。 少々岩がちのところを登り、地蔵峠の標識を過ぎると右側が開ける。両神山やその先に浅間山まで望める。ちぎれ雲が多く飛ぶが天気はいい。やや下ってさらに登ると秩父宮殿下のレリーフ、その先が霧藻ガ峰(きりもがみね・1547m)だ。休憩舎が建ち小屋番さんもいる。
前回同じ時期に来たときは、この付近でチチブドウダンが紅く色づいていたのを見たが、今日はそれほどでもない。しかしここまででもけっこう、カエデやクリなど、葉の紅黄変した樹木を見ている。 ひとつの山の中で、紅葉の進み方は具合は年によって、また場所によっても大きく違う。ここの次はあそこが紅葉する、といった順番も必ずしも決まっているわけではないらしい。 大きく下って、樹林の中のお清平(おきよだいら)に着く。ここからは長い登りが続くとわかっていたので、中休止して体を休める。樹林越しに見える空は、いつしか雲の割合が多くなっていた。 コメツガなどの針葉樹が多くなる。ずいぶん高度をかせいだと思うと前白岩の肩だ。前白岩山(1776m)へはもう少し緩やかな道を行く。 ほどなくして、シンプルな白岩小屋の前に出る。昔ながらの建物という感じだ。ここにも小屋番さんがいる。小屋の裏には水場の標識、そして展望台がある。和名倉山に大きな雲がかかり始めている。 再び急登を詰める。コメツガや苔の緑が目に優しい、奥秩父の雰囲気の漂う道である。ひんやりした空気の中を黙々と登ると白岩山(1921m)だ。山頂は少し西側に寄ったところにある。 前回に続いて、今日もまたここで鹿を見る。白岩山に登れば、鹿に会わないより会う確率のほうが大きいくらいである。 |