山の写真集 > 北関東(栃木) > 尾出山と星野の節分草
  • -険路を越え自然林の尾根へ-
  • 寺沢林道-尾出峠-尾出山-高原山
  • 安蘇
  • 栃木県
  • 尾出山(933m),山田山(825m),高原山(754m)
  • 2013年3月9日(土)
  • 7.7km
  • 3時間50分
  • 608m(駐車スペース-尾出山)
  • -
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  • マイカー
天気1

 

地図
2013年3月9日(土)
富ヶ谷ランプ 5:35
  首都高
東北自動車道
栃木IC 7:00
  県道302号,199号
与州平 7:40
  寺沢林道
  駐車スペース 7:55
8:02   林道出合
8:35   二俣
9:05   尾出峠
9:30 尾出山 10:10
10:30 尾出峠
10:45 山田山
11:25 高原山 11:45
11:52 187号鉄塔 12:00
12:15   186号鉄塔
12:35   林道出合
12:45 駐車スペース 12:50
  寺沢林道
県道199,32号
星野節分草自生地
15:30 栃木IC
  東北自動車道
首都高
16:35 富ヶ谷ランプ

 

尾出山は、栃木県の鹿沼市と佐野市との境界に位置する標高933mの山である。
高くはないが、その山懐は深く、孤高の峰の感がある。仙境の趣を醸し出す山、といったら大げさだろうか。
登山口は、節分草で有名な星野の森から車で20分ほど奥に入った「与州平」というところにある。以前は星野の「御嶽山入口」からバスがあったのだが、今は地元民の足としてオンデマンド方式の町営バスが早朝に走っているだけであり、登山の足としては使いづらい。


尾出山山頂

寺沢林道途中で車を停めて出発

駐車スペース

林道終点の二俣にある指導標

導標は手書き

沢の高巻き道にはロープが張られているが足の置き場がわかりづらく、かなりの難路

厳しい急崖

尾出山山頂から、奥日光の白根山(中央)、男体山(右奥に頭を覗かせている)を望む

雪山を望む

尾出山山頂から皇海山を望む

皇海山

東北自動車道を栃木ICで下り西進。星野遺跡を過ぎ、山間地にどんどん分け入っていく。寂しい感じの集落となって永野与州平に着く。ちょうどバスが出発の準備をしていたが、バスと言ってもワゴンタクシーである。乗客はいなさそうだ。
このあたりの空き地にでも車を停めさせてもらおうと思ったが、寺沢林道をもう少し入ってみる。しかし道はデコボコで、底を何度もこすってしまったので途中で運転をあきらめ、転回場所のような所に駐車する。あとでいろいろなホームページやブログを見てみたら、皆さん同じ場所に停めているようだった。

周囲は両側から山が迫った深い谷間。上空で風がゴーゴーとうなりを上げておりちょっと恐い。林道を歩き出すと、10分くらいで高原山から下ってくるもう1本の林道が合流した。四駆のような強い車ならならここまで入れるだろう。
直進方向の沢沿いの林道を、緩やかに登っていく。途中で左(山側)に太い道が分かれていて迷ったが、なおも林道を行くことにする。やがて林道終点となる二俣に着く。もっとも道は二俣にはなっておらず、登山道が山の中に続いていた。

始めのうちは沢沿いに緩やかな登りだったのが、次第にその沢を見下ろすように高度が上がり、ロープが張られた急崖になった。足を置く幅が狭くおまけに落ち葉が深く積もって、どこが道だかよくわからない。踏み外したら怪我では済まないくらいの高さである。必死にロープを手繰りながら慎重に足を運ぶ。こんな感じの危険な場所が50mくらい続いている。
初めから大汗をかいてしまい、この先が思いやられるが先を行くしかない。以後は穏やかな植林の登りが続いて、尾出峠に着く。国土地理院の地形図では嶽ノ越との表記があるが、「鳥獣捕獲禁止区域」の赤い看板しかない、地味な場所である。
樹林越しに北側の山稜が覗くが見通しは悪く、強風が吹きすさんでいる。尾出山の山頂は右の尾根を行く。

尾根道の825mピークには山田山の山名標識が掲げられていた

横から読んでも・・・?

高原山までの尾根通しは明るい落葉樹林が続く

豊かな自然林

高原山山頂から、尾出山を望む

尾出山を望む

187号鉄塔基部からは鹿沼市付近の低山が眺められる。左奥には横根山の後ろに奥日光の雪山が覗く

ようやくの展望地

バス停のある与州平集落。バス便は朝6・7時台のみ

与州平

節分草自生地の背後には星野御嶽山(三峰山)がそびえる

星野御嶽山

岩場の急斜面を織り交ぜながら急登をこなしていく。背後に雪山のラインが見えてきた。奥日光の山であろう。また目の前に広がるのは、今の季節には茶色だが自然林一色の安蘇山塊。頭上でうなる風の音が気になるが、青空が広がる中を尾出山山頂に到着する。
「勝道上人修行 第二宿坊跡」との石碑がある山頂は、樹林に囲まれていてここも展望は芳しくない。しかし樹林越しに眺められるものは山並みが続き、集落など人工物のようなものは見られない。奥深い山である。
山頂から北側にも踏み跡が続いていたので少し下りてみると、若干だが眺めが得られた。奥白根山が白く、横根山の後ろに男体山も頭を見せている。そしてもうひとつ目立つのは皇海山である。
山頂が開けていればそこそこ人気が出てもいい山に思えるが、いかんせんアプローチが悪い。やはり静かな山であり続けるだろう。風が少しだけ弱まってきた。日当たりのよい明るい山頂でもう少し休憩する。

尾出峠まで戻る。急坂なので注意が必要な下りだ。尾出峠からは南東方向への尾根歩きとなる。尾根は幅広くなだらかである。
小さなコブを越え、さらに登っていくと825m峰にたどり着く。「山田山」というわかりやす過ぎる山名板が、横向きになって木にぶらさがっている。左側が雑木林で明るい。
尾根道はこの後、気持ちのいい自然林一色となった。カエデやナラが多く紅葉が映えるだろう。急なところがないので散歩気分で歩ける。右手(西)の樹林が切れて、袈裟丸山方面の眺めが開けた。手前の稜線は根本山~熊鷹山あたりだろうか。この付近の低山は植林が少なく(この尾出山は下部が杉林だが)、自然度が高い。根本山も再訪したいのだが、登山口まで行くバス便が廃止されてしまったので、タクシーでも使わない限り登山口と下山口が異なる縦走は難しそうだ。

気分のよい尾根を進み、緩やかなピークをもうひとつ越える。一転急降下となり、岩がゴツゴツしたところに補助ロープが設置されていたが、通過には問題はない。
いったん植林をかすめた後明瞭な尾根を登っていくと、高原山の山名板のある地点に出た。およそピークらしくなく、単なる山道に山頂表示があるだけある。尾出山にも二等三角点があったがここにも三角点がある。この狭い尾根に2つの三角点があるのは珍しい。
かといって展望に優れているわけではなく、高原山からも周囲の眺めは樹林越しである。来た方向に尾出山が大きな山体を呈していた。
今までの尾根道で、東側から上がってくる道がどこかにきっとあるものと思っていたが、明瞭な道は見つけられなかった。

「四季の森」星野の節分草

「四季の森」星野の節分草

「四季の森」星野の節分草

「四季の森」星野の節分草

星野の節分草

高原山を後にし、緩く下っていくと187号鉄塔の基部に着く。ようやく眺めが開けた場所に出た。東側に栃木県中央部のゴツゴツした低山帯がよく見える。星野の三峰山はどれだろうか。また、おそらく石裂山、鶏鳴山あたりも見えているはずである。あまりこのあたりは歩いていないので、なかなか特定できない。横根山とその後の男体山も確認できた。
鉄塔から先は送電線巡視路のような道となる。黄色い杭に従い尾根を離れ、植林帯の中をジグザグに下っていく。やや鼻がグズグズいいだす。ついに花粉の季節到来である。
ただ意外なことに、オール杉林の中でも思ったほど症状はひどくならない。むしろ杉林の中の空気はすっきりしているように思える。花粉は受粉先を求めて外に飛び散っていくのであろうから。

高度を下げ、186号鉄塔の台地へ。ここからの下り口がわからず右往左往したが、来た方向からUターンするように細い踏み跡を辿り、再び植林の中を下っていく。小さな沢を渡ると未舗装の林道に出た。そこから少しの歩きで、朝歩いてきた林道と合流する。
車のある場所まで10分足らず。暖かな春っぽい日差しを浴びて駐車スペースに戻る。与州平の集落の写真を撮って、星野へ向かった。

星野の節分草自生地を訪れたのは実に11年振りである。ちょうど山野草に興味を持ち始めた頃で、春の早い時期から可憐な花を咲かせる節分草を見ることは、山歩き後の道草として大きな楽しみの一つになった。
実際には尾根道など、山の中で節分草が咲いているのを見たことはなく、たいてい麓の自生地を見学する。節分草は石灰質の土壌を好むので、石灰岩の山の近くでよく見る。秩父の武甲山や奥多摩の天祖山あたりでは山の中で咲いていても不思議ではないと思うのだが、まだ目撃するに至っていない。

星野の自生地は、以前は見学に協力金が必要だったが、今は無料で見られるようになったようだ。
ここ数日の暖かさで一気に満開近くになった模様である。

レストハウスの人に聞いたところ、節分草は種が落ちてから3年めに花が咲くそうである。
最初の2年間の春先には、葉だけが地上に出てくる。1年めは丸い葉、2年めは花が咲くときと同じような線形の葉が地面近くに出てくるそうだ。そういえば咲いている花の根元あたりにそんな葉をよく見かける。そして次の年に発芽すると花が伴う。
カタクリも花がつくまで同じような経過をたどるが、こちらは7年もかかる。スプリングエフェメラルの不思議なところである。
節分草を見れば気分はもう春山モード。しかし今年はもうひとつ、雪深い山に登ってみたくもある。