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節分草を3時間近くも見学してしまったので、そう時間に余裕はない。星野御嶽山神社まで農道を歩く。 三峰山はその名の通り信仰の山、昔は修験者の山であった。境内の案内板を見てもそんな雰囲気が感じて取れる。境内の福寿草は咲き始めだ。 このへんに三峰山(奥の院)への登山口があるとのこと。しかし指導標もなく、しばらくうろうろする。 やがて、正面の里宮(鳥居)をくぐって右の所に、石段の取り付きを見つける。
しばらくは階段の急な登り。祖霊殿の脇を通り、さらに登って行くと小さいプレハブの建物と5mほどの小滝が現れる。「清滝」との石標柱が立っている。 道はなおも急な石段が続く。しかし、登山道でよく見かけるような、歩幅の広すぎる丸太の階段に比べればずっと登りやすい。やはり昔から歩き続けられてきた道だからか。なお道の左側には石碑や祠が立ち並んでいる。 おばあちゃんが下りてきた。登山の格好ではない。お参りしてきた地元の人だろうか。 やがて道は二股に分かれる。左に見上げられるのは、鎖のかけられたほぼ垂直の一枚岩。修験者はああいうところをよじ登るのだろうか。修験者でない自分は右の巻き道を行く。 一度切り開きに出て、展望が得られる。とたんに花粉で鼻がグスグスいい出す。右側が切れ落ちた細い道を慎重に進む。傾斜は緩み、静かでひんやりした杉木立の中の道になる。 杉林を抜け、稜線に出る。右に折れるとすぐ奥の院。距離は短いが雑木林の中の気持ちのいい道である。奥の院では木の間から眼下の集落が望める程度だ。 先ほどの分岐に戻る。「三山参道」という導標がこれ以降、何箇所かで見られる。三山とは素直に考えると3つのピーク、すなわち三峰山・永野御嶽山・奥の院を指すのだろうが、案内板に書かれているようにこの山に祭られている三神(三峯大神・御嶽大神・浅間大神)のことを指しているようにも思える。
道は杉林とアカマツ、たまに雑木の林の中を繰り返し高度を上げて行く。やがて右側に工事用のロープが目につくようになる。採石の音がかなり大きく響く。 いったん急下降して登り返し。永野御嶽山には山名表示はなく、(ロープ内)立入禁止の看板があるのみ。少し下ると、すぐに右側に細い踏み跡が分岐している。「三山参道」の導標はあるが見落としやすい。この踏み跡が三峰山に続いている。薮がちの道を下り、長い登りに。前方からくしゃみの音が聞こえる。花粉症の人がいるのだろう。30名ほどの団体とすれ違う。 ようやく傾斜が緩み、あたりが開ける。右下に、採石現場がもろに見える。その向こうに山並みが広がっているがもう日も高く、ぼんやりしてしまっている。採石場側が開けた三峰山山頂で軽い食事をし、すぐに下山する。
三峰山山頂から下りてすぐのところに、北側へ下りる分岐がある。ここからも下りられそうだが、「新ハイキング」の記録では先ほどの三山参道の導標がある分岐まで戻るように書いてあるので、今回はそれに従った。 導標に戻り、ここからの下りがけっこう大変。ロープや鎖の連続するかなりの急傾斜で、しかも地面はぬかるんでいる。転びでもしたら大変な所だ。修験者になるつもりはないが、ここは修業しなければならない。後ろ向きになり、ロープと鎖を頼りに足場を探しながら慎重に下った。大汗をかいた。 その後も、鍾乳洞入口・浅間大神を経て気を抜けない下りが続く。途中で、先ほど三峰山直下で分けた分岐からと思われる道が合わさってきた。その道も鎖がかかっていた。 三峰山から1時間ほどで林道に下り立つ。さっそくくしゃみ、鼻詰まりの洗礼を浴びる。山中を歩いている時はまったくといっていいほどくしゃみも鼻水も出ないのに、不思議なものだ。
やがて民家が見え、登り口の御嶽山神社の横に出た。短いが緊張感のある山登りであった。 御嶽山バス停までは田畑や古い民家を見ながらの道。傍らにはオオイヌノフグリの群落が日をいっぱいに浴びていた。 実は、栃木の山はこれが初めてだった。いろいろ調べているうちに、栃木県・群馬県南部の山(前日光、安蘇や足利)の低山が春山として見所が多いと感じた。今年の春はこの山域を中心に歩き回ってみようと思う。
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