~カモシカ住む武尊伝説の山~ おうじょうさん(1123m) 2005年4月25日(月)晴れ 8:40川原湯温泉-9:30御塚イタヤカエデ-9:45カタクリ自生地10:00-10:30傘木-10:55八合目-11:00王城山11:40-11:45古城山-12:00傘木-12:20カタクリ自生地13:10-13:30カタクリの湯14:05-14:35長野原草津口駅14:45-[特急草津6号]-17:07赤羽駅 歩行時間:3時間35分 |
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●川原湯温泉から王城山へ 麓の宿に泊まった翌朝は、いつもは早出するのだが、今日登る王城山は登山口から往復3時間弱の山。朝風呂に入りごはんを食べてゆっくりして川原湯温泉を出発する。曇りがちとされていた天気予報も外れて、青空が見えて来ている。 温泉街の坂道の山側には、薄紫色のヤマエンゴサクがびっしり花をつけている。 ふと上のほうに目をやると「標高586m」の高度表示板が壁についている。この586mという標識は昨日もいくつか見ていて、気になっていた。 あとでわかったが、ここに建設される八ツ場ダムの天端高(水面)が586mなのだ。高度表示は見上げるところについているので、やはりこの地はダムに沈む運命にあることがはっきり数字で示されているのだ。 ところで、温泉街のずっと下にある吾妻線はどうなるのだろう。線路が上のほうに付け替わるのだろうか。 そしてこの萌黄色に光る吾妻渓谷の美しい姿も、決して永遠のものではないということを考えると、どことなくやりきれなさが感じられてくる。 吾妻川に沿って、交通量の多い車道(国道145号線)を西に進む。正面にユーモラスな岩峰の丸岩が望める。 脇道に入り高度を上げていくと、林集落の御塚とイタヤカエデが見えてくる。王城山と思われる山をバックに、のどかな山間集落の風景が広がっている。 このへんから「王城山・カタクリ」を示す指導標が現れ出す。 田畑の間の小道を歩いていくと、カタクリ群生地の案内板がある。左の道に入り、カタクリの様子を見て行く。 群生地は広い斜面で、カタクリとアズマイチゲの群落を見ながら一回り出来る様になっている。まだ朝のうちなのでカタクリも半開きのものが多い。王城山を先に登り、あとでまたここに立ち寄ることにする。 王城山は、日本武尊が立ち寄ったという伝説が残されている、古くからの信仰の山である。それらしく、登山道には合目標柱が立てられている。 「三合目・鳥屋坂」、「四合目・柴峰」あたりまでは幅広の、登山道というよりは林道っぽい道だ。足元にはアズマイチゲ、そしてここもエイザンスミレが多い。
柴峰を過ぎると、脇道から何かがこちらをうかがっている。カモシカだ。登山ガイドにもいると書かれているし、もうここの古くからの住人(住鹿?)らしい。 進む先に2つのピークが見えてくるが、あれは王城山ではないようだ。 風の通り道である「五合目・傘木」から先は、自然林の中の山道となる。急なジグザグの登りのあとは、直登ぎみの苦しい行程となる。 しかし周囲は明るい自然林で、開放感がある。紅葉の後の落ち葉の季節もいいかもしれない。それにしても暑いのでTシャツになる。
「ガンバレ!山頂まであと10分」福岡かんだ猿の白いプレートがこんな山にもあってびっくりする。 それから5分ほどで尾根に上がる。尾根通しに行く道を分け、山腹道を進む。 ロープが張られ、谷側はかなり崩壊が進んでいる。さっき通った傘木付近も路肩は崩れ気味であった。王城山は丹沢のように、土砂の流出や崩れが顕著な山のようである。 再び尾根に上がると、100mほどで王城山頂上となる。松の木が点在している。 周囲の山々の展望は木の幹越しとなるが南面に浅間山、浅間隠山。その前景に菅峰の山体が大きい。北西には草津白根山が望めるが山頂付近だけは樹木でさえぎられて見えない。 展望をあてにする山ではないが、いかにも山らしい落ち着いた雰囲気にあふれた、気持ちのいい場所である。 頂上には地元のご夫婦が1組。東京から来たというとびっくりされてしまった。こんな地元の人もあまり登らないような山に、と半分歓迎、半分呆れられている様子。 しかしこれと同じような会話は今までも、他の地方の山たとえば西上州の諏訪山や福島の高旗山などでしょっちゅうしているのだ。そしてそういう会話が交わされるところほど印象深い山行が出来ているような気がする。 |