~奥秩父の核心、シャクナゲ満開の県境縦走~ 2002.5.25.(土)~5.26.(日) 新三国峠-三国山-十文字山-十文字峠- 甲武信岳-戸渡尾根-西沢渓谷 |
●三宝山を経て甲武信岳へ 翌朝6時に甲武信岳めざして出発。小屋前の寒暖計によると気温3度。やはり標高2000m近いだけある。 標高を上げていくと、シャクナゲの花は無くなるが、大山の山頂では再び満開のアズマシャクナゲを見れた。ピークになるとすでに咲いているというパターンは、三国尾根から同じである。
3年前の夏(7月)に、ここの山頂でハクサンシャクナゲを見れた記憶がある。違った種類のシャクナゲが混生しているようだ。 武信白岩山(巻き)、尻岩と過ぎ、三宝山へのだらだら登りに入る。ツガなどの深い原生林の中を、裕に1時間は登り詰めの道である。シャクナゲの木が再び現れるとようやく山頂だ。埼玉県で一番標高の高い地点(2483m)である。 山頂には南面に小さい切り開きがあり、そこから甲武信岳、遠く富士山が眺められる。 甲武信岳の手前に「三宝岩」と呼ばれる岩のピークが見える。ここ山頂から五分ほどで行ける。
山頂から少しだけ下ると右に分岐がある。導標が立っているが、十文字峠方面から来るとこの分岐はわかりにくい。分岐から2,3分でさっき見えていた三宝岩へ。展望は甲武信岳に勝るとも劣らない。富士山、八ヶ岳などの展望が利く。 稜線に戻って少し下り、甲武信岳への最後の登り。ミヤマカタバミに代わってこの辺の林床に咲く白い花はバイカオウレンだ。 甲武信岳山頂(2475m)はさすが、人であふれている。展望もあいかわらず素晴らしい。金峰山の五丈岩、その後ろに南アルプス甲斐駒、仙丈。5月の風が済んだ青空にさわやかに舞う。人は多いが長居をしたくなる山頂である。 しかし歩いて来た方向からは大きな雲が流れてきている。天候はゆっくりと下り坂だ。 甲武信小屋に下りる。おととしまでは無かったテラスが小屋の前にある。小屋番の徳さんほか、小屋のスタッフ、沢登りの人たちなど賑わっている。 なぜか山岳救助隊の人たちがいる。山岳救助隊の方は鶏冠林道を車で上がって甲武信岳へ登ってきたそうだ。この林道の入口は西沢渓谷の林道から分岐し、木賊山(とくさやま)付近にまで登山道が上がってきているのだが、普段はゲートに鍵がかかっていて一般車は入れない。 ●シャクナゲ満開の戸渡尾根 木賊山(2469m)へ登り返し、おととしと同じく戸渡尾根を下る。いつしか空は雲で覆われていた。 急な下り坂ののち、シャクナゲの大群落地へ入る。右も左も、上にも咲いている。これほどの花の咲きっぷりは見たことが無い。
おととしここを歩いたのが5月28日、このときは徳ちゃん新道の下部のほうで満開だったが、今年はやはり開花が早い。5月26日で早や戸渡尾根上部で満開。しかも花の付きが全然違う。三国尾根、十文字峠、そしてこのシャクナゲの回廊。今回はまさにシャクナゲ三昧であった。
徳ちゃん新道に分岐するとシャクナゲの数もぐっと減る。それに代わって今度は深紅のヤマツツジが稜線を彩る。 カラマツの林を下って行くと雷の音が。それに続いて雹が降ってきた。しかし太陽はギラギラ輝いている。変な天気である。 急坂を下り、カツラの大木を過ぎ深まりゆく緑の中を下りて行く。山荘を見るとようやく登山口に下り着く。雨は降ったり止んだり。雷の鳴る中、西沢渓谷バス停まで25分ほど林道を歩く。東沢山荘の展望風呂から出ると、いつのまにかカラッと晴れあがっていた。 群馬・長野・埼玉・山梨の4県にまたがった北南シャクナゲ縦走。それぞれの県が違った表情を持ち、奥秩父の魅力をふんだんに味わうことの出来る贅沢な山行であった。 |