タイトル

  おぜがはらからしぶつさん(2228m)
2009年9月5日(土)~6日(日)


  鳩待峠-アヤメ平-尾瀬ヶ原
-山ノ鼻-至仏山-鳩待峠  

マップ
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森林限界には意外に早く到達する。青空が覗き、背後には燧ヶ岳をバックに尾瀬ヶ原が広く横たわっているのが見られた。
周囲は高山の雰囲気に溢れ、まだウメバチソウ、ヒメシャジンなどがかなりの群落をなしている。


滑りやすい蛇紋岩

上部に見えているまろやかな部分、頂上ももうすぐかなと思っていると、「ここが中間点」の標識。思わず目を疑ったが、まだ標高差半分しかこなしていなかったのだ。もう体力的にいっぱいのところまできていた。

ゆったりした容姿の山は、登ってみるとなかなか山頂に着かないことがよくある。この至仏山がその典型だ。目の上に見える一番高いところ、そこまで来るとさらにその上にさらにまだ高いところが見える。こういうことが何度も続いた。

10分登っては休み、の繰り返しとなる。登りで時間を稼いでその後の行程にゆとりを持つというもくろみは崩れた。苦しみながら至仏山の頂上に到達。結局2時間30分かかった。

至仏山頂上
高度感がある
端正な小至仏山

半分放心状態で岩に腰を下ろす。眺望は雄大だが、周囲の山は燧ヶ岳以外は雲海の下であり、雲ばかり見ることになる。まるで宙に浮いているような、山頂でのひとときとなった。
南方向から大きな雲の塊が、山頂を覆う。周囲は晴れているが至仏山はなかなか雲が取れなかった。

山頂の周りを歩くが、体がフラフラしている。久しぶりに山でヘバッてしまった。こうなるともう無理は出来ない。
笠ヶ岳~湯ノ小屋温泉は歩きがいがあり魅力的なコースだが、エスケープルートがない。少しでも不安があったら入りにくいコースだ。
今日はこのまま鳩待峠に下山し、笠ヶ岳コースは次回の楽しみに、ということにした。

下山すると決めても、体力が回復するわけではもちろんなく、小至仏山への岩尾根はかなりの難路に映った。
至仏山の上部は蛇紋岩という滑りやすい岩で出来ていて、これがなかなかの曲者なのである。普通の滑りやすい岩よりも、さらにもう一段ダメ押しで滑る。
岩なのに何故か、つるつるした土の地面を歩いている感じがする。足首にかなりの負担がある。今日の山ノ鼻からの登りで消耗したのも、このやっかいな岩質が影響したこともあるだろう。

小至仏山(2182m)の三角錐を見ると登るのが大変そうだが、実際はそれほどの苦労はない、眺めのいい山頂部からは再び尾瀬ヶ原が見下ろせた。このあたりから、鳩待峠から登ってきたハイカーとすれ違うようになる。

ヒメシャジン
ミヤマコゴメグサ

オヤマ沢田代への下りに入るとようやく蛇紋岩からも解放され、歩きやすい道となった。そのオヤマ沢田代で笠ヶ岳コースを分ける。
至仏山~小至仏山~オヤマ沢田代それぞれの間を30分ずつかかってしまった。このペースでは、笠ヶ岳コースの長い道のりはかなり厳しかっただろう。

鳩待峠へは樹林優勢な中を下っていくのみだ。それでもところどころで湿原状の台地や、燧ヶ岳などの眺めがきく場所があり、なかなか楽しみのある道である。
天候はかなり回復し、至仏山も青空にくっきりとその姿を現すようになっていた。実を付け始めたオオカメノキを見ながら緩やかに下っていく。

車のエンジン音が聞こえ、鳩待峠に到着した。予定よりかなり短縮された歩程になってしまったが、初めての尾瀬山行としては上々だった。

シャトルバスで戸倉に下る。東京電力の施設に「ぷらり館」という日帰り温泉施設があった。アルカリ性単純温泉は香りよいツルツルのお湯でなかなかいいお湯である。まだ時間も早いのでゆったりと入れる。
沼田駅まで、再び2時間のバスの旅。いい山だった。福島県側のエリアや笠ヶ岳、様々な宿題を抱えてしまったのでまた来なければならないと思った。水芭蕉の咲く時期にも来てみたい。


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