~秋声山に満つ、爽やか奥秩父路~ 2002.8.31.(土)~9.1.(日)
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●青空の下を飛竜山へ 日の出ないうちに起きて小屋の外に出る。こんな時間でも、都心方面のネオンは煌煌とまぶしい。富士山の斜面にも1筋の光が。今日が富士登山の最終日だろうか、皆ご来光の時間に合わせて登っているのだろう。
空は次第に白み始め、石尾根のカラマツ林の向こうに真っ赤な朝焼け、日の出。山の1日が始まる。 富士山、奥多摩・奥秩父の山並み、そして南アルプスが現れ始める。気温は15度、快晴である。食事を済ませ、飛竜山方面へと縦走を始める。 三条ダルミまで大きく下る。ここは奥秩父主脈縦走路が始まる地点である。木漏れ日の清々しい、豊かな樹林の道に入る。樹林の切れた場所からはいつでも富士山が見える。 切り開きに出て狼平、さらに縦走路を進み前方に三ツ山・飛竜山の重厚な山容を見る。振り返れば朝日に照らされた奥多摩三山、とりわけ三頭山が堂々とした姿で目を惹く。
北天のタルからしばらく行って、飛竜山(2069m)への登りに入る。15分ほどで着いた山頂からは、雲上の富士山と大菩薩嶺が望めた。ひんやりとした大気、そして静けさが周囲を支配する。鳥のさえずりも蝉の鳴き声もここにはない。
飛竜権現への下りはシャクナゲなどの樹木がうるさく、けっこう歩きにくい。踏み跡も意外と細く、本当にこの方向でいいのかと思ってしまう所もある。 シャクナゲの木がなくなると、ほどなくして祠のある飛竜権現に下り立つ。そこから西方へ2~3分、奥秩父屈指の展望台である禿岩(はげいわ)へ。 南側に出っ張った岩の突起部から眺められる大パノラマは、むしろ雲取山より展望がいいくらいだ。遠く丹沢から奥多摩の山々、富士山、南アルプスの(おそらく)悪沢岳から甲斐駒・鋸岳、黒々とした奥秩父の国師岳、甲武信岳、木賊山、緑の笹が鮮やかな雁坂峠、笠取山、その向こうの白泰尾根と、まさに見える山は限りない。視界の上半分が青い空、というのもうれしい。
ミサカ尾根を下る。ここは3回目だが、前2回は悪天候と、日没を気にしての下りだったので、今回はようやくじっくりと歩ける。 前飛竜付近まではシャクナゲの道、ここから岩岳尾根への分岐を見て、岩がちの急な下りになる。この下りはけっこう大変で、前回の雨の時、苦労したのを思い出す。登りに取るには、長くつらいコースである。 それにしても日曜なのに人が少ない。雲取山からここまで、2組3人に会っただけだ。急な下りが終わると、笹の道を経て、ブナやナラなどの清々しい広葉樹の尾根に移行する。石尾根と長沢背稜を足して2で割ったような気持ちのいい下りである。熊倉山あたりからアシビの木が現れ、さらにカラマツ林を下るとようやくサヲウラ峠に着く。 祠に一礼し、丹波山(たばやま)村への下りに入る。しばらくして、急な斜面をジグザグに下って行くようになるあたりは足に負担が来る。 はるか下から車の音が聞こえ、樹間からは丹波の家並みが覗けるがまだ標高1200m以上もある。あせらずじっくり下りたいところだ。 薄暗い植林帯に入る。高度を下げたのであろう、蝉の声が復活している。 30分くらいでようやく奥秋集落の上部に出る(周囲は畑)。鹿除けの扉をいくつか通り、車道を下り青梅街道に下り立つ。すぐ近くに丹波バス停がある。麓はまだまだ暑い。 |