~鬼の角にもピンクの衣~
タイトル
よつまたやま(900m)・かなだけ(1010m)
2009年4月18日(土) 曇り後晴れ
練馬IC-[関越/上信越自動車道]-下仁田IC-[国道254号、県道45号]-7:25大久保登山口7:35-8:05大天狗の鞍部-8:35四ツ又山8:55-9:10小ピーク9:15-9:35マメガタ峠-10:20鞍部-10:25一ノ岳10:47-11:20鹿岳(二ノ岳)11:55-12:20雑木林のピーク-13:05木々岩峠道-13:20車道-13:35下高原(鹿岳登山口)-14:00大久保登山口-[県道45号、50号(下仁田温泉清流荘立ち寄り)]-桐生駅前(パークイン桐生 泊)
歩行時間:5時間10分

マップ
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西上州の山に初めて登ったのが、2001年初冬の鹿岳・四ツ又山だった。それ以降、この山域にはやはり春、アカヤシオツツジの咲く頃に来ることが多い。
昨年の笠丸山はまさに満開ですばらしかった。下仁田駅から比較的近いこの鹿岳・四ツ又山もアカヤシオは多いと聞く。



ガスの中から角を出した鹿岳(四ツ又山より)

料金の安くなった高速を初めて使い(前回の三毳山は平日だったので通常料金)、下仁田ICで下りて四ツ又山の大久保登山口を目指す。
周囲の山肌はきれいに芽吹き始めている。天気は曇りのち晴れの予報だが、山の上の方は今の所ぶ厚い雲に覆われている。

珍しく道に迷うことなく大久保登山口に着いた。駐車場は狭く、せいぜい5台くらいしか停まれない。自分は3台目だった。車を停めるとすぐに、あとから何台もやって来た。
いつものように道に迷っていたら路上駐車になっていただろう。

登山口にはユニークな木彫りの人形が立っている。沢沿いの道は、今まで霧が立ちこめていたのか濡れている。いったん開けた場所に出る。

大久保登山口
大天狗の鞍部
霧に煙る新緑
マメガタ峠へ
ミツバツツジ鮮やか

空はまだ曇り一色。植林をくぐり高度を上げる。8年前はここを下っていたのだが、道の様子などまったく覚えがない。植林を脱すると落葉樹林はすでに芽吹きが進んでいた。萌黄の山の色彩が霧をかきわけにじみ出てくる。

稜線に上がったところが大天狗の鞍部となる。ここで野々上からの道が合流する。
周囲をガスが取り巻き、水滴になって落ちてくるのでまるで雨でも降っているようだ。今日はもしかしたらずっとこんな天気なのだろうか。
なお反対側から上がってきている下郷からの道は通行止めになっていた。

高みを目指し、稜線を上がっていく。すぐにミツバツツジ、そしてアカヤシオの花が見られるようになる。しかし咲きぶりはそれほどでもなく、地面に落ちている花のほうがずっと多い。
まだ花を付けているのも皆、折からのガスで濡れぼそり下を向いている。木に少し触れただけで、その花びらが弱々しく落ちていく。このあたりでは花のピークはやや過ぎたようだ。

ガスの中高度を上げていく。時たまではあるが頭上に明るい気配が感じられるようになる。自然林の気持ちよい尾根を歩き、マメガタ峠からの道を合わせると、ほどなく四ツ又山頂上となる。ここまで上がってくるとアカヤシオの数もぐっと増える。

本来展望のいい頂上なのだが、どこを見ても真っ白。妙義山方面も見えない。
しかしやがてガスが途切れるようになり、鹿岳の2つの峰が見え隠れする。鬼の角のようにごつい。左の一ノ岳は上部がアカヤシオのピンク色で染められているのがわかる。
登山者がどんどんやってきて、狭い頂上はなかなかの賑わいとなる。天候回復が遅れているのが残念。鹿岳もまた見えなくなってしまった。
歩いているうちにガスが晴れることを期待して、その鹿岳を目指す。

やせた尾根のアップダウンが繰り返される。松の木のある次のピークも開けている。少しガスが切れてきた。
せっかく高度をかせいだのに、マメガタ峠へはかなり下ってしまう。冬の姿に戻っていた樹林も、このあたりではまた芽吹きが復活した。
マメガタ峠で大久保への下山路を分け、目の前の急登道に入る。エイザンと思われるスミレが咲いているが、花は白く青い模様の線が入っている。

アカヤシオ満開
ミツバツツジとアカヤシオ
一ノ岳

きつい登りは続くが、やがてアカヤシオがまた見られるようになった。近づいてきた鹿岳の岩壁をバックに、見事に薄紅色の花をつけている。天気が悪いことなど何のそのだ。
その鹿岳(一ノ岳)の大きな岩壁の真下に来る。ここからはロープにつかまりながら岩の縁を斜上していく。
そして尾根に上がるとそこは二ノ岳との鞍部だ。鹿岳登山口に下る道が分岐しているが、そちらにも長い鎖がついている。前回ここを登ってきたのだが、こんなに険しい道だったとはあまり記憶がなかった。
一ノ岳へは短い梯子の上りから始まる。この梯子はよく覚えている。アカヤシオの点々と咲く斜面は登るほどに左右が開けてくる。西上州の山々のうねりが雲間に覗く。そして足元もかなり切れ落ちてきて、スリルを味わう。

一ノ岳頂上は周囲に潅木が生えているが眺めはいい。スリルのある上りがあると、山頂に着くなりホッとしてしまってその場をあまり動かないことが多い。しかし今日は少し心に余裕があるのか、いろいろあちこちに移動してみる。
山頂からやや南側に下った岩棚に出ると、さらに素晴らしい展望が得られた。雲を割って太陽の光がはるか下の集落を照らす。

四ツ又山でいっしょだった単独の人と、岩棚の上で少し話す。同じ様に木々岩峠道経由で下山するそうだ。西上州の山をかなり登っているらしく、少し前に物語山に登った際、木々岩峠道まで踏み跡が通じていることを確信し、今日その下調べをしに来たと言う。
自分にとっては西上州のこれらの山は、ひとつひとつ時期を変えて登るものであるが、ベテランさんは一度にぜんぶまくってしまうらしい。
改めて地図を見てみると、木々岩峠の北西側にゴシュウ山という山があり、そこから「道不詳」とかかれた細道がたしかに物語山の南方尾根に通じている。しかもこれはトヤ山を通って毛無岩や荒船山、黒滝山とも尾根続きになっている。西上州の山々は、つながっているのである。
これらの峰を一気に踏破してしまおうと思う人がいるのも不思議ではない。


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