-浅春の頂にアカヤシオ-
タイトル
駒形登山口-鳴神山-赤柴林道
山域安蘇
地域群馬県
標高鳴神山(979m)、吾妻山(481m)
山行日2011年4月18日(月)天気1
沿面距離5.7km、1.8km
歩行時間3時間、1時間35分
標高差570m(駒形登山口~鳴神山)
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2011年4月18日(月)

桐生駅前7:55
 県道338号
8:20車道終点8:30
8:40駒形登山口
9:55肩の広場
10:05鳴神山10:20
10:25仁田山岳10:30
10:45裏の肩
11:10赤柴登山口
11:50車道終点
 県道338号
12:30大川美術館前12:50
13:40吾妻山14:00
14:45大川美術館前15:00
 国道50号他
16:45館林IC
 東北自動車道、首都高速
18:00目黒IC


関連リンク
[記録] 鳴神山・吾妻山縦走
桐生市


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天気予報は下方修正され、どうやら今日はお日様がなさそうだ。桐生駅前から県道を走り、川内町方面に行く。途中で霧雨が降ってきた。付近に小学校があるのか、自転車で登校する児童が目立つ。今日は久しぶりの平日の山である。

桐生駅付近は標高が低く、吾妻山方面の広葉樹の森はすでに淡い新緑が始まっていた。群馬や栃木県南部の標高の低いところは、東京など南関東の山より早く、4月中旬から新緑が楽しめる。車が山深く分け入っていっても淡い緑がきれいで、桜も今が満開だった。路線バスの終点、吹上から先の山間の小さな集落は、ツツジやレンギョウなど色とりどりの花が咲き、まさに桃源郷である。
今日登る鳴神山も、季節感に満ちているだろうか。


アカヤシオ咲く鳴神山山頂

車道終点まで行くと、堰堤工事が行われていた。車が停めにくいので、少し離れた場所の路肩に駐車する。鉛色の空が少し明るくなる。天気はどうにか持ってくれそうだ。

工事現場の横を通って、駒形登山口に向かう。作業員の人が親切に、迂回路を教えてくれた。
途中で珍しいウラシマソウを何株か見る。鳴神山は、ナルカミスミレやカッコソウなど、他ではお目にかかれないような貴重な山野草に出会える山である。自分は前回9年前には見ることはできなかった。どちらも、春の少し遅い時期に咲くようである。

山麓は萌黄色
駒形登山口
指導標
ヒトツバエゾスミレ
ヒゲネワチガイソウ

登山口からしばらくは、沢沿いに植林と自然林の間を辿っていく、少し単調な行程だ。地元の小学校の生徒の手による導標が、随所に立っている。
エイザンスミレのような色合いのスミレを見る。葉が特徴ある単葉で、ヒトツバエゾスミレだろう。それにしてもスミレが少ない。鳴神山はいわばスミレの山なのに。これも、寒かった今年の冬の影響なのかもしれない。左の斜面にカタクリの小群落があった。この天気では花も開きようがない。その代わりにヒゲネワチガイソウがかわいい白花を咲かせていた。

沢が枯れ状になり、岩が目立つようになってくると、カタクリの密度は増す。昨日の角田山(新潟)の大群落を見てしまうと驚くこともないのだが、他の山に比べればかなりの多さだ。ニリンソウも葉は多く見られるものの、花をつけているのは少ない。トウゴクサバノオも花は閉じられている。
さすがに花の種類は多い。春の訪れは遅いようだが、天気のいい日なら楽しみは多いだろう。

谷間につけられた登山道の斜度は増し、周囲は完全に冬枯れの様相に。オオカミ像が奉られている肩の広場に着く。
寒々しい雰囲気に、これはアカヤシオなど望むべくもないな、と思いながら山頂への急坂を登る。ガスにはなっていないようだ。
山頂部が見え出すと、何とピンクの花が見えているではないか。桐生岳とも呼ばれる鳴神山東峰に上がると、目の前にアカヤシオが見られた。下の状況からみて、開花していたとは意外だった。この山頂はぐるっとアカヤシオの木で囲まれている。

天気が悪く遠くは見えないが、360度の展望である。桐生市街地方向の視界はよく、座間峠方面の大きな山稜も見える。その先の袈裟丸や皇海山は雲の中だった。もうひとつのピーク、仁田山岳に登山者がいた。そちらに行ってみる。夫婦だった。今日は人が少ないですね、と言葉を交わす。
アカヤシオは仁田山岳のほうが多いように見えたのだが、実際はそうでもない。樹林に囲まれ展望はないのだが、少し先に行くと赤城山方面が広く眺められる場所があった。

山頂のアカヤシオ
裏の肩
コガネネコノメソウ
吾妻山へ
淡い新緑

そのまま北の尾根を下り、赤柴林道へ下りるコースをとる。ひとしきりの急な下りからやがて、裏の肩と呼ばれる平坦な鞍部に出る。標識に導かれ左折。踏み跡は薄い。落ち葉敷き詰められた山道を緩く下っていくと再び沢状となり、ネコノメソウやアケボノスミレが見られた。
芽吹き前の森に陰鬱さはなく、曇っていながらも明るく、優しげな空気で満ちている。

鳴神山のメインの登山コースはやはり、山頂から南下して吾妻山や桐生駅方面へ続く縦走路であろう。変化に富み、よく歩かれているが、この裏側の道は雰囲気が全く違っていて興味深い。
以前、座間峠側からこちらに向かうコースをとったのだが道がわからず、途中で引き返している。この山域は同じような風景が続き単調で迷いやすい、という噂もある。
林道に出てさらに進むと、赤柴林道に出会う。ここから登山口の駒形まで40分ほどだった。

それなりに楽しかったが、やはり今回は春浅く、彩りにやや欠けた山となった。朝見た吾妻山付近の淡い新緑が味わいたくなり、戻って吾妻山にも登ることにした。こういうとき車は便利である。

大川美術館の前に車を停めて、吾妻山への遊歩道に入る。標高差もそれほどでないし、往復なら楽勝だろうと思っていたのだが、途中から急登や岩場もあってかなりきつい登り下りであった。以前鳴神山から縦走してきたとき、縦走路はアップダウンが多く大変だったが、吾妻山付近はそれほど大変な印象はなかった。
しかし始まったばかりの新緑は瑞々しく、1年ぶりに目が洗われた感じだ。もうお昼を過ぎているのに、この山には中高年の人を中心に、どんどん登ってくる。ほとんどが手ぶらかウェストポーチ程度の荷物のみで、吾妻山登山を日課にしている地元の人なのだろう。

下山すると、ボンネットにたくさんの桜の花びらが舞い落ちていた。
東北自動車道を走って東京に戻る。